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製造業がSDGsに向けて取り組むべき3点|関連する社会課題の問題を解説

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SDGsの認知度は年々上がっており、企業はSDGsに本腰を入れて取り組む姿勢が求められています。今回は、ジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業の取り組みを分析することで、製造業界の企業で効果的なSDGsへの取り組みを解説します。

▶SDGsについて詳しく知りたい方はこちら

今回の記事はこんな人にオススメの内容です
  • SDGsに向けて製造業はどのように取り組めるか知りたい
  • 同業他社の評価される取り組みを参考に、自社で行う取り組みを検討したい
  • 製造業界のどのような企業の取り組みが評価されているか知りたい
  • 製造業界に関わりのある社会課題を知りたい

分析対象にしたジャパンSDGsアワードを受賞した企業

ジャパンSDGsアワードとは、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている、企業・団体などを表彰するSDGsコンテストです。日本に拠点のある企業・NPO/NGO・地方自治体・学術機関・各種団体などが対象となります。

総理大臣を本部長、官房長官と外務大臣を副本部長とするSDGs推進本部が主導し、2017年から毎年1度開催されています。

これまで開催したジャパンSDGsアワードの受賞結果を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

2022年7月時点で合計64の団体がジャパンSDGsアワードを受賞しており、そのうち製造業界の企業は以下13社です。

2017年度
  • 住友化学株式会社|SDGs推進副本部長(外務大臣賞)
  • サラヤ株式会社|SDGs推進副本部長(外務大臣賞)
  • 株式会社伊藤園|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)

    2018年度
  • 株式会社日本フードエコロジーセンター|SDGs推進本部長(内閣総理大臣賞)
  • 株式会社 LIXIL|SDGs推進副本部長(外務大臣賞)
  • 会宝産業株式会社|SDGs推進副本部長(外務大臣賞)
  • 株式会社虎屋本舗|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
  • 株式会社大川印刷|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
  • 株式会社ヤクルト本社|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)

    2019年度
    該当企業なし

    2020年度
  • 富士通株式会社|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)

    2021年度
  • 株式会社エルコム|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)
  • 株式会社ユーグレナ|SDGs推進本部長(内閣総理大臣賞)
  • 株式会社荏原製作所|SDGsパートナーシップ賞(特別賞)

[目標別]受賞企業のSDGsへの取り組みの傾向

これまでジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業が、取り組みに含んでいる・含んでいないSDGs目標を分析し、紹介します。

受賞した製造業が取り組みに含んでいる目標

これまでジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業が、取り組みに一番多く含んでいた目標は17番「パートナーシップで目標を達成しよう」で、13社中11社が該当します。

次に多い目標が、同数で8番 「働きがいも、経済成長も」と12番「つくる責任、つかう責任」。 3番目に多い目標が3番「すべての人に健康と福祉を」・4番「質の高い教育をみんなに」・7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」でした。

ここで挙げた目標は、受賞企業の多くが各事業内容を通じて取り組んでいるので、製造業界の事業内容と相性が良いと考えられます。

受賞した製造業が取り組みに含んでいない目標

一方、ジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業が、取り組みに最も含んでいない目標は16番「平和と公正をすべての人に」でした(13社中3社のみ)。

次に取り組みに含まれていない目標で多かったものが、同数で10番「人や国の不平等をなくそう」・11番「住み続けられるまちづくりを」・13番「気候変動に具体的な対策を」でした

各目標の内容や関連するキーワードを知りたい方は、以下の目標記事をご覧ください。

目標1アイキャッチ

目標4

目標5

目標6安全な水とトイレを世界中に_アイキャッチ

目標8働きがいも経済成長も_アイキャッチ

 

製造業が原料調達・製造工程でできる社会・環境への3つの取り組

これまでジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業13社が、受賞時に行っていた取り組みに含んでいた目標を分析して紹介しました。

製造業は自社事業のなかで、環境に負荷の少ない原料を使い、各工程で環境に配慮しながら製品を製造していく必要があります。製品が完成するまでの工程のうち、原料調達・製造時に製造業界の企業が取り組める社会・環境の分野への3つの施策を解説します。

1. 途上国での強制労働や人権への取り組み

製造業 画像1

2020年10月に「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」が策定され、政府の施策や企業活動で、人権デュー・ディリジェンスの導入促進への期待が表明されています。

人権尊重に国際的な関心が高まるなか、企業が責任を負う範囲が社内からサプライチェーンにまで及び、以前より広くなっています。そのため、企業はサプライチェーン上で発生する悪質な労働環境を「知らなかった」では済まされず、迅速で的確な対応が求められます。

強制労働や人権に関する事例

国内のアパレルメーカーの事例を紹介します。自社の取引先の中小企業が委託していたミャンマーの縫製工場で、悪質な労働環境で強制的な長時間労働があったとして、国際人権NGOから糾弾されたことがありました。

また、食品メーカーでも原料の調達時に、途上国で強制労働や児童労働の存在が明らかになったケースもあります。

例えば、チョコレートの原料のカカオ生産での実態が明らかになっています。カカオ生産量が世界1位と2位の国であるコートジボワールとガーナでは、2018年・2019年のデータで、18歳未満の児童労働者が156万人いたことがわかりました。児童労働には、児童の教育機会が失われること、農薬や重機を使う危険な労働にも関わっていることなど、さまざまな問題があります。

2017年のILO(国際労働機関)の資料によると世界で4,000万人いることがわかった「現代奴隷(強制労働・強制結婚の被害者)」は、水産業にも存在していると指摘されています。タイで暮らすミャンマーやカンボジアなどから移ってきた移民労働者などが、人身売買によって漁船で劣悪な環境のなか長時間の強制労働をさせられ、ほぼ無報酬に近い低賃金での暮らしを強いられています。

2014年以降、タイの労働保護ネットワーク(LPN:Labour Protection Network)は水産業における奴隷労働の被害者を救助しようと活動を行っています。2014年から2019年の間に救出した被害者の数は、3,000人に上ります。タイ政府は2016年にIUU漁業(違法・無報告・無規制:Illegal, Unreported and Unregulated)を規制する法律を制定しましたが、タイ近郊の海では今も現代奴隷の問題が残っており、被害者は数万人いるとわれています。

2. 外国人技能実習生への待遇

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人権リスクは大手企業・途上国に限った話ではありません。例えば、外国人の技能実習生への待遇は国内外から問題視されています。

日本には世界的な企業が多くあるため、日本の技術を学ぶために来日した技能実習生が約28万人います。また、技能実習生のなかには技術の習得だけが目的でなく、母国よりも賃金の高い日本で稼いで仕送りをすることで家族を養っている人もいます。

2017年11月には技能実習法(正式名称:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)が施行されました。それに伴い技能実習生は最長5年間は日本で働けるようになり、技能実習生の保護のため通報・申告窓口や、人権侵害の行為に対する罰則の整備など、技能実習制度が見直されました。

法務省が2022年4月に公表した「外国人技能実習制度について」によると、これまで受け入れ人数がもっとも多い国は、1位 ベトナム(58.1%)・2位 中国(13.6%)・3位 インドネシア(9.1%)で、2021年末時点で日本にいる技能実習生の数は276,123人でした。前年2020年末時点では378,200人だったため、コロナウイルスの影響で少なくなっているものの、依然として30万人近くの技能実習生が日本で暮らしています。

なお、職種別の従事者数では、1位 建設関係・2位 食品製造関係・3位 機械・金属関係で多いことがわかっています。

2022年4月時点では、86職種158作業で技能実習生を受け入れることができます。例えば以下のように、さまざまな仕事に技能実習生が関わっています。

建設関係
各種工事・左官・配管・内装仕上げ施工・防水施工など

食品製造関係
調味加工品・くん製品・水産練り製品・パン・ハム・ソーセージ・惣菜・医療福祉施設給食などの製造

機械・金属関係
鋳造・金属プレス加工・板金など

技能実習生を受け入れる側のメリットとして、最長5年働ける技能実習生に頼ることで人材が確保できたり、採用に伴うリスク(早期退職や教育費・広告費など)を抑えられたり、受け入れ時に作業工程を見直して効率化できたりなどが挙げられます。

技能実習生に対する人権侵害の問題

先述の通り2017年の技能実習法の施行により、技能実習制度見直され、管理監督体制の強化や技能実習生の保護が図られています。しかし、技能実習生には低賃金での長時間労働・受け入れ側の企業の従業員から受ける暴言や暴力・ハラスメントなど、幅広く深刻な課題があります。

技能実習生は母国に家族を残して出稼ぎに来ている人や、家族に仕送りをしなければならない人など、さまざまな事情を抱えている人含みます。そのため、相談先や支援体制など整備が進められたとしても、当事者は働き口を失うことを恐れて、周囲やそれら相談先・労働組合などに助けを求められないこともあるかもしれません。

技能実習生に対する職場でのいじめや過酷な労働環境などの人権侵害の実情が、国内のメディアで度々取り扱われますが、明らかになっていないケースも依然としてあるでしょう。一方で、当事者や一緒に働く同僚・関係者が自社の人権侵害をSNSに投稿することで、発覚することも考えられます。自社内でこのような状況がなかったとしても、下請けや関連会社で強制労働・人権侵害が発生していた場合、ブランドイメージの悪化や不買運動に繋がることが考えられます。

技能実習生からの申告で実際に裁判に至った例として、技能実習計画が要件を満たしていないことや不当な給与などの問題が法廷で争われ監理団体に対して賠償請求がありました。加えて、本件では実習生の意思に反して在留カードや旅券の預かり行為があり、雇用主は一部損害賠償請求を認めました。
実習生の旅券や在留カードを預かること・暴行・脅迫・監禁などは、禁止行為として法律に定められています

企業は自社事業を続けるなかで技能実習生に対して、不当な扱いをしていないか、ハラスメントは発生していないか、給与がしっかりと支払われているかなど、労働者の権利が保護・尊重されているかを配慮し、課題が見つかった際は迅速な対策を取る必要があります。

3.  CO2排出量の削減

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日本はエネルギー自給率が12.1%(2019年度)、他のOECD諸国と比べて低い水準に位置しています。ほどんどのエネルギーを輸入に頼っていますが、その84.8%が、石油・石炭・天然ガス(LNG)などの化石燃料です。

化石燃料の問題点とは

化石燃料の使用によってCO2排出されることは、気候変動の主な要因です。今後、新興国による化石燃料の消費量の増加が予測されており、CO2排出量の削減は世界で取り組まなければならない優先課題です。

日本の2020年度CO2排出量は11億5,000万トンです(前年度比5.1%)。2019年度世界のCO2排出量は336億トンであり、日本(3.1%)は中国(29.4%)・アメリカ(14.1%)・インド(6.9%)・ロシア(4.9%)に次いで5番目に排出量が多いです。

環境省によると、2018年度のCO2排出量約4億7,600万トンの業種別の比率は、製造業が一番多く87.7%でした。その内訳では鉄鋼業が一番多く37.7%、次いで化学工業が14.3%、石油製品・石炭製品製造業が6.6%を占めています。

また、経済成長や人口増加によって、世界のエネルギー消費量は更に増加すると見込まれています。このまま燃料を使い続けると各エネルギー資源は有限なので、今後確保することが難しいと懸念されます。つまり、企業も化石燃料を使い続けると自社事業が続けられなくなる可能性があります。

2021年OECDの発表によると、各資源の埋蔵量は以下の通りです。

  • 石油:54年
  • 天然ガス:49年
  • 石炭:139年
  • ウラン:115年

日本の再エネ電力比率は18%(2019年度)なので、さらなる普及やCO2を排出しない再生可能エネルギー(太陽光・風力・地熱など)への移行が期待されています。

製造業でも使用エネルギーを再エネに切り替えることで、製品の製造や配送・運輸の工程で脱炭素化に取り組めます。

まとめ

今回は、ジャパンSDGsアワードを受賞した製造業界の企業が取り組みに含んでいるSDGsの目標分析、製造業が気をつけるべき3点について解説しました。

国際的に関心の高まる人権問題は、自社だけでなくサプライチェーンにまで対象が広範囲になっています。サプライチェーンが長く複雑になりやすい製造業の企業が事業を続けていくには、人権侵害が発生していないかを定期的に調査して改善を目指しましょう。

加えて環境への対策も事業継続には重要で、原料から製品の廃棄に及ぶCO2排出量の削減に取り組みましょう。

自社でどのSDGs目標に取り組んでいくか迷っている場合は、自社だからできることを明らかにした上で、今回のように評価されている同業他社の取り組みを参考にしてみてください。

その際は、今回紹介した同業他社の取り組みをそのまま真似するのではなく、自社のバリューチェーンを分析して優先課題を明らかにし、目標・方針を決めていくことが必要す。
▶自社とSDGsの関係性を整理するための方法「SDGsマッピング」について、詳しく知りたい方はこちら

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更新日:2022年07月27日

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