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絶滅スピードが急激に加速|生物多様性を守るために私たちができること

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この地球上には、数えきれないほどの命が存在しています。豊かな自然環境のなかで多種多様な動植物が生息し、お互いに関わり合いながら共生していることを、「生物多様性」と言います。

呼吸するための酸素、毎日の食事、社会の産業を支える資源は、すべて生物多様性による恩恵です。生物多様性がもたらす恵みは、人間社会の存続に必要不可欠なものであるといっても過言ではありません。

しかし、環境破壊や気候変動によって、地球上の生物多様性に危機が迫っています。国連が実施した調査によれば、20世紀以降は地球上の種の絶滅スピードが急激に加速し、過去のどの時代よりも絶滅が進んでいます。

人間を含めた生物は、お互いに影響しあって複雑なバランスのなかで生きています。命と命のつながりである生物多様性を守るために、私たちができること、しなければならないことは一体何なのか、今一度考えてみてみましょう。

※この記事は、寄稿記事です。

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生物多様性とは?|人間の暮らしを支える生態系サービス

生物多様性とは、さまざまな種類の生き物がそれぞれの生息地で、個性を調和させながら生きていることです。

人間をはじめとした生き物は、単一の種のみで生きていくことは到底できません。異なる生き物同士でつながり、支えあって生きていくことで、豊かな地球の自然環境を構築しています。

生物多様性には、図1のように3つのレベルの多様性があります。*1

生態系の多様性とは、山・川・海、そして私たちが暮らすまちなど、たくさんの種類の生息環境があることです。北海道の釧路湿原や石垣島のサンゴ礁などには、多くの生き物が集まり、恵み豊かな生態系を築いています。

種の多様性とは、動物・植物・昆虫などのさまざまな生き物が存在していることです。多様な種類の生き物が存在することで、食物連鎖の循環も複雑になり、一部の生き物が減少しても、生態系を維持することができます。

そして、遺伝子の多様性とは、一つの種のなかに色や模様などの多様な個性があることです。寒さや病気への強さに個性があることで、環境の変化に適応して種を存続させることができます。

この3つの多様性が複雑に絡み合い、豊かな命を育む生物多様性を織り成しています。生物多様性がもたらす自然の恵みは、生態系サービスと呼ばれ、私たちの生活をさまざまな面から支えています(図2)。*2-1, *2-2

生物多様性 画像2

画像参照:図2 自然の恵み|環境省

生態系サービスは、酸素や水の供給、土壌形成などのすべての生命の生存基盤をつくるだけでなく、水や食べ物、資源なども供給します。さらに、大気や水をきれいにし、気候を安定させ、洪水や干ばつなどの自然災害を防ぐ役割も担っています

魚釣りや海水浴、登山など自然に触れ合うことで、豊かな感性を育み、癒しの機会を与えてくれるのも、生態系サービスの一つです。

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人間によって脅かされる地球上の生き物たち

生物多様性の危機は、人間活動によって引き起こされています。

乱獲や密猟、過剰な開発による森林伐採や埋め立て、人間の手によって持ち込まれた外来種などの影響によって、多くの希少な生き物たちが絶滅の危機にさらされてる状態です。

さらに、気候変動によって、気温や降水量などの環境条件が変化することも、生物多様性の損失につながっています。気温の上昇によって、生息域が北へ移動していくだけでなく、熱帯雨林やサンゴ礁などの生息地の減少により、種の絶滅を引き起こします。

加速する絶滅スピード

地球上に生息する生き物は、確認されているだけでもおよそ175万種、まだ発見されていないものも含めると、300万種から1億1,000万種以上いると考えられています。*3

国連が実施したミレニアム生態系評価によれば、過去の絶滅スピードが100年間で1万種あたり0.1種から1種であったのに対し、ここ100年では1万種あたり約100種もの生き物が絶滅しています。*4

つまり、現在の地球では過去の時代と比較して、100倍から1,000倍ものスピードで絶滅が進んでいるのです。

さらに絶滅速度に関しては、1975年以降は1年間で4万種もの生き物が絶滅しているというデータもあります。これはかなり衝撃的な数字で、過去とは比較にならないほどのすさまじいスピードで種が減少しているということになります(図3)。*5

種の絶滅速度

画像参照:図3 種の絶滅速度|環境省

恐竜の絶滅のように、種の絶滅は人間の関与がなくとも起こりうるものですが、ここ100年で急増している絶滅は、明らかに人間活動の影響によるものでしょう。

一度絶滅した動植物は、もう二度と地球上に戻ってくることはありません。このまま絶滅のスピードを食い止めることができなければ、生物多様性の損失はより深刻なものとなってしまいます。

レッドリストから分かる野生動物の現状

レッドリストとは、絶滅が危惧される野生生物を集めたリストのことで、生物多様性保全における重要な指標となっています。

世界規模のレッドリストは、IUCN(The International Union for Conservation of Nature:国際自然保護連合)が作成しています。IUCNのレッドリストによれば、41,000種以上の生き物が絶滅の危機にあり、これは全評価種の約27%を占めています(図4)。*6

IUCNのレッドリストで絶滅のリスクが高いと評価されている動物には、サイやレッサーパンダ、アフリカ象など動物園でもお馴染みの動物たちも含まれています。

日本の野生動植物に関しては、環境省が独自に作成したレッドリストがあります。日本には、日本のみで生息する固有種も多く存在しており、狭い国土の中に多様な生き物が生息しています。

環境省のレッドリストはおよそ5年を目安に見直しが行われており、2020年に改訂された第4次レッドリストには、絶滅危惧種として3,716種が登録されています。*7

その中で、近い将来、絶滅のリスクが極めて高いとされているのは、ラッコやニホンアシカ、トキ、ヤンバルクイナなどです。身近なところでは、ニホンウナギが二番目に絶滅のリスクが高いとされるカテゴリにランク付けされています。ニホンウナギの絶滅は古くから続く日本の食文化の継承という観点からも、大きな損失となるでしょう。

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生物多様性を守るために|今日からできること

生物多様性を守るために、私たちが生活のなかでできるアクションはたくさんあります。

CO2排出削減のアクション

地球規模で進行する気候変動は、生物多様性の損失要因の一つです。生物多様性の損失を食い止めるためには、CO2排出削減に取り組むことが重要です。

日本のCO2排出量の約6割が、衣食住やレジャーなどの私たちのライフスタイルに起因しています(図5)。*8

そのため、節電・節水・省エネ家電への買い替えをすれば、日々の暮らしのなかでエネルギーを節約し、CO2排出量を減らすことに貢献できます。マイボトルやエコバッグの持参によって、使い捨てプラスチックの使用を減らすことや、環境に配慮された製品を選ぶことも、暮らしの中でできるアクションの一つです。

一人一人が小さなアクションを起こすことで、ライフスタイルに起因するCO2排出を減らすことができれば、気候変動を食い止めるための大きな力となるでしょう。

食品ロス削減と地産地消の推進

世界では、年間約13億トンもの、まだ食べられる食料が廃棄されています。

そのうち日本の食品ロスは年間約612万トン、国民一人に換算するとお茶碗一杯分の食料を毎日捨てているという計算になります(図6)。*9

人間の手によって捨てられている食料は、すべて生態系サービスによってもたらされたものです。食品ロスを減らすことは、無駄になる食料を減らすだけでなく、食料を生産するための土地開発や農薬などによる土壌汚染を減らし、生物多様性の劣化を抑えることができます。

さらに、食品ロス削減と並んで、地産地消の推進も重要です。地産地消をすることで、生態系サービスがもたらす新鮮な食料を、無駄なく有効に活用することができます。

地元で販売される不揃い品や規格外の地産物を消費することも、食品ロスを減らすことにつながるでしょう。

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まとめ

さまざまな恵みをもたらす生物多様性は、私たち人間が生きていくためには、欠かすことのできないものです。しかし、豊かさを追求する人間社会によって、種の絶滅スピードは加速しており、生物多様性の損失は深刻なものとなっています。

このまま何も対策をしなければ、そう遠くない未来、これまで身近だった動物や植物が、次々と地球から姿を消してしまうかもしれません。そして、いずれは人類の存続自体も危ういものになってしまうでしょう。

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」では、森林、湿地、山地、乾燥地、内陸の淡水地域の生態系を守り、生物多様性を回復させることを目標としています。目標15のターゲットには、自然生息地の劣化を防ぎ、絶滅防止のための緊急の対策をとることも含まれています。

生物多様性を守るために、私たちにできることとは、まずは生物多様性と人間の生活との関わりを知り、そしてどう行動すべきかを考えることではないでしょうか。どんなに小さなことでも、一人一人が少しずつ行動していくことで、生物多様性保全と経済成長を両立できる、持続可能な社会へと変えていくことができるでしょう。

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