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SBTとは|企業の取得メリットと方法・他の認証との違いを解説

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大企業を中心に脱炭素の取り組みが活発になる一方、中小企業では脱炭素への取り組みも手探り状態で進める企業が続出しているのではないでしょうか?

2022年2月にアスマークと三井物産が共同調査した結果によると、CO2削減に関する業務や取り組み経験がなく、初めて担当になった方が約50%であることがわかりました。

SBT図2

そのため、右も左も分からないまま、手探りで取り組みを進めている中小企業の担当者がたくさんいます。

今回は、そのような担当者向けに、SBTの概要・メリット・似た制度との違い・取得までの流れについて解説します。

今回の記事は以下のような方にオススメです
  • SDGsの推進担当者
  • カーボンニュートラルや脱炭素の取り組みを学びたいビジネスパーソン
  • SBTの取得を検討中の方

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SBTとは

  • SBTとは「Science Based Targets」の頭文字を取ったもので、日本語では「科学的根拠に基づく目標」という意味です。

    企業が定めるCO2排出量が、気温上昇を産業革命前に比べ、2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑えることをめざすパリ協定と整合した温室効果ガス排出削減目標を立てていることを認証する国際認証です。

    CDP・UNGC(国連グローバルコンパクト)・WRI(世界資源研究所)・WWF(世界自然保護基金)の4つの機関が共同で運営しています。

SBT認証に申請するには、サプライチェーン排出量の毎年4.2%以上の削減を目安として5年から10年先の目標設定をする必要があります。

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SBTと中小企業版SBTの比較

SBT図5

SBT認証には、中小企業版SBTと通常SBTの2種類あります。

SBT認証の取得対象

通常SBTの取得対象は、特になくすべての企業・団体を対象にしています。一方で中小企業版SBTは、従業員500人未満・非子会社・独立系企業が対象です。

SBT認証の削減対象範囲

通常SBTの削減対象範囲は、スコープ1・2・3全てであることに対して、中小企業版SBTの削減対象範囲は、スコープ1・2です。

そのため、中小企業版のほうが算定のハードルが低く設定されています。ただし、申請時にスコープ3に対する算定と削減の意思を確認されます。

つまり、算定データは確認されませんが、中小企業版であってもスコープ3も算定し削減していくことが求められています。

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SBT認証の費用

  • 中小企業版SBTの申請・取得:1,000ドル
  • 通常SBTの申請・取得:9,500ドル

また、2030年までの短期目標に加えて、2050年ネットゼロ目標設定の申請も行えるようになりました。中小企業版SBTの申請と合わせて、ネットゼロ目標も申請する場合は、合計2,000ドルの費用がかかります。

ネットゼロとは、カーボンニュートラルとほぼ同義で、温室効果ガスあるいは二酸化炭素の排出量から吸収量と除去量を差し引きゼロにすることです。

SBT認証にかかる費用の詳細

<中小企業版SBTの場合>
中小企業版SBT(短期目標の設定)申請・取得:1,000ドル
ネットゼロのみ申請・取得:1,000ドル
中小企業版SBT(短期目標の設定)+ネットゼロ申請・取得:2,000ドル

<通常SBTの場合>
通常SBT(短期目標の設定)申請・取得:9,500ドル
ネットゼロのみ申請・取得:9,500ドル
通常SBT(短期目標の設定)+ネットゼロ申請・取得:14,500ドル

承認プロセス

通常SBTは、事務局による調査が必ず行われます。そのため、申請後、SBT事務局から目標の妥当性が確認されるので、それに回答する必要があります。

一方で中小企業版SBTは、申請すれば自動的に承認され、SBTi Webサイトに認証取得企業として掲載されます。

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SBTを取得する3つのメリット

SBT認証を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

SBTに参加することで、現状のCO2排出量の算定、削減目標の設定、削減状況の進捗を公表することになります。

企業にとって、将来を見据えた対応が明確になり、パリ協定の目標に整合する持続可能性が高い企業であることをステークホルダーに対してアピールできます。また、気候変動に対処する姿勢に評価が高まり、企業価値の向上にもつながるでしょう。

その他、具体的なメリットを3つ紹介します。

メリット1:SDGsへの貢献

SDGsの取り組みが多くの企業で普及しています。しかし、多くの企業が目標を決める、SDGs宣言をする段階にとどまり具体的な行動を進めて公表する企業はまだ多くありません。

そのため、国際認証であるSBTを取得していれば、自社がいつまでにどれくらいのCO2を削減するのか具体的な目標と行動をステークホルダーに訴求することができるので、本質的にSDGsに取り組んでいる企業として認知されます。

メリット2:資金調達・経費削減に有利

金融機関ではCO2削減の取り組み状況に応じて、金利を優遇する制度が増えています。加えて、補助金などを受ける際の加点にもつながります。

また、現在政府が導入を検討している二酸化炭素排出量に対して価格をつけるカーボンプライシングが施行された場合、企業は二酸化炭素の排出量に応じてお金を払わなければなりません。日本社会ではカーボンニュートラルに向けた制度づくりが進んでいるため、余分な費用を節約する効果も見込めます。

メリット3:競争優位性の獲得

日本国内でSBTを取得する企業が増えており、大企業が取引先にCO2排出量を削減するよう要請を出しています。そのため、取引先の多くは対応に追われています。

そのため、日本社会がカーボンニュートラルに進み始めたいまの段階からCO2排出量の削減に取り組むことで、気候変動対策に前向きな大企業と取引機会を作り、受注を増やすきっかけにつながります。

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[事例]SBTを取得した企業

前述の通り、SBT取得企業が増えています。具体的にどのような企業がSBTを取得しているのでしょうか。

SBTを取得している企業数の増加

2022年7月時点で日本企業213社がSBTを取得していますが、そのうちの約42%の90社が中小企業です。

取得企業

SBT図6

2018年には20社だったSBT取得企業が、2022年7月までの4年間で約10倍に増えています。このことから、カーボンニュートラルへの興味関心が高まっています。

しかし、カーボンニュートラルの実現は中小企業がいくら取り組んでも影響力が少ないのではと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですが、最近は大企業からSBT取得が求められるようなケースも増えています。

大企業からSBT取得が求められるように

この表のように、カーボンニュートラルを目指す大企業がサプライヤー企業にCO2削減の要請をする動きが出てきています。

例えば大和ハウスは、サプライヤーの90%にSBT目標を設定するよう要請しています。これは、カーボンニュートラルを目指す大企業はスコープ3(間接的に排出しているCO2)を含めた対策が求められるためです。

今後、自社のサプライヤーに対しても協力を仰いで行く動きが広がっていくことが予想されます。

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ISO14001・RE100・エコアクション21との違い

この記事を読んで、SBTについて初めて聞いたという方も多いのではないでしょうか。多くの中小企業に馴染みがあるISO14001・エコアクション21・RE100との違いについて解説します。

ISO14001

ISO14001は、ISO(国際標準化機構)によって発行された国際規格です。企業が構築する環境マネジメントシステムが満たすべき必須事項がまとめられており、企業が環境への負荷を最小限にするよう定めた仕様書です。取得した企業は、環境マネジメントにおいて国際規格を満たしていると証明できます。

RE100

RE100は、事業活動を100%再エネ電⼒で賄うことを⽬標とする企業連合です。2014年に結成されました。

RE100では、⾃社グループ全体の消費電⼒を、2050年までに再エネ100%にすることが求められます。また、2030年までに60%、2040年までに90%の再エネ割合を中間⽬標にすることが推奨されています。SBTは電力を含むサプライチェーン排出量全体を対象としているのに対し、RE100では電力に限定しているところが主な違いです。

エコアクション21

エコアクション21は、1996年に環境省が策定した環境マネジメントシステムです。環境経営を支援し、企業価値を向上させる日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。中小企業が取り組みやすいよう規定されているため、エコアクション21は中小企業向けの制度だと言えます。

また、ISO14001やエコアクション21は、経営面での管理手法について定めているもので、具体的な対策の内容や水準を定めるものではありません。つまり、SBTのような具体的なCO2排出量の削減について言及するものではありません。そのため、カーボンニュートラルを目指す上では取り組みが不十分になる可能性が高いです。

このような理由から、カーボンニュートラルの達成に前向きな企業は、SBT認証取得を進める傾向があります。

中小企業版SBTを取得する3ステップ

では、どのようにSBTを取得するのでしょうか。SDGs media を運営する株式会社Dropが中小企業版SBTを取得した際の以下の3つのステップを解説します。

ステップ1:排出量を算定
ステップ2:削減目標の設定
ステップ3:SBTへの申請・承認確認

SBT図8

ステップ1:排出量を算定

まず、過去数年分のエネルギー使用量(Scope1・2)のデータを集め、それらをエクセルなどの表にまとめて、適切な排出係数をかけ算することで排出量を算定します。

ステップ2:削減目標の設定

次に、算定結果をもとに基準年と、そして2030年までに達成する目標を決めます。その後、SBT認証を申請するか否か、社内の合意を取りましょう。

ステップ3:SBTへの申請・承認確認

最後に、SBTへの申請を行います。申請はSBTのWebサイトから行います。海外の機関なので、やり取りは全て英語で行います。

申請後、しばらくするとインボイスが届くので、登録費用1,000ドルを海外送金をします。

 

弊社がSBT申請・取得をした際は、算定からSBT申請・取得が約3カ月で完了しました。中小企業版SBTが取得できると、コミュニケーション・ウェルカムパックが届きます。こちらには、ロゴデータやガイドラインが同封されているので、それらに則ってプレスリリースや自社Webサイトで情報開示を行います。

また、通常SBTの場合は、ステップ3の承認の前にSBT事務局が妥当性を確認する手順があります。

CO2排出量の算定・削減方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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【お悩み】SBT取得で担当者が困る2つのこと

SBTを取得した企業は、毎年、CO2排出量を算定し、自社Webサイトで開示することが求められています。そのため、少なくとも年に1回はCO2排出量を算定し、削減に向けた取り組みの進捗を確認しましょう。

また、実際に手を動かす中小企業ではこういった課題がよくあります。1点目が、CO2排出量算定の課題。2点目が、申請時のコミュニケーションに関する課題です。

1点目の算定時の課題として、CO2排出量の算定ができる知識を持った社員がいない。自社で算定した結果の妥当性が不安といった声をよく聞きます。

2点目の申請時のコミュニケーションに関する課題では、英語でのやり取りに不安があるといったお声もあります。

これら、すべてを自社で実施することが難しいと感じられる方は、SBT申請を代行してくれる外部のコンサル会社に依頼するのも選択肢の1つとしてオススメです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、通常SBTと中小企業版SBT・他の企業が取得できる環境分野の認証との違いについて解説しました。

皆さんは、日本においても年々気温が上がっていることを感じられていませんか? 気候変動への対策は、今後すべての企業に求められ、SBTを取得する企業は増えることが予想されます。

私たちは、気候変動対策に取り組む中小企業を1社でも増やし、誰もが当たり前に環境問題に取り組むことができるような社会をつくりたいと考えています。この機会に、気候変動対策について取り組むきっかけとなれば幸いです。

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