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SDGコンパス超解説|ステップ2 優先課題の決定に必要な4つのこと

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こちら記事では、企業のSDGs/サステナビリティ推進に欠かせないSDGコンパスのステップ2「優先課題を決定する」ですべきことをまとめています。紹介している内容は、SDGs media を運営する株式会社Dropが企業向けの研修・コンサルティングのなかでお伝えしているものです。

そのため、最後まで読んでもらえれば企業がSDGsに取り組む方法や、推進でつまづきやすいポイントなど、実践的な情報を知ることができます。

当社は、ステップ2「優先課題を決定する」で必要なことは次の4つだと考えています。

推進担当者がステップ2で実行すること
  • バリューチェーン分析でリスクと機会を洗い出す
  • 自社に関する社会課題・自社のありたい姿について議論する
  • 優先課題の重み付けをする
  • 決めた優先課題について経営層の承認を得る

この記事を最後まで読んでもらえればこの4つの実行方法やポイントがわかります。SDGs推進を行う際はぜひ参考にしてください。

他のステップを解説した記事はこちら

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ステップ2ですべきことの全体像

まずは企業のSDGs推進担当者が、ステップ2「優先課題を決定する」ですべきことの全体像をつかみましょう。ステップ2では以下の流れで4つのことを実行して、次のステップ3「目標を設定する」に進みましょう。

ステップ2「優先課題を決定する」ですべきことの全体像
  1. バリューチェーン分析でリスクと機会を洗い出して優先課題の候補を出す
  2. 推進担当者同士(推進委員会)で自社に関する社会課題と自社のありたい姿について議論する
  3. 優先課題に重み付けをして自社が取り組む重要課題を決定する
  4. 重要課題について経営層から承認を得る

    ステップ2について解説する本記事では、課題・優先課題・重要課題と3種類の課題が出てきます。まぎらわしいため以下の表で整理します。この違いを踏まえてこのあとを読み進めてください。

    課題自社のバリューチェーン分析で出てきたリスクと機会の項目
    優先課題出てきた課題をリスクと機会それぞれの2軸の図に配置した際に、右上のエリアに属する課題
    重要課題優先課題を2軸の図に配置した結果、自社で取り組むことに決めた課題

    次からステップ2ですべき4つのことについて詳しく紹介していきます。

    1. バリューチェーン分析でリスクと機会を洗い出そう

    ステップ2「優先課題の決定」ですべきこと1つ目は、バリューチェーン分析です。バリューチェーンとは、自社が生産する商品の原材料の調達から、生産・販売・使用・廃棄など一連の流れを指します。

    SDGコンパスでは上記のようにバリューチェーンが表されています。ただ、どんな企業にもこの流れが当てはまるわけではないため、自社の事業に合うバリューチェーンを描くところから始めます。

    例として当社が支援した株式会社b-ex(頭髪用化粧品製造業)のバリューチェーン分析の結果を掲載します。

    同じ業界であればバリューチェーンが似ているため、同業他社の情報を参考にしてもいいでしょう。補足として、サプライチェーンという似た用語がありますが、ここではバリューチェーンとサプライチェーンは同義であると理解して問題ありません。

    次に自社のバリューチェーンのなかでどんなリスクと機会(課題)があるのか、次に紹介する方法で洗い出していきましょう。

    リスクと機会を洗い出す方法

    まずはバリューチェーンに設定した各項目に関係しているステークホルダーを書き出しましょう。例えば原材料の仕入れ先企業や自社商品を卸す先の問屋などです。

    そのバリューチェーンを俯瞰して見ながら、関わりのあるリスクと機会(課題)を出していきましょう。この際、世の中にどんな社会課題が存在するのかわかっているとアイデアが出しやすいので、そのような社会課題リストを用意しておくことがオススメです。

    また、競合他社や取引先が設定している重要課題の情報も、自社のリスクと機会を洗い出す際の参考になります。各社で書いている内容は異なりますが、なるべく抽象化してどんな内容を重要課題に設定しているのか把握すれば、自社にも関係するリスクと機会(課題)が浮かび上がってきます。

    自社だけで洗い出しをすると、どうしても視点が狭くなってしまうので、取引先・従業員・エンドユーザー・地域社会などのステークホルダーにアンケートやヒアリングをして、自社を取り巻くリスクと機会(課題)を洗い出すことも効果的です。ステークホルダーヒアリングに関しては、このあとより詳しく説明します。

    企業規模や事業内容にもよりますが、このような方法によって20個から30個ほどのリスクと機会(課題)を出すことができ、これが優先課題の候補になります。

    優先課題の候補はなるべく具体的に書き出す

    優先課題の候補となるリスクと機会(課題)は、輸送時のCO2削減など単語だけで出さずに、自社における具体例を盛り込んで書くようにしましょう。具体的にしておくとその後の解決策を考えやすくなるからです。

    例えば、輸送時のCO2削減も「納期短縮のために飛行機で輸送することによるCO2排出量の削減」と具体的に書き出すことをオススメしています。そうすれば、この項目が自社の取り組む重要課題になった際に、目標に変換したり行動に落とし込んだりしやすくなるのです。

    具体的に書き出す際には、原因と結果をセットに考えるとスムーズになりやすいです。「〇〇という原因によって、△△という結果が起きている」といった具合で考えましょう。例えば「パーム油の生産(原因)による森林破壊(結果)」といった具合です。

    そして重要課題には社会課題と関連していることが選ばれるため、結果に書く課題(△△)は社会課題に繋げておく必要があります。このポイントを忘れずに重要課題を決めていけば、ステップ3「目標を設定する」がやりやすくなります。

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    ステークホルダーヒアリングをオススメする3つの理由

    精度の高いリスクと機会(課題)を抽出することを目指すなら、ステークホルダー(自社の直接・間接的な利害関係者)の意見を参考にしましょう。ステークホルダーの意見を集めることをステークホルダーヒアリングといいます。

    ステークホルダーヒアリングで相手に聞く内容はさまざまですが、例えば取引先であればその企業が取り組んでいる課題や、自社と共同で取り組むことで解決できそうな課題などが該当します。

    ここでは、当社がバリューチェーン分析の段階で、自社のステークホルダーへのヒアリングをオススメする3つの理由を紹介します。

    自社だけでは持ちにくい視点が得られる

    自社のバリューチェーンを俯瞰してみるとわかりますが、各項目に含まれるリスクと機会(課題)は、自社の社員が持っている情報だけでは明らかにできないものもあります。そのため、自社のステークホルダーからの情報が必要なのです。

    社外とのSDGsに関するコミュニケーション機会になる

    SDGsやサステナビリティに関するステークホルダーの意見を聞くことで、それらへの意欲度合いを確認することができます。ステップ2以降で決める目標や目標達成に向けた取り組みに、ステークホルダーを巻き込みやすいのかどうか、ステークホルダーヒアリングの反応から読み取れる部分があるのです。

    自社の強みや存在意義がわかる

    バリューチェーン分析のような機会がなければ、ステークホルダーからSDGsや自社に関する意見を聞く機会はあまりないでしょう。これを機にリアルな意見を集められれば、バリューチェーン分析をするうえで参考になる、社外から評価される自社の強みや存在意義を知れるきっかけになります。

    出てきた課題の中から優先度の高い課題を絞り込む

    ここまで紹介してきた内容をもとにリスクと機会(課題)を書き出せれば、まずは似たような項目をまとめて分類しましょう。次に、以下のような2軸の図をリスク用と機会用の2種類用意して、その中に書き出したリスクと機会(課題)を配置していきます。

    リスクと機会の2軸図

    リスクの図は、横軸が深刻度(回復可能性/波及度)・縦軸が発生可能性になり、機会の図は横軸が事業にもたらしうる便益・縦軸が社会にもたらしうる便益になります。その度合いに応じて課題を配置していくことで、それが自社にとってどれくらい重要なのか判断できるようになります。

    リスクと機会それぞれの図の右上のエリアに配置された課題が、自社の優先課題です。

    とはいえ、この段階の配置によって自社の優先課題が確定するわけではないので、このあとの議論や重み付けによって変更する余地を残しておいて問題ありません。

    次に優先課題と重要課題を決める前に必要な2つの議論をします。

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    2. 議論をしよう|自社に関する社会課題と自社のありたい姿について

    SDGsバリューチェーン分析の議論

    ステップ2「優先課題の決定」ですべきこと2つ目は、2つのトピックについて議論することです。この議論によって、3つ目のすべきことである「優先課題の重み付けをする」が実施しやすくなります。

    この段階の議論によって、優先課題の候補(リスクと機会)の背景にある社会課題への理解が深まり、優先課題の重み付けをする際の尺度への共通理解が強まるといった効果が期待できます。また、この機会に担当者同士の議論に慣れておけば、これ以降も発生する議論がスムーズに行いやすくなります。

    このような議論の必要性はSDGコンパスに書かれているわけではありませんが、当社がこれまで優先課題の決定を支援してきた経験上、この段階で議論を行うことはこのあとのSDGコンパスのステップをスムーズに進めるために重要だと考えています。

    議論の題材1:自社に関係する社会課題への理解を深める

    バリューチェーン分析によって、20個から30個ほどの優先課題の候補が出てきました。ここでは、それらが議論の題材になります。

    それらの背景にある社会課題について調べて持ち寄ったり、どの優先課題がどういった理由で重要なのかと話し合ったり、自社が特定の課題に取り組むことで生み出せる価値を言語化したりするなど、議論することで自社に関係する社会課題により多く深く触れる機会にしましょう。

    議論の題材2:自社のありたい姿を共有する

    2つ目の題材は「SDGs/サステナビリティ推進によってどういう企業になりたいのか?」です。この先、優先課題の中から自社が取り組む重要課題を絞り込む際に「自社にとっての重要度」という指標があります。

    この指標の尺度として「どんな会社になりたいからSDGs/サステナビリティに取り組むのか?」という問いに対する、担当者それぞれが持つ考えを話し合って、共通の答え・解釈を言語化することを目指しましょう。この議論によって、自社にとっての重要度の指標に対して優先課題を配置しやすくなります。

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    3. 優先課題の重み付けをして重要課題を決める

    ステップ2「優先課題の決定」のすべきこと3つ目は、優先課題の重み付けをして自社が取り組む重要課題を決めることです。ここで用いるのは先程紹介したリスクと機会の2軸の図とは、軸の内容が異なる以下の2軸の図です。

    重要課題の2軸

    ここまで実施したバリューチェーン分析と2つの議論の内容を踏まえて、自社の優先課題の配置を再検討していきます。配置場所については話し合いながら決めていきましょう。その結果、完成するのは以下のような図です。

    このような2軸の図の右上に配置されている項目が重要課題です。ただしこの場所にあるからといってすべての重要課題に取り組む必要はありません。

    特に、重要課題に関する取り組みに使えるリソースが限られる中小企業は、重要課題の決定後の取り組みに必要な事柄を想定しながら、取り組み対象にする重要課題の上限数を設けることも大切です。

    4. 重要課題について経営層の承認を得る

    ステップ2「優先課題の決定」ですべきこと4つ目は、自社が取り組む対象として定めた重要課題に対して経営層からの承認を得ることです。

    SDGs/サステナビリティの推進は全社的に取り組むことであり、自社の経営に深く関わります。自社の行く先を決める立場にある経営層に対して重要課題に関する決定事項を説明して理解・納得してもらいましょう。

    この段階で重要課題への承認を得ておかなければ、このあとの取り組み途中で経営層によって推進が停止されてしまうおそれがあります。

    重要課題を理解するためには一定の知識が必要であるため、経営層のSDGs/サステナビリティ推進に関する理解度に応じて、ステップ1「SDGsを理解する」で行ったような学習の機会を設けるようにしましょう。

    次のステップ3に向けて組織体制の変更も

    SDGコンパス超解説|ステップ1では何を理解すべきか?の記事内で、各部署の中間管理職や若手社員も担当者に加えてバリューチェーン分析を実施することをオススメしています。

    そのため優先課題を決めるステップ2までは、そのような社員が担当者を務めているケースも多いです。しかし、次のステップ3「目標を設定する」では、成果目標や行動目標を決めるため、そのような経験を持ち目標の責任者にもなる役職者が、新たに担当者を任されて中間管理職や若手社員は担当を外れることもあります。

    途中から担当者になる人がいる場合は、ステップ1「SDGsを理解する」で学ぶ内容を事前に理解しておいてもらうことや、バリューチェーン分析の経過を記録した資料を残しておくことなどによって、スムーズに担当者として役割を果たしてもらえるようにしましょう。

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    まとめ

    ここまで読んできてステップ2「優先課題の決定」ですべき4つのことは把握できたでしょうか。

    シンプルに言えばステップ2ですべきことは、バリューチェーン分析によって優先課題を洗い出しその中から重要課題を決定することです。

    このすべきことを効果的に実行するために、当社ではこの記事で紹介した以下の4つのことをオススメしており、コンサルティング・研修でバリューチェーン分析や優先課題の決定を支援する場合もこれらの手法を基本に置いています。

    ステップ2「優先課題を決定する」ですべきことの全体像
    1. バリューチェーン分析でリスクと機会を洗い出して優先課題の候補を出す
    2. 推進担当者同士(推進委員会)で自社に関する社会課題と自社のありたい姿について議論する
    3. 優先課題に重み付けをして自社が取り組む重要課題を決定する
    4. 重要課題について経営層から承認を得る

    SDGs media を運営する株式会社Dropでは、SDGコンパスに沿って推進を進める際に役立つ教育コンテンツ・研修eラーニングコンサルティングサービスなどを提供しています。

    優先課題の洗い出し・重要課題の決定に関する支援サービスも受け付けています。お問い合わせをいただければ、まずは状況や要望について担当者が丁寧にヒアリングいたしますので、気軽にご連絡ください。

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