プラスチック新法とストロー廃止|問題の経緯・企業の取り組みを解説
最近、街のレストランやカフェを利用したときに、「あれ?ストローって無くなったのかな?」と思ったことはありませんか?
実は、スターバックスコーヒーや、すかいらーくグループをはじめとした企業では、「今後数年間で、プラスチックストローを廃止する」取り組みが行われているのです。
この取り組みは、2022年4月に施行されたプラスチック新法が関わっています。今回の記事では、プラスチック新法の内容や私たちの生活がどう変わるのか、プラスチックストローの廃止に向けた企業の取り組みなどをご紹介していきます。
今回の記事はこんな人にオススメです
- プラスチック新法について知りたい
- プラスチック新法が私たちの生活とどう関わるのかを知りたい
- プラスチックストローの廃止に取り組んでいる企業事例を知りたい
目次
2022年4月施行 プラスチック新法で何が変わる?
新たに施行されたプラスチック新法によって、私たちの生活はどう変わるでしょうか。
プラスチック新法とは
2022年4月1日に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(略称:プラ新法)が施行されました。プラ新法には、プラスチック資源の循環を促進するための措置が盛り込まれています。
その対象は、プラスチックのライフサイクル全般で、具体的にはプラスチック製品の設計・製造から消費者が購入してゴミとして廃棄されるまでのすべての場面で関わる企業・団体・人が含まれます。
プラスチック新法施行の背景
プラスチックは軽くて丈夫で利便性が高いことから、国内での技術開発が積極的に行われてきました。一方で、金属や他の素材と比べて有効的に利用される割合は、世界全体でいまだ低いままです。
不適切な処理が原因で、ある試算では年間で約800万トンのプラスチックごみが海に流れており、2050年には魚の重量を上回るプラスチックごみが海に流出するとされています。
また、日本が抱える現状の課題は、廃棄量と廃棄先です。
廃棄量では、ワンウェイのプラスチック容器包装の1人当たりの廃棄量が世界で2番目に多い現状があります。
廃棄先では、アジア各国で輸入規制の拡大があります。2018年に日本の廃棄プラスチックの輸出量は世界第3位の規模で、輸出先の50%以上が東南アジア諸国でした。輸入規制が厳格化される以上、廃棄プラスチックを自国で処理しなければなりません。
こうした背景から、これまで以上に国内の資源循環が求められており、プラスチック新法によって3Rがさらに推進されることが期待されています。
ストローやフォークなどプラ新法で対象となるプラスチック製品の一覧
プラスチック新法では、取り組みの対象となるプラスチック使用製品が定められています。
普段使用しているプラスチック製品が含まれているかどうか、一覧から探してみましょう。
プラ新法で対象となるプラスチック製品の一覧
対象業種 | 対象製品 |
小売業 宿泊業 飲食店 持ち帰り・配達飲食サービス業 | ストロー・フォーク・スプーン・テーブルナイフ・マドラー |
宿泊業 | ヘアブラシ・くし・かみそり・シャワーキャップ・歯ブラシ |
小売業 洗濯業 | 衣類用ハンガー 衣類用カバー |
※環境省の「特定プラスチック使用製品提供事業者の業種」参考にSDGs mediaが作表
プラスチック新法が関わる生活シーン事例
プラスチック新法によって、私たちの生活にどのような変化があるでしょうか。
皆さんがよく行く場所でも以前と比べて変化があるかもしれません。
弁当や飲み物を購入する場面
withコロナ時代となり自宅で過ごす時間も増えたため、コンビニやスーパーで弁当や飲み物を購入したり、飲食店でテイクアウトしたりすることが以前と比べて多くなったのではないでしょうか。
プラスチック新法の施行により、商品を購入する場面で、これまで無料でもらえていたプラスチックのフォークやスプーン、ストローが店側から必要か確認されるようになります。
これは、ワンウェイ使用のプラスチック量を減らすための行動の1つです。
そして、店側にも何度も使用できるような環境に配慮した製品の提供が求められます。同様に、消費者も使い捨てにならず環境にいいものを選ぶことが期待されています。
ゴミ出し・回収の場面
自治体によって細かなルールは異なりますが、プラ新法により分別をさらに求められる可能性があります。分別ルールが更に細かくなることや、自治体主導で再商品化できるような環境にいい商品を使うよう促進していくことなども考えられます。
出張や旅行などで宿泊の場面
出張や旅行先のホテルで無料提供されていたプラスチック製の歯ブラシ・くし・かみそりなどのアメニティが有料になります。そのため、アメニティは自宅から持っていく、もしくは現地で購入しなければなりません。
プラ新法に関わるプラスチック資源循環戦略とは
プラ新法の解説の最後に、プラ新法に関係のある「プラスチック資源循環戦略」も解説します。合わせて知っておきましょう。
プラスチック資源循環戦略は、プラ新法の成立に先立ち、2019年5月に日本政府によって策定されました。この戦略では、リユース・リデュース・リサイクルの3R+Renewableを基本原則としています。
一度の使用で捨てられるワンウェイの容器包装・製品を減らすことや、効果的な分別回収・リサイクルをすること、紙やバイオマスプラスチックのような再生可能資源・再生材に適切に切り替えることなどプラスチック製品の循環利用を目指しています。
プラスチック新法が目指すゴール
プラスチック新法は世界的に問題となっている資源不足や環境問題の解決を目指しています。それだけでなく、経済成長や新たな雇用の創出を目指すことで、SDGsが目指している持続可能な発展に貢献しようとしています。
また、国を超えたパートナーシップを発揮することも期待されており、以下の6つのマイルストーンの達成を目指すことで、必要な投資活動や技術・消費者のライフスタイルのイノベーションを促進しようとしています。
6つのマイルストーン一覧
リデュース | 1. 2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制 |
リユース・リサイクル | 2. 2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに 3. 2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル 4. 2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用 |
再生利用・バイオマスプラスチック | 5. 2030年までに再生利用を倍増 6. 2030年までにバイオプラスチックを約200万トン導入 |
※環境省|プラスチック資源循環戦略(概要)を参考にSDGs mediaが作表
ストローの使用禁止を発表した日本で有名な10企業の取り組み一覧
日本に住む方なら誰でも知っているような飲食店である「スターバックスコーヒー」や「マクドナルド」をはじめ、多くの有名企業では使い捨てのプラスティックストローの廃止に向けた取り組みを発表し、実行に移しています。
ここでは、日本でも有名な10企業における、プラスティックストロー廃止への取り組みをご紹介していきます。
スターバックス・コーヒー
アメリカの大手コーヒーチェーン店であり、日本でも“スタバ”の愛称で親しまれているカフェ、「スターバックス・コーヒー」では、2020年までに世界中の店舗(約28,000店)から従来の使い捨てストローを全廃すると発表しました。
また、スターバックス・コーヒーは現在、プラスティックストローの代替品として、紙製のストローと、リサイクル可能でドリンクの吸口が付いたプラスティック製のフタの導入を進めています。
スターバックス・コーヒーにおける年間のストロー消費量はおよそ10億本ともいわれており、スターバックス・コーヒーのストロー廃止への取り組みは、世界的にも大きな影響を与えると考えられます。
マクドナルド
日本でもお馴染みのハンバーガーチェーン店「マクドナルド」では、イギリスとアイルランドの一部の店舗において、2018年5月より紙製のストローへの切替を実施しています。2019年までに、両国の全店舗(約1,300店)での切替が完了する見通しです。
また、2025年までには全世界のマクドナルドの店舗でプラスティックストローを廃止すると同時に、ハンバーガーの包装紙や持ち帰り用の箱、袋に関しても、リサイクル可能な資源に切り替えること目指しています。
日本のマクドナルドでは、今後の具体的な流れは定まってはいないものの、2025年までにプラスティック製品を廃止するための取り組みを検討しています。
マクドナルドを利用者の声
台湾のマクドナルド、ストローの提供をやめて、カップのフタがこうなりました pic.twitter.com/cLHHFuzgqs
— Nicholas (@keiji_nicholas) June 7, 2019
ウォルト・ディズニー・カンパニー
「ウォルト・ディズニー・カンパニー」は、2019年の半ばまでには、世界中のディズニーランドをはじめとした関連施設でのプラスティック製ストロー、およびマドラーの使用を禁止すると発表しました。
この発表の後、2019年4月18日にパリのディズニーランドでプラスティック製ストローの使用が禁止されたのを皮切りに、世界各地の関連施設において、プラスティック製ストロー廃止に向けた取り組みが開始されています。
日本のディズニーランド、およびその関連施設は運営母体が異なるために、プラスティック製ストローの廃止に向けた取り組みに関しての明確な決定はされていません。しかし、プラスティック廃棄物の削減に取り組む意向は示しているので、今後、新たな動きがあると考えられます。
ヒルトン・ホテルズ&リゾート
「ヒルトン東京」や「コンラッド東京」など、日本でも複数のホテルを運営している大手ホテルチェーン「ヒルトン・ホテルズ&リゾート」では、2030年までに2008年比でプラスチック製品を中心とした廃棄物の半減を目指すことを発表しました。
その流れを受け、「ヒルトン名古屋」では、2018年8月より、客室や宴会場で使用するプラスティック製の水の容器を廃止し、代わりに再利用可能なガラス瓶を導入しました。ストロー以外の部分でも、プラスティック廃棄物削減へ向けて積極的に取り組んでいます。
ヒルトンホテル利用者の声
そうか…ヒルトンはプラスチック製ストロー廃止の方針を打ち出していたものね。紙製ストローを使ったのは初めてだったけど、不都合などは特に感じなかった。 pic.twitter.com/aKNK90qeEK
— 青海 (@oceanblue_sky17) September 29, 2018
すかいらーくグループ
「ガスト」や「バーミヤン」など、有名ファミリーレストランを運営している大手レストラングループ「すかいらーくグループ」は、2020年までに、国内外の店舗約3,200店においてプラスティック製ストローの利用を止めると発表しました。
ガスト利用者の声
昼にガストへ行って、ドリンク飲むためストロー探したら中々、見つからず探してました
— 令和2年目も頑張る@God kazu???? (@godkazu2017) March 4, 2019
(・д・ = ・д・)キョロキョロ
ストロー廃止の表記を発見‼️
環境保護????????は大事ですよね
(*-ω-)ウンウン
ストローなくても全く問題ありませんでした(* ̄∇ ̄*) pic.twitter.com/SWoc0HKMGd
ANAホールディングス
「ANAホールディングス」は、2020年度末までに空港やラウンジ、航空機内で使用している使い捨てのプラスティック製品について、重量ベースで約70%の製品を環境に配慮した素材に切り替えると発表しました。
年間でストローが約400万本、マドラーは約1,050万個消費されているといわれており、今後はストローを紙製に、マドラーやスプーン、フォークなどは木製に順次切り替えられます。
セブン–イレブン・ジャパン
「セブン–イレブン・ジャパン」は、2019年10月末に、セブンカフェ用のストローを全て環境に配慮した素材の製品に切り替えると発表しました。2019年11月5日から全店舗約21,000店で、紙製ストローと生分解性(微生物の力で水と二酸化炭素に分解可能)を持つ素材を使ったストローに変更していきます。
セブン–イレブン・ジャパンでは、以前より高知県内の一部の店舗で、「PHBH」と呼ばれる100%植物由来のバイオポリマーを使用したストローを試験的に導入しており、その結果を踏まえて今回の決定を行いました。
セブンイレブン利用者の声
セブン ストローなしで飲めるフタ 社会情勢の変化、技術革新 流れにのらないといけないんだろうなぁ pic.twitter.com/LMoDUGemLI
— sakana7777 (@sakana7777) November 18, 2019
KFCコーポレーション(ケンタッキーフライドチキン)
ケンタッキーフライドチキンを運営する大手ファストフードチェーン「KFCコーポレーション」は、2018年6月以降に、シンガポール、フランス、香港の各店舗において、プラスティック製ストローの使用を禁止しました。
日本のケンタッキーフライドチキンでも、プラスティック製ストローの代替品を検討しています。
ケンタッキーフライドチキン利用者の声
Thank you #KFC France for using #PEFC certified fiber on buckets, cups, and straw to help safeguard forests together! #20yearsofcaring #mypefcmoment pic.twitter.com/XWXpIqM31F
— Huong Thai Maggi (@HuongThaiMaggi) August 6, 2019
サンリオ
「ハローキティ」や「サンリオピューロランド」などが有名な会社「サンリオ」は、環境問題への取り組みとして、ハローキティがデザインされた紙製のストローを2019年7月に発売しました。
また、サンリオが運営するテーマパーク「サンリオピューロランド」と「ハーモニーランド」の一部のレストランでも紙製のストローを導入し、年間で約40万本のプラスティックストローを削減する取り組みも行なっています。
サンリオピューロランド利用者の声
ピューロランド????
— ひとみほのか???? (@honoka_hitomi) October 8, 2019
マイメロちゃん部屋がとにかく可愛かった????写真撮ってもらってテンション⤴︎⤴︎
三姉妹お揃いで名前入りストラップ
3人揃って同じもの持つのお初????
ストローが紙で神!????←伝わるかな?
一緒に行ってくれたお姉ちゃんありがとうね!! pic.twitter.com/pQo9Qbgul7
株式会社コシダカホールディングス(カラオケ「まねきねこ」)
国内で500以上の店舗があるカラオケボックス「まねきねこ」を運営する会社「コシダカホールディングス」は、2018年10月より、「まねきねこ」をはじめとする運営施設でのプラスティック製ストローの使用を禁止しました。
カラオケボックスでのプラスティック製ストロー廃止に向けた取り組みは、業界内では初の試みです。
まねきねこを利用者の声
久々にまねきねこに来たら、紙ストローになってた。海洋ゴミの問題に配慮とのこと、大事ですね。
— アオスズメ (@aosuzume610) September 21, 2019
アプリはかなりイマイチだけどな#環境 pic.twitter.com/2k94Q9Iw7a
プラスティックストローの代替商品
プラスティック製ストロー廃止に向けて国内外の様々な企業が取り組みを実施していますが、そのストローの代替品となる商品にはどんな物があるのでしょうか?
一般的に、プラスティック製ストローの代替品として広く使われているのは、紙やステンレスなど、ある程度水分に強く、かつ身体に害を及ぼさない素材でできたストローです。しかし、現在では、紙やステンレス以外の素材で人体にも環境にも優しいストローが多く開発されています。
次は、今後、プラスティック製ストローの代わりとして活躍するであろう新たな素材・商品を4つ紹介していきます。
LIMEX│株式会社TBM
「LIMEX(ライメックス)」は、紙やプラスティックの代替品として、株式会社TBMが開発した新素材です。
LIMEXの主原料は世界中に多く存在する石灰石であり、紙を作成する際にかかる木や水の消費量を抑えることができます。加えて、LIMEXは紙やプラスティックよりも耐水性が高く、自社独自のルートでリサイクルが可能であるため、環境問題に配慮した画期的な素材として多くのメディアから注目を浴びています。
株式会社TBMでは、LIMEXに続いて、100%バイオ由来の素材で作られた新素材「Bio LIMEX」を開発。新素材で開発された「Bio LIMEX製のゴミ袋」は、2019年6月に開催されたG20大阪サミットの運営品として採用されました。ゴミ袋以外にも、現在までに紙やプラスティックの代替商品として名刺や印刷用紙、レジ袋、包装容器など、様々なLIMEX製品が開発され、多くの企業やお店が活用しています。
実は、先程ご紹介した、すかいらーくグループが運営するファミリーレストラン「ガスト」でも、このLIMEX製のメニューブックが関東圏の約40店舗で試験的に導入されています。現在、LIMEXを使用したストローの開発についての情報はありませんが、今後プラスティック製のストローの代替商品としてLIMEX製のストローが登場するかもしれません。
ガストが新素材「LIMEX」をメニューブックに採用 TBMは飲食系での販売を強化 https://t.co/ZXiYWOLSLh pic.twitter.com/mB34dtyLDC
— プリント&プロモーション印刷販促ニュース (@p_promcom) September 18, 2019
Bio PBS│三菱ケミカル
三菱ケミカルが開発した「BioPBS(バイオポリブチレンサクシネート)」は、自然界の微生物によって水と二酸化炭素に分解される生分解性プラスティックです。
この生分解性プラスティック「Bio PBS」を使って作られたストローが、2019年4月より、京浜急行電鉄グループの各会社が運営する施設(飲食店や百貨店、ホテルなど13社68施設)で利用されています。各社の施設が利用するストローの本数は年間で16万本にものぼり、それら全てを「Bio PBS」製のストローに切り替えることで、プラスティックゴミの削減を図っています。
【News】 生分解性プラスチック「BioPBS」使用の紙カップが革新的カップに選定 https://t.co/XDonEX4V5t pic.twitter.com/H84l4iddyg
— ニュース速報 (@news_sokuhou) April 10, 2019
木製のストロー│アキュラホーム
木造注文住宅を取り扱う住宅メーカー「アキュラホーム」は、木で作られたストローを開発しました。このストローは、“ただの木のストロー”ではなく、日本に古くから伝わる木材の加工手法である「鉋掛け(かんながけ)」をヒントに作られたストローです。
「鉋掛け(かんながけ)」とは、木材を薄くスライスしたものを斜めに巻き上げる手法のことで、この手法によってストローを作ったのは、世界でもアキュラホームが初めてです。アキュラホームの木のストローはG20大阪サミットでも採用され、世界からも高い評価を得ています。
????アキュラホームとザ・キャピトルホテル東急が木のストローを開発
— まきこう@amazonプロレビュアー (@makikou_amazon) December 12, 2018
同ホテルのレストランで試験導入
☑臭いのないスギの木をらせん状に巻いて筒状に加工
☑繰り返し使用不可
☑1本数十円でプラより10倍ほど割高
☑同ホテルでは年間8万本のプラのストローを使用
100万円以上の投資、素晴らしい試み! pic.twitter.com/Gx8vojvpu4
麦わら製のストロー│NPO法人木野環境
「NPO法人木野環境」は、麦わらから作られたストローの開発を手掛けています。同法人は、1950年頃までは麦わら製のストローは日常的に使用されていたことに着目し、近年の海洋汚染問題への解決に向けた取り組みとして「麦わらストロー企画」を開始しました。
この麦わらストローは、現在までに京都府、滋賀県、愛知県の一部の店舗で試験的に導入されていて、本格的な事業化に向けて多くの試行錯誤がなされています。
自主的にすすめている麦わらストロー実証企画について京都新聞6月4日夕刊に掲載していただきました。
— NPO法人木野環境 (@npokinoeco) June 5, 2019
麦わらストローの完成までもう少しです。いまはストローの加工をしていただく数か所の作業所さんと相談しているところです。 pic.twitter.com/IF0UbMcg8v
学校から大企業まで、ストロー廃止に向けた面白い取り組み4選
プラスティック製ストローの廃止に向けた取り組みは、大手の飲食チェーン店や先端技術を持っているベンチャー企業だけしかできないわけではありません。学校や自治体、企業など、その規模に関わらず私たち1人ひとりが所属する組織で、ストロー廃止に向けた取り組みを実施することができます。
次は、学校から企業まで、様々な組織で行われたストロー廃止への取り組みを4つ紹介します。
ストローなしで牛乳を飲む│都立南多摩中等教育学校
東京都立南多摩中等教育学校では、2019年9月11日から約1ヶ月間、学校給食の牛乳をストローなしで飲むという取り組みが行われました。
課題解決型学習の一環として行ったこの取り組みでは、「ストローがない方が早く飲める」、「不便だし、紙の味がする」など、生徒から様々な意見が出されました。その結果を受け、生徒が社会問題について話し合う集会「グローバル問題研究会」が発足。ストロー無しで飲める牛乳パックの形状のアイディアについて話し合うことで、より生徒自身が環境問題に対して体験的に捉えるという目的を果たすことができました。
校内の環境イベントから生まれたアイディア「バンブーストロー」│立命館アジア太平洋大学
立命館アジア太平洋大学では、「環境と社会」の授業において、キャンパス内でできる環境への取り組みを競うイベント「ECOキャンパスアイディアコンテスト」が開催されました。
200名を超える参加者のうち、国際学生が半分を占めた今回のコンテスト。環境問題に対して様々な考えがある中で、審査の結果、ベトナム学生のアイディア「バンブーストロー」がWINNERに選ばれました。
このバンブーストローはすでに実用化され、同校の学生が運営する別府市内のカフェで販売されているほか、今後はキャンパス内のカフェともコラボをし、バンブーストローの使用を増やしていく取り組みが行われます。
ストローを“過去の遺物”として展示│IKEA
スウェーデン発祥の家具量販店「IKEA」は、ロンドンにある「デザイン・ミュージアム」において、プラスティック製ストローを“過去の遺物”として展示する取り組みを開始しました。
プロモーション映像では、ストローはもう既に過去の物という扱いで紹介され、ミュージアムに展示されている物が「IKEA最後の使い捨てストロー」とのこと。IKEAは、使い捨てプラスチック製品7種類を全廃する計画も発表していて、今回の展示が未来の現実になるように、プラスティック製品の削減へ向けた取り組みが行われています。
IKEA have unveiled their ‘Last Straw’ today in a display at London’s Design Museum https://t.co/cnW7FutXPL pic.twitter.com/SZYcGHNkWP
— Famous Campaigns (@famouscampaigns) October 3, 2018
食べられるストローを開発│米Loliware社
アメリカ・ニューヨークのスタートアップ企業「Loliware(ロリウェア)」は、海藻でできたストロー「Lolistraw(ロリストロー)」を開発しました。ロリストローは、海に捨てられても自然に分解され、堆肥化も可能です。さらに、18時間以上の連続使用に耐えられるように設計され、保存期間も2年間なので、プラスティック製ストローの替わりとして利用できます。
また、ロリストローは“人が食べることができる”という大きな特徴を持っています。ストローにはバニラやシトラスと言ったフレーバーが付いているので、ドリンクを飲み終わったあとはお菓子を食べる感覚でストローを食べることができる、画期的な商品です。
世界的にストロー廃止の動きが高まったキッカケとは?
ここまで、企業のストロー廃止への取り組みや、プラスティックストローの代替商品について紹介してきましたが、なぜ今、世界的にストロー廃止の動きが高まっているのでしょうか?
その1番の原因は、人間の出すゴミによる“海洋汚染問題”です。人が生活するうえで出てくるゴミの中でも、プラスティックゴミは年間で約800万トンもの量が海に流れているといわれています。
また、2015年に公開された、ウミガメの鼻に詰まったストロー片を取り除く動画は、現在までに3800万回以上も再生され、人々の海洋汚染問題への関心を高めたキッカケにもなりました。
このような背景もあり、世界的にも「プラスティックゴミへの問題を解決しよう」という動きが高まります。プラスティックゴミの中でもストローは、サイズが小さいためにリサイクルしにくいことや、ストロー自体を無くしてしまってもそこまで影響がない物であることから、まずはプラスティック製ストローの利用について対策が進んでいます。
現在では、この記事で紹介した「スターバックス・コーヒー」や、「マクドナルド」といった世界規模の企業でのストロー廃止の取り組みをはじめ、国内外問わず多くの企業や学校、団体がストロー廃止に向けての取り組みを行なっています。
まとめ:プラスチックの使用を減らすために個人でできることから始めよう
今回は、2022年4月に施行されたプラスチック新法が私たちの生活にどう関わるかを紹介し、ストローの使用を廃止した企業や、ストローに代わる商品の紹介など、世界的なストロー対策についてまとめました。
これまであらゆる場所で簡単に手に入り使っていたプラスチック製品が、環境問題や海洋汚染問題に大きく影響していると考えると、思わず使用をためらってしまいますよね。
プラスチック製品の使用量を減らすために「プラスチック製のフォーク・スプーンは使わない」「マイフォーク・スプーン・ストローを持参する」など、私たち一人ひとりが少しでも問題に意識を向けることで、SDGsの達成や海洋汚染問題に貢献できます。
少しでも環境問題へ向けた活動をしたいという方は、3Rを意識した取り組みや、今回紹介したプラスチックストローに代わる商品のように環境に優しい商品を選ぶなどを、ぜひ参考にしてみてください。
さらに個人でできるSDGsに貢献できる活動を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。SDGsの達成は、1人のものすごい量の1度きりの活動ではなく、たくさんの人の小さな行動の継続によって支えられています。ぜひ今回の記事と合わせてご覧ください。
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SDGsのすゝめ第1回 | SDGs基礎知識・外部環境の変化・SDGsに取り組むメリット・最新のビジネストレンド |
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企業の効果的な人権教育研修とは | 人権尊重の意識醸成:自分ごと化から企業価値向上まで・サプライチェーン全体(川上〜川下)での理解浸透・ビジネスと人権eラーニングの変化したポイントを紹介・eラーニングのデモ版の紹介 |
ビジネスと人権(第1回) | 人権とは・「ビジネスと人権」の考え方・企業活動と人権尊重・企業に求められる取り組み〜人権方針と人権デュー・ディリジェンス |
ビジネスと人権(第2回) | ビジネスと人権の基本知識・企業による人権の取り組みのプロセスとポイント・人権に関する教育/研修の重要性 |
ビジネスと人権(第3回) | 企業における人権尊重のあり方・企業の人権尊重に関する国内外の動向・企業による人権の取り組みのプロセスとポイント・参考になる企業事例の紹介 |
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の概要|環境省(PDF)
- 特定プラスチック使用製品の使用の合理化|環境省
- 「プラスチックに関わる資源循環の促進等に関する法律」について|環境省(PDF)
- 令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書|環境省
- 東南アジア諸国が廃プラスチック輸入規制を強化、日本の輸出量は減少|JETRO
- 「プラスチック資源循環戦略」について|環境省
- 「プラスチック資源循環戦略」本文|環境省(PDF)
- プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律|環境省
- 飲食店でプラスチックストロー廃止の動き広がる。なぜストローはダメ? その理由│Foodist Media
- ストロー廃止で変わるビジネス。素材メーカーのプラスチック代替品と世界の挑戦│Lab Base
- ストローが使えなくなる!? プラスチック製品問題│Rakuten infoseek NEWS
- スターバックス 国内店舗で紙製ストロー提供へ、2020年1月から順次、FSC認証紙を使用|食品産業新聞社
- マック、プラ製ストロー廃止へ 日本も検討、25年までに|IT mediaビジネスONLiNE
- 【アメリカ】ディズニー、全世界で2019年中頃までにプラスチック製ストロー・マドラー廃止|Sustainable Japan
- プラ製ストローやボトルやめます ヒルトン名古屋|朝日新聞DIGITAL
- すかいらーくHD/全業態でプラスチック製ストローの使用を順次廃止|流通ニュース
- ANA、プラ製品の7割を環境配慮素材に=20年度末まで|JIJI.COM
- セブンイレブン/「セブンカフェ」ストローを環境配慮型素材に変更|流通ニュース
- ケンタッキーでプラ製ストロー廃止へ【香港―社会】|香港ポスト
- フランスKFCによる、使い捨てプラスチックストロー撤廃を宣言する広告クリエイティブ|AdGang
- SDGs GOAL14『海の豊かさを守ろう』の実現に向けた思いやりの提案。ハローキティ 紙製ストロー発売決定|PR TIMES
- 【カラオケ業界初】プラスチック製ストローの使用廃止に関するお知らせ|PR TIMES
- LIMEXとは│LIMEX
- 新素材LIMEX、ガストのメニューブックに採用│時事ドットコムニュース
- ストローも、これなら問題なし。日本初!! 三菱ケミカルの生分解性プラスチック「BioPBS」を使ったストローの採用│MotorFan
- 木のストロー│アキュラホーム
- 麦わらストロー企画(PDF)│NPO法人木野環境
- 1カ月、ストローなしで牛乳飲む 実体験基に環境問題を考える│日本教育新聞
- APU における「ECO キャンパスアイディアコンテスト」の取り組み│立命館アジア太平洋大学
- 使い捨てストローを「遺物」としてデザインミュージアムに展示 英IKEAの環境保護キャンペーン│Ad Gang
- 食べられるストローがすごい!プラ製ストローに代わりになる可能性大│SUSTY