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【企業のSDGs事例】廃棄プラスチックがお金に変わる新サービス|プラスチックバンク

【企業のSDGs事例】廃棄プラスチックがお金に変わる新サービス|プラスチックバンクの画像

プラスチックが及ぼす環境破壊が世界中で懸念されています。2019年3月、フィリピンに打ち上げられたクジラの胃の中から40kgのプラスチックが見つかるなど、海の豊かさが目に見えて失われつつあります。

そんなプラスチックですが、いつ頃から使われているかご存知ですか? 実は日本で明治維新が起きた1800年代に実用化され、そこからわずか200年あまりで80億トンを超える大量のプラスチックが生産されました。そして今では地球環境にダメージを与える要因の1つになっています。

今回の記事では、プラスチックバンクというプラスチックによる環境破壊を防ぐサービスを手がける企業をご紹介します。ちなみに同社は2018年度のGlobal SDG Awardにも選出され、世界中から注目を集めている企業です。

今回の記事はこんな人にオススメです
  • プラスチックバンクについて知りたい
  • 循環型経済をベースにしたビジネスモデルに興味がある
  • 廃棄プラスチック問題の解決に興味がある

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プラスチックバンクが貢献するSDGsの目標

SDGs 17のゴール

プラスチックバンクの事業をご紹介する前に、プラスチックバンクが貢献する「SDGs(エスディージーズ)(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))」の目標を見ていきましょう。

コアとなる目標

SDGsゴール14

海に流出するプラスチックを回収することで海の豊かさを守ります。

影響を与える目標

プラスチックバンクが影響を与えるSDGsゴール

ラスチックバンクが発展途上国に進出することで、仕事がない人も働きお金を得る機会を持つことができ経済成長につながります。また集めた廃棄プラスチックを再利用し、商品を作るのでつくる責任も果たされます。

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プラスチックバンクとは?気になる事業内容を解説

プラスチックバンクはカナダのバンクーバでデビッド・カッツ氏によって設立された会社です。彼は「TED」でプレゼンテーションをした際、「海洋の掃除なんて、最後の最後にするべきだ」と熱弁しました。今この瞬間にも海へたくさんのプラスチックが流出し、苦しんでいる動物がいます。なのにデビッド・カッツ氏はなぜこのような発言をしたのでしょうか。

イメージしてみてください。あなたが台所に行くと、流し台から水が溢れ、床が水浸しになっていたとします。その時にあなたはまず何をしますか? モップやタオルで床の水を拭き取る前に、まずは水が出ている蛇口の栓を閉めるのではないでしょうか。

これと同じことが海でも言えます。海に流出したプラスチックの除去・掃除をいくら頑張っても、海にプラスチックを流出させる蛇口を閉めないかぎり、根本的な解決につながらないのではと。

プラスチックバンクが提供している課題解決

デビッド・カッツ氏は、街に落ちている廃棄プラスチックを集めて、収集センターに持っていくと仮想通貨に交換してくれるサービスを考えつきました。廃棄プラスチックの収集は誰でもでき、手に入れた仮想通貨を使えば指定のお店で食料・水・日用品と交換できます。

そして同サービスによって、海に流出するプラスチックの蛇口を閉めることができます。2019年現在、ハイチ・フィリピン・インドネシアの3カ国でサービスを展開しており、次はブラジルでサービスを開始する予定です。

仮想通貨にはIBMのブロックチェーンを活用

廃棄プラスチックを収集して得られる仮想通貨は実体しないお金です。そのためデータを改ざんされるリスクがありますが、ブロックチェーンを活用したことでデータとデータを紐付けさせ、安全な取引が可能になりました。そしてデジタルトークンの発行や専用アプリの開発などはIBMが請け負いました。

デビッド・カッツ氏が出演したTEDの映像

循環型経済をベースにしたビジネスモデルが採用されている

ここまで読んで、「そもそもプラスチックバンクはどのようにして収益をあげている?」のか疑問を抱いた方がいらっしゃるのではないでしょうか。プラスチックバンクは集めた廃棄プラスチックを再利用し、ソーシャルプラスチックを生産し、それを販売することで収益をあげています。

従来の経済活動では、大量生産・大量消費をすることで最終的には生産品を廃棄するしかありませんでした。その蓄積が、我々の直面している課題に繋がっています。こういった課題を解決するべく、循環型経済(サーキュラーエコノミー)という新しい経済の仕組みが注目を集めています。

循環型経済(サーキュラーエコノミー)とは、限られた資源を効率的に利用し、再生産を行うことで廃棄物を出さない経済循環の仕組みで、新たに4.5兆ドルの利益が生み出されると言われています。

ソーシャル・プラスチックはまさしくサーキュラーエコノミー型のビジネスモデルです。以下の動画では、廃棄プラスチックがソーシャルプラスチックに変わる全体の流れが確認できます。3Dプリンターの原材料としてもソーシャルプラスチックは使用されています。

ソーシャルプラスチックの導入企業

プラスチックバンクのHPには、ソーシャルプラスチックの導入企業が掲載されており、日本人にも馴染みのある飲料水メーカーのevianでも採用されています。

また洗剤や接着剤を製造販売するHenkelが2017年にプラスチックバンクと取引を開始しました。Henkelはハイチに3つの収集センターを建設し、1年間で35億トンのプラスチックを収集しました。そして集めた廃棄プラスチックで作ったソーシャルプラスチックを製品パッケージに使用しています。工業製品では最大規模にソーシャルプラスチックが活用された事例です。

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廃棄プラスチックは宝の山

誰も思いつかなかったプラスチックバンクの画期的なサービスに注目がいきがちですが、もう1つすごい点があります。それは企業として目の付けところです。海に流出しているプラスチックは累計1.5億トンとも言われ、年間800万トンのプラスチックが世界中の海に流出しています。廃棄プラスチックの資産価値は4兆ドルにものぼるため、上手く活用できれば宝の山に変わります。

では、なぜ海にプラスチックが流出し続けるのでしょうか。その原因の8割は発展途上国の廃棄によるものです。発展途上国にはプラスチックをリサイクルする施設がありません。そのためプラスチックが最終的に辿り着く先は海しかないのです。

しかしプラスチックバンクの存在よって、廃棄プラスチックがお金に変わるため、プラスチックを捨てる人が減少し、廃棄プラスチックで生活費を稼ぐために回収する人が増えるでしょう。つまりプラスチックバンクの事業は「海洋汚染」と共に、「貧困層の救済」の問題さえも解決に導きます。

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まとめ

プラスチックバンクの事業はいかがでしたでしょうか?

プラスチックバンクは社会課題を起点に事業やサービスを考える「アウトサイドイン」というアプローチの良い事例です。まだ日本では聞き馴染みのないアプローチ方法ですが、これから更に注目が集まっていくでしょう。

この機会にアウトサイドインのことを学びたいと思われた方は、ぜひSDGs mediaが提供する「SDGs アウトサイドインゲーム」に参加してみてください。SDGsを自社事業へ落とし込むのにきっとお役に立てますよ。

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