SDGsの漫画企画|「島耕作」「GTO」の先生らが描くSDGs

2020年に入り「SDGs(エスディージーズ)(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))」の達成期限まで残り10年となり、話題になったり関連イベントを目にしたりする機会が多くなったのではないかと感じます。
そのなかで、今回は2020年1月22日に行われた、漫画とSDGsのユニークな取り組みとして、著名な漫画家先生のプロジェクト参加が発表されたSDGs×マンガのチカラ制作発表会の会見レポートをどこよりも詳しくお届けします。
今回の記事はこんな人にオススメです
- 漫画が好き
- SDGsを学べる手段を知りたい
- SDGs×漫画のアプローチについて興味がある

会場は東京カルチャーカルチャー
まずは、SDGs×マンガのチカラ製作委員会に参加されている方々や、賛同している漫画家先生をご紹介します。
目次
SDGs×マンガのチカラ製作委員会の参加者
浜田 ブリトニー 先生
漫画家兼タレント。代表を務める株式会社PIECE EIGHTでは、漫画制作・講師、レンタルスペース運営などを手掛ける。
上杉 昌之 氏
SDGs×マンガのチカラ委員会の発起人。ブロックチェーン技術を活用した「actcoin」の開発・運営をするソーシャルアクションカンパニー株式会社のファウンダー。
大西 守 氏
SDGs×マンガのチカラ委員会の代表。マンガやイラスト、絵本などの原作をそのまま素材として使用する動画コンテンツ「モーション漫画」を制作する株式会社ラプラスの代表取締役社長。
参加作家
惨劇館
御茶漬海苔先生
味いちもんめ
倉田よしみ先生
Dr.コトー診療所
山田貴敏先生
GTO
藤沢とおる先生
パギャル!
浜田ブリトニー先生
怨み屋本舗
栗原正尚先生
CAとお呼びっ!
花津ハナヨ先生
マイコン刑事
下條よしあき先生
エリア88
新谷かおる先生
西日暮里ブルース
ピョコタン先生
まいっちんぐマチコ先生
えびはら武司先生
OLヴィジュアル系
かなつ久美先生
つるピカハゲ丸
のむらしんぼ先生
少年アシベ
森下裕美先生
キャンディキャンディ
いがらしゆみこ先生
ブラック・エンジェルズ
平松伸二先生
課長島耕作
弘兼憲史先生
長谷部さんのいる野球部
上野祥吾先生
画像出典:Amazon Kindle本 / 漫画全巻専門店 / yahoo!ショッピング
会見の様子
それでは、ここから会場が記者・取材者で埋まるほど盛況だった、2020年1月22日に行われた会見の模様をお伝えします!
SDGs×マンガのチカラ製作委員会の発足経緯
SDGs17の目標に対して、18人の漫画家が作品を通して、SDGsの認知度向上を目指す「SDGs×マンガのチカラ製作委員会」が構想から約1年を経て、記者発表にいたった経緯を、発起人の上杉氏の話を交えて紹介します。
「私は、ラオスやネパールで社会貢献活動を行う中で、SDGsは規模が大きすぎて、自分ひとりでどこまでできるんだろうという想いが常にあります。小さいことから変えないと地球規模の問題解決はできません。」
「SDGsをどうやって広めていけばいいのかと考えていくなかで、ブリトニー先生と運命的な出会いをしました。『子育てを通して未来の地球のためになにかやりたい』という話を聞いて、『子供の頃から親しみがあり、おそらく日本国民全員が読んだことのある、漫画を使って広められればすごいんじゃないの?』と意気投合したんです。」
「ブリトニー先生の人柄、大御所から若手まで世代の垣根を超えた先生が賛同してくださいプロジェクトは本当にすごいんじゃないかと、感じています。今回のプロジェクトでは、世界に誇る日本の漫画文化の力を使って、老若男女がSDGsを知る小さなきっかけになればいいなと思っています。」
SDGs×マンガのチカラ製作委員会が目指すもの
SDGsを漫画で描くことを通して目指していることは、SDGs認知度の向上です。電通が2019年4月に発表した第 2 回「SDGs に関する生活者調査」(対象:全国 10~70 代の男女計 6,576 名)のデータによると、SDGsの認知度は全体で16%でした。
会見の中で浜田ブリトニー先生から「日本の一般層でのSDGs認知度はまだ低いですが、漫画家さんの認知度は高くなってきています。漫画を通じて、先生たちのファンやSNSを通じて多くの人に知ってもらい、100%を目指せたらなと思います」
作品のリリースされ方
気になる出版時期は、2020年の初夏とのこと。紙版とWeb版の2種類で出される作品を読める夏が楽しみですね!
そして、SDGs×マンガのチカラ製作委員会で制作される漫画は、講談社から発刊されるそうです。講談社から発刊されている女性誌FRaU(フラウ)では、SDGsの連載やSDGs関連のムック本が出版されています。
漫画家先生が担当するSDGs目標の一覧
御茶漬海苔先生
(原作:浜田ブリトニー先生)
倉田よしみ先生
山田貴敏先生
藤沢とおる先生
浜田ブリトニー先生
栗原正尚先生
花津ハナヨ先生
下條よしあき先生
新谷かおる先生
ピョコタン先生
えびはら武司先生
かなつ久美先生
のむらしんぼ先生
森下裕美先生
いがらしゆみこ先生
平松伸二先生
弘兼憲史先生
巻頭・巻末マンガ担当:上野省吾先生(原作:浜田ブリトニー先生)
各先生のコメント
会見で話された各先生のコメントを要旨でお届けします。

御茶漬海苔先生(惨劇館)SDGs目標1 担当
2年前に脳梗塞で大変な時期もありましたが、周りに助けてもらって大変感謝しています。一生懸命、原稿を仕上げておりますので、もう少しお待ち下さい。よろしくお願いいたします。

倉田よしみ先生(味いちもんめ)SDGs目標2 担当
世界に漫画が広がっているのは、わかりやすさが1つの理由だと思います。今回、担当するSDGsの目標2の内容を、皆さんにわかりやすく伝えたいと思っています。

山田貴敏先生(Dr.コトー診療所)SDGs目標3 担当
これまで離島医療のことを描いてきたので、どれだけ過疎地域で医者が必要なのかわかってきたつもりです。ただ、いまアフリカ諸国では5歳まで生きられない子どもがたくさんいる。
そういうことを身近に感じてもらえるのかな、といまの人たちを見て少し不安には思っています。漫画を通じて少しでも現実を伝えられたら、小さな一歩ですがそれが大きな一歩になっていくと思います。

画像出典:SDGs×マンガのチカラWebサイト
藤沢とおる先生(GTO)SDGs目標4 担当
教育は人をつくる。人は世界をつくる。世界は未来となり、自分たちに戻ってくる。一人で学ぶこともできるかも知れないが、それは恵まれた環境があるから。学校がある、先生がいる、学ぶ機会があること自体、大切にしてほしい。その大切さが伝われば、未来が大きく変わると信じています。それらが未来となり自分たちの世界になることを。
※会見は諸事情で不参加

浜田ブリトニー先生(パギャル!)SDGs目標5 担当
児童法について描きました。私の子どもが大きくなったときにどんな世の中になっているんだろうなと考えると、児童法に対して多くの悩みを抱えている世界中の子どもたちがいると思います。
漫画を通して少しでもこのことを知って、わたしたち一人ひとりができることを意識してもらいたい。世界の方に日本の文化である漫画としてSDGsを伝えていけたら良いなと思っています。

栗原正先生(怨み屋本舗)SDGs目6 担当
プロジェクト参加にあたって、はじめてSDGsを知りました。世の中にもそういう人は多いと思います。2020年で私が連載している怨み屋本舗が連載20年目になるので、これにコラボすれば私のファンも興味を持ってくれるかなと思いました。
そんな邪なきっかけで参加しましたが、担当するSDGs目標に関して調べてみると、日本では当たり前に使える水を巡ってさまざまな問題や争いがある地域を知りました。日本にいるだけではわからないことを伝えられたら良いなと思っています。

花津ハナヨ先生(CAとお呼びっ! )SDGs目標7 担当
声をかけてくれた浜田さんとは、付き合いが長いのですが、まさかSDGsの漫画プロジェクトに招待してくれるとは思っていなかったので、驚いています。担当するSDGs目標である環境問題は、ちょっと自分から遠いテーマだと感じていましたが、漫画にすることで身近に感じてもらえればと思い参加させてもらいました。

下條よしあき先生(マイコン刑事)SDGs目標8 担当
今回のプロジェクトをきっかけに家族とSDGsの話をしても、初めて知る言葉でした。漫画家になって50年、漫画を描くこと以外は大して能力もありません。この力を使って世界の人たちの幸せや平和に少しでも貢献することができればなと思います。

画像出典:SDGs×マンガのチカラWebサイト
新谷かおる先生(エリア88)SDGs目標9 担当
自分ができることで協力できたらと思います。現在の地球は危機的状況にあると常々思っていました。そして、それに対して個人ができることは限られます。私にとってなにか発信できることは漫画でしかありません。わかりやすく描いたつもりです。一人でも多くの人に伝わればと願っています。
※会見は諸事情で不参加

ピョコタン先生(西日暮里ブルース)SDGs目標10 担当
SDGsは、地球上の誰一人取り残さないことが素晴らしい。SDGs×マンガのチカラプロジェクトも、漫画界の底辺みたいな僕を取り残さないで仲間にしていただいた。その光栄な気持ちがあるので精一杯頑張ろうと思います。

えびはら武司先生(まいっちんぐマチ子先生)SDGs目標11 担当
私はまいっちんぐマチコ先生の漫画は40年描き続けています。でもひとつもちゃんとした授業のシーンを描いていないことに気が付きました。
今回、初めて最初から最後までまともな授業シーンを漫画で表現できました。期待してください。

かなつ久美先生(OLヴィジュアル系 )SDGs目標12 担当
私は動物が大好きで10年間ほど保護犬に関するボランティアしています。動物のことを考えると地球環境のことに行き当たります。だから、いつも地球環境のことで心を痛めていました。
なので、今回のプロジェクトの話をもらったときは、本当に嬉しかったです。世界に誇る漫画の力で、アピールできるなんて生きててよかったと思いました。

のむらしんぼ先生(つるピカハゲ丸)SDGs目標13 担当
なぜ自分の担当が地球温暖化なのか?と、代表の大西さん、浜田さんに聞いたら「温暖化ってCO2削減でしょ。削減っていえば、せこさでしょ。せこさっていえばのむらしんぼしかいないじゃない」こんな感じで引き受けました。
今回の漫画では、むちゃくちゃなギャグを描いているかもしれません。
好き勝手描いて良いのかなとも思ったけど、思い切ってやってくれと言ってもらえました。ひんしゅく買うところもあるかもしれませんが、お笑いも漫画の力だと思っていますので、お笑いでこの問題を呼びかけようと思って描きました。

森下裕美先生(少年アシベ )SDGs目標14 担当
海の豊かさというテーマを頂いてありがとうございます。街をキレイにする、海をキレイにする、こういう気持ちを大事にしたいなっていう気持ちをみんなに伝えたいと思います。

画像出典:SDGs×マンガのチカラWebサイト
いがらしゆみこ先生(キャンディキャンディ)SDGs目標15 担当
この作品はより多くの人達にSDGsと森林の大切さが伝わればいいなと思って描きました。
※会見は諸事情で不参加(お住まいの北海道からビデオメッセージ)

平松伸二先生(ブラックエンジェルズ)SDGs目標16 担当
来年でデビュー50周年になるんですが、勧善懲悪の漫画を描いてます。今回、SDGsってなんだと考えたときに頭文字を見て、「スーパード外道たち」と思いました。それでぼくのところに依頼が来たのかなと。
平和と公正をすべての人にというテーマを頂きましたが、世界中にまだ紛争や不公正がまかりとおっています。このテーマは、ぼくに紛争・戦争・不公正をやっつけてほしいという意味で、受け取りました。
ただ、あまり流血シーンを描いてはいけないということだったので、2019年にブームになったラグビーで、担当テーマについて描かせてもらいました。おもしろくエンターテイメントとしてできていると思うので、少しでもSDGsが広がればいいなと思います。

画像出典:SDGs×マンガのチカラWebサイト
弘兼肃史先生(課長島耕作)SDGs目標17 担当
SDGsは世界の共通用語。日常生活のみならずビジネス上でも関わりの深いものです。今回の漫画は国を超えて手を取り合うことで、より良い形・未来が実現できることを描きました。次世代の地球づくりにはお互いを尊重した地球規模の取り組みが大切だと考えています。
※会見は諸事情で不参加

上野祥吾先生(長谷部さんのいる野球部)巻頭巻末マンガ担当
SDGsの言葉をそもそも知らなくて、自分なりに調べたところ、自分のできることをすればいいじゃんと思ったんです。すなわち誰にでもできるということでもあると思います。名だたる作家の方が参加する中で、ぼくみたいな無名な作家を選んでいただいたブリトニーさんに感謝すると共に、今回の漫画をきっかけに、少しでも世の中が変わればなと思っています。
SDGs×マンガのチカラのWebサイトで漫画が読める!
SDGs×マンガのチカラの漫画発売はまだ少し先ですが、Webサイトはオープンしています。
WebサイトではSDGsを紹介する漫画や、各先生のプロジェクト参加に対する公式コメントが読めます。
発売情報もこのWebサイトで発信されると思うので、気になる方は要チェックですよ! 私も読めることが楽しみです。
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参考サイト: