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黒人差別の問題|アメリカと日本での差別の歴史と私たちにできること

黒人差別の問題|アメリカと日本での差別の歴史と私たちにできることの画像

「いかなる場所の不正も、あらゆる場所の公正への脅威となる。」

これは1963年に非暴力的な公民権運動で拘留されたキング牧師が、アラバマ州バーミンガム市の留置所から送った手紙につづった言葉です。

57年後の2020年6月時点では、黒人コミュニティーはいまだに同じことを悲痛に訴えなければならない状況にいます。

現在、世界中で起こる黒人差別への反対運動の報道を受けて、どう感じているでしょうか。今まで気にしなくてもよかったこと、見えていなかったこと、目をそむけていたことをいきなり目の前に突きつけられて動揺している人や、人種差別の話をしたり、話されたりするのが気まずいと感じる人も多いでしょう。

ぜひ、この機会にその気持ちの源泉を考えてみましょう。

  • 意識が高いと思われたくないから?
  • 間違うのが怖いから?
  • 静かにしていたほうが楽だから?
  • 自身の言動を「差別」だと認めたくないから?

しかし、このように自身の心地や私情を優先できるのも、人種差別を日常的に受けていない人の特権なのかもしれません。差別問題を無くすには、まず私たち一人ひとりが問題の背景や状況に関する知識を得ることが大切です。そのため、この記事ではアメリカと日本で存在し続けている黒人差別問題の現状と歴史、私たちに今できることへ焦点を当てていきます。

今回の記事はこんな人にオススメの内容です
  • 黒人差別反対運動やBLMのニュースを見て気になっている
  • 黒人差別の歴史や背景を理解したい
  • 差別に対して自分ができることを知りたい

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 用語の整理|固定観念・偏見・差別の違いと関連

まずは「差別」という言葉について整理をしましょう。そもそも「差別」とはなんでしょう。似たような言葉に、固定観念(ステレオタイプ)・偏見がありますが、その違いをおさえた上で具体的な事例を紹介してきます。

固定観念(ステレオタイプ)

ある特定の対象に対して持っている、見た目・能力・振る舞い方などのイメージを意味します。このイメージは必ずしも正しいわけではなく、否定的なイメージもあります。例えば、「黒人は野蛮だ」というイメージは固定観念だといえます。

偏見

固定観念から生まれる感情を意味します。ポジティブ・ネガティブ・意識的・無意識の組み合わせによって抱かれる感情のすべてを含めます。例えば、黒人は野蛮だから「近づくのが怖い」という感情は偏見だといえます。

差別

偏見に基づいて起こす行動を意味します。例えば、「黒人は野蛮で近づくのが怖いから、同僚を招くホームパーティーに黒人の同僚だけ呼ばない」という行動は差別です。

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アメリカで起こった黒人差別に関連する4つのできごと

今、世界中で起こる黒人差別の反対運動のきっかけは、ジョージ・フロイドさんが命を落とした事件です。2020年5月25日、アフリカ系アメリカ人のフロイドさんは、偽札を使用した疑いで拘束され、白人警察官に首を8分46秒間抑えられ窒息死しました。

この事件は黒人差別の氷山の一角に過ぎません。黒人への差別意識が原因になった警察の残虐行為は最近始まったことではなく、警官だけが差別行為者でもありません。

現在でも続くアメリカでの黒人差別問題の背景を、アメリカで起こった黒人差別に関連する4つのできごとから見ていきましょう。

ジム・クロウ法

黒人差別の代表的な例として知られているのはジム・クロウ法でしょう。ジム・クロウ法は、1870年代から1964年の公民権法が制定されるまで続いた黒人分離の州法です。この法律によって具体的には、学校、バスなどの交通機関、公園、水道、トイレなどの公共施設が、白人用と黒人用に分離されていました。

1865年結成された白人至上主義団体のクー・クラックス・クラン(KKK)は、この時期に政治家の会員を有するほどの勢力でした。

さらに、1896年の最高裁判決で「区別は差別ではない」という判決が、黒人分離を加速させました。つまり、ジム・クロウ法によって、公民権法が制定される56年前まで黒人差別が法律で定められていたのです。 

奴隷制

アメリカの奴隷制は、17世紀にイギリス領だった今のヴァージニア州へアフリカ人20人が奴隷として着港したときから始まります。北アメリカでアフリカ人奴隷は安い労働力として使われ、18世紀だけでおおよそ600万人から700万人ものアフリカ人が奴隷だったとされています。

奴隷解放が行われたのは、1863年1月1日のリンカーン大統領によるが奴隷解放宣言が契機でした。その後、1865年にアメリカ合衆国憲法修正第13条の制定により、公式に奴隷制度は撤廃されました。

しかし、この13条には現在でもアメリカで違う形での奴隷制が貫けるようになる抜け穴が存在しています。

憲法修正第13条と現代の奴隷制

憲法の修正第13条の制定で奴隷制が違法になったと紹介しましたが、現代でもこの憲法の一部文言により奴隷制が続いているとされています。「奴隷制度を禁止し、意に反する苦役を犯罪に対する刑罰以外に禁止する」という条項から、逮捕されて刑務所に入っている人に対する刑罰では、違法でないとされているのです。

現在、民間企業や州の管理下のもと、受刑者の刑務作業が行われています。刑務作業に対価が支払われる場合でも、法定賃金(7.25ドル(775円))を大きくに下回る時給0.14ドル(15円)から1.5ドル(160円)程度の極めて低い金額です。

刑務作業には病欠、社会保障が認められておらず、対価を引き上げるための法律もありません。コロナの最中も、安全環境が整っていないなか、少なくとも20州でマスク、防護服、消毒剤などの生産が行われているのです。

受刑者は黒人だけではありませんが、アメリカの社会的な仕組みにより黒人は不相応に多く刑務所に入れられている現実があります。

修正第13条に興味がある方は、Netflixが制作したドキュメンタリー「13th -憲法修正第13条-」がおすすめです。予告編とYoutubeのNetflix公式チャンネルにアップされている日本語字幕付きの全編動画(2020年6月末時点で約180万回再生)を以下でご案内します。

予告編
日本語字幕付きの全編動画

黒人差別が組織化した刑事司法制度

アメリカでの黒人と白人の経済格差が統計情報から読み取れます。

  • 貧困層の割合(2018年):白人は8.1%、黒人は20.8%
  • 資産の値(2017年):白人家庭の資産の中央値は黒人の10倍

この格差は、黒人の社会的な機会(進学する・仕事を得るなど)を相対的に減らす原因の1つになっています。また、そもそも社会に根づいてしまっている黒人への差別意識により生まれる機会損失も原因の1つといえるでしょう。

経済的に困窮な状態にある人は、交通違反や万引きなど軽微犯罪で課される罰金や保釈金を払えず、懲役刑(刑務所に入る)になることが多いです。これが黒人の受刑者率の高さの原因の1つになっています。

また、さらに大きな理由として複数の研究から、黒人、特に男性は、警察の偏見により白人よりも職務質問されやすく、その中でも身体検査をされることが比較的多いことが明らかになっています。

2013年から2019年の統計結果によると、アメリカ人口の76.3%が白人、13.4%が黒人と白人のほうが多いにも関わらず、黒人は白人より警察に殺される確率が3倍高く、殺された人のなかで武器を持っていた黒人は白人より1.3倍少なかったのです。

2019年、アメリカ警察は1,098人を殺し、その黒人比率は24%でした。しかし、黒人は全米の人口の13%でしかありません。近年の黒人被害者の一部事例を以下で紹介します。

  • 2020年3月13日自宅で寝ていたブリオナ・テイラーさんを白人私服警官が8回発砲し殺害。2020年6月時点で警官が起訴されていない事に対し抗議の声が多く集まる。
  • 2018年9月6日、自宅でくつろいでいたボッサム・ジーンさんが、白人警察官アンバー・ガイガーさんの発砲で死亡。ガイガー警察官は「自宅と間違えて入った」と供述しています。同様の犯罪であれば最高の懲役が99年のところ、このケースでは懲役10年が言い渡されています。
  • 2014年7月17日、タバコの違法販売の疑いで拘束されたエリック・ガーナーさんは、白人警官に首を締められ、「息ができない」と11回訴えたあと死亡。警官は起訴されなかった。

    この被害者たちに共通するのは、全員武器を所持していなかった点です。この3人以外にも多くの黒人が警察官の差別と不正行為により命を落としています。録画されているものは、映像の残忍さや証拠として示されるため注目を浴びるケースが多いが、人目のないところで起こり一般社会から忘れ去られてしまった事件もあります。

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    黒人差別は日本にも根付いてしまっている

    日本に暮らす黒人人口比率は低く、アメリカのように黒人の奴隷制度があったわけでもありません。しかし、日本にも黒人差別は存在します。

    ここからは、日本での黒人差別の歴史・背景と実態を見ていきます。黒人差別を他人事・他国の出来事だとするのではなく、同じ人間として人種差別をなくすにはなにができるのかと考える必要があります。そのために、まずは日本と関わりのある黒人差別について知ることから始めましょう。

    日本歴史と黒人差別

    『日本人の黒人観―問題は「ちびくろサンボ」だけではない』『偏見と差別はどのようにつくられるか』などの著者である研究者ジョンG.ラッセルによると、戦後の日本は西洋諸国での自国の曖昧な立ち位置を強化するため、アメリカでの黒人差別をもとに黒人を共通の敵のように位置づけたとされています。

    第2次世界大戦中、日本人と黒人はいずれも「野蛮、原始的、人間ではない」と白人社会から見られていました。戦後の日本は、悪印象を覆し、日本・日本人の統一感を高めるために、黒人を差別対象として位置づけたと考えられています。

    つまり、日本での黒人差別の背景には、戦後日本の再構築に深く関わったアメリカ人(白人)の価値観の影響を受けているとも考えられています。

    日本で起きた黒人への差別意識を表す例として、サンリオが1988年に発売した黒人をモチーフにした人形の販売(後に謝罪・商品回収・販売中止と人権啓発の活動を継続的に実施)や1986年の中曽根元首相の演説での「日本人の高い知能と比べ、黒人は知能が低い」という旨の発言が挙げられます。

    このようなメディアに取り上げられた出来事の積み重ねが、世代を超えた固定観念や偏見として社会に残り、差別につながってしまう一端になっているのです。

    今の日本での黒人差別

    2000年以降の日本でも残る黒人への差別を示す例を2つご紹介します。

    2013年、日本の著名な大学で行われた英語専攻でない80人の生徒を対象とした調査では、見た目だけで判断した場合、黒人の英語教師より白人の教師のほうが望ましいとする回答が多かったという調査結果が出ています。

    また、2020年6月14日渋谷で行われた黒人差別への抗議デモに参加したあやかブランディーさん(23歳でアフリカコンゴ民主共和国出身の父親と日本人の母親を持つ)は、NHKによる取材に対して、日本国籍を持っているのに見た目で差別を受けてきたと答えています。具体的には、「肌色」とラベルされたクレヨンで自画像を書いていたら同級生に「あなたの肌色じゃない」と言われたり、「黒人なのになんで視力が悪いの」と聞かれたりといった差別です。

    警察による黒人への残虐行為というショッキングな事件が日本では起こっていないため、黒人差別が日本に存在することを実感している人は少ないでしょう。しかし、日本でも歴史に根付いた日本人の黒人観が差別を生み出してしまっています。

    流行するまで「ゲットー」とされる黒人カルチャー

    「ゲットー」という言葉を聞いたことはありますか? ゲットーはさまざまな地域で使われる言葉ですが、現代のアメリカでは黒人を差別する時に使われます。見た目、言動、態度を安っぽい・質が悪いなどと表現します。

    白人社会やアジア諸国などのアフリカ大陸以外の国で、黒人コミュニティーの伝統的な音楽やファッションなどの文化が流行して今では1ジャンルとして当たり前に受け入れられているものも多いです。

    しかし、それらは流行するまで「ゲットー」とみなされ、黒人に対する差別の理由として使われたり、歴史的背景や文化的価値を無視したまま流行させたりしているため、文化の盗用として問題視されています。

    例えば、音楽ではヒップホップ・ラップ・R&B・ブルース・ジャズは、すべて黒人文化から発祥したスタイルです。

    また、コーンロウブレイズという髪の毛の編み方は、黒人以外にも好んでされヘアスタイルですが、黒人文化や歴史に深い関わりのあるものなのです。

    何百年も前から続くこのヘアスタイルは、民族・ステータス・年齢などを表す決まった模様があり、世代を超え母から娘へと受け継がれるものでした。奴隷時代には黒人文化と人間性を抹殺する目的で女性の髪が剃り落とされる被害にあったり、奴隷同士の秘密の会話方法として編み方が使われたり、奴隷時代との関わりが深いヘアスタイルなのです。

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    制度的な差別が中立の立場では断ち切れない理由

    人種差別主義者であるかそうでないか、という二択で人を分けることは、差別をなくすことにつながりません。なぜなら、社会で差別が組織化・制度化している以上、差別に積極的に反対する行動を起こさなければ、差別社会がそのまま続いていく可能性が高いからです。

    つまり「自分は差別主義者じゃない」と主張するだけでは、差別が終わらないのです。また、何にも関わらない「中立」の立場は、実は組織的・制度的な差別を黙認することになり、そのつもりがなくとも差別状態の持続に加担することになってしまいます。

    そこで、中立の立場である限り、制度的な差別が続いてしまう理由について見ていきましょう。

    制度的な差別の特徴と差別解消に求められる行動

    制度的な差別とは、法制度・政治のあり方・社会構造などから生まれた、習慣やルールなどによって起こる差別を意味します。例えば、前述したアメリカの奴隷制やジム・クロウ法によって社会に根付いた差別意識から生まれる差別などが制度的な差別にあたります。

    他の事例として、アメリカのレッドライニングがあります。レッドライニングとは、特定の地域の住民に経済的、政治的特権を与えない法律で、1968年に違法とされました。しかし、この法律によって不利益を被った当時の人たちの子孫は、貧困の連鎖によっていまだに格差に苦しめられています。

    日本では、前述したように戦後に行われた差別的な黒人観が、今になっても潜在的な差別意識(先入観)として社会に残っている点が制度的な差別といえます。制度的差別の例についてはこちらの映像も参考情報にご活用ください。

    このような社会に暮らす以上、差別に対して反対を主張し解消させるための行動を起こさなければ、差別をしやすい・許容されやすい社会であり続けてしまいます。次の見出しでは、この記事の締めくくりとして、差別解消に向けて私たちにできることを考えてみましょう。

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    差別解消に向けて私たちにできること

    制度的差別が存在する日本で、差別をなくすためにできることはなんでしょうか。アメリカで抗議デモが始まってから起きた社会的な変化と日本からできることを紹介します。

    プロテストの意義と抗議デモ後の変化

    プロテストとは、存在する出来事・事象・制度に対して反対や異議を表明する行動です。抗議デモ、署名活動、ボイコットなど集団的な活動から、ブログやSNSなどで情報や考えを広める個人的な行動まで含まれます。

    世界中で起こったプロテストによって起きた社会的な変化を見ていきましょう。

    2020年5月25日のフロイドさんの死から2週間の間で、アメリカでは、フロイドさんを殺害した警官が属したミネアポリス警察署を解体し、警察署にあてられていた資金を治安を守る別の組織と仕組みを作るのにあてると表明されました。

    イギリスではロンドン市長が市内にある奴隷に関連する銅像を取り壊し新たな銅像を建てる計画を発表しました。

    その他ヨーロッパ各地、日本、カナダ、オーストラリアなどで抗議デモが行われ、ニュージーランドの国会議員2人がトランプを差別主義者だと非難しました。紛争中のシリアでも空爆で破壊されたビルの上に2.5メートルのジョージ・フロイドさんの壁画が作られました。

    世界中で起こる抗議デモを受け、アメリカでの人種差別の深刻さを問題視したアフリカ54カ国が、国連人権理事会に対して黒人差別・警察の不正・その他黒人に対する不当な行為に関する討論会の至急開催を要請しました。

    このように、国際的に団結を固め、行動を起こすことで、国際社会レベルでの変化が起きています。つまり、日本での行動は日本のみならず世界の変化にもつながっているのです。

     私たちが日本からできること

    すぐに大きな行動は起こせなくとも、一連の出来事をニュースやSNS投稿で目にして気になっている方は多いでしょう。まずは自分1人で出来る行動から、外に向けた具体的な行動までいくつか例を紹介します。

    差別について自分の価値観を考える

    まずは今回の出来事を受けて、自身の差別への価値観や考えを深めてみましょう。自分が持っている滞在的な差別意識を認識・分析するのです。その際は、以下のような問を元にすると考えやすいかもしれません。

    • なぜ特定のグループに対する固定観念を持っているのか?
    • 固定観念は自分の行動にどんな影響を与えてきたか?
    • 差別に反対する立場で行動するためには何が必要なのか?
    身近な人と差別について話してみる

    自分の考えを整理したり深めたりできれば、身近な人と差別について話してみましょう。家族・友達・同僚など話しやすい相手から初めて見るのです。

    その際に大切なのは、相手の意見を尊重しながら話すことです。論点によっては意見が異なることもありますが、その違いはどこから来るのか、もしその意見が差別を許すようなことならば、どう変えていけるかについて、身近な人と考えてみましょう。

    募金や署名など問題に対して直接的な行動を起こす

    一連の出来事の合言葉になっている「Black Lives Matter (BLM, 黒人の命は大切だ)」に関する黒人差別の解消に向けた活動団体への募金や、不正が罰せられないままでいる事件の再調査を求める署名など、家からでも直接的な行動が起こせます。

    その際は以下の日本語で紹介されている情報を参考にしてください。

    人権に対して企業で取れるアクションを知る

    企業は関わるステークホルダーの多さから、社会に与える影響が大きい存在だと言えます。その企業でも、人権尊重に対する取り組みが不可欠です。

    SDGs media では人権の専門家に、企業の人権保護に向けて知っておくべき人権侵害への対応事例・企業が考慮すべき人権課題に解説してもらっています。

    また、SDGs media が作成したダウンロード資料『【17目標別】企業のSDGsアクションリスト|345種類の施策から自社の取り組みを探そう』では、黒人差別問題に関わるSDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」に関連するアクションを19個掲載しています。社内で人権尊重に関する取り組みを検討する際の参考に活用してください。

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    まとめ

    海外のニュース・報道では残虐行為を行った警官や、極端な差別を行う人々のことを “A few bad apples”「少数の腐ったりんご」と表現することが多いです。彼らはどこか他の人とは違うから差別を行ってしまうんだ。そういった意味合いで使われています。

    しかし、このことわざには続きがあります。“A few bad apples spoils the bunch”、「腐ったりんごは隣のりんごも腐らせる」。たとえ極端な差別行為を平然と行う人が少数だったとしても、そのうち周りの人もその行動・態度に影響されてしまいます。

    また、この表現は制度的差別の実態をにごして見えなくしてしまいます。りんごは独りでに腐るわけではなく、汚染された土と水で育ち、腐敗した木に実ります。そのため、りんごを捨てるだけで差別が解決するわけではありません。

    日本でも海外でも、差別が個人の判断だけで生まれるのではなく、社会全体の仕組みが差別を許容してしまっていることで起きているのが現実です。この事実を自覚して、影響を受けずに既存の仕組みや当たり前を変えるために、私たちができる行動を起こすことが差別に反対する行動には大切です。

    キング牧師が言っていたとおり「最大の悲劇は悪人の圧制や残酷さではなく、善人の沈黙」だと思います。

    次はみなさんが沈黙をやめて会話を始める番です。

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    差別とSDGs10の関係

    最後に今回の記事のテーマだった黒人差別とSDGsの目標10「人や国の不平等をなくそう」の関係をSDGs media を運営している株式会社Dropの玉木さんが紹介します。

    • 玉木 巧

      SDGsコンサルタント|株式会社Drop

      日本に住んでいる私たちにとって、黒人差別は少し遠い国の話であり、正直ピンと来ていない方も多かったのではないでしょうか。今回は黒人差別がテーマでしたが、実は日本でもLGBTや在日朝鮮人に対しての差別は往々にして見られます。

      SDGsを語る上で、環境問題に目が行きがちですが、実は人権問題も大事なテーマです。SDGsのターゲット10.2に「2030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。」と記載されています。

      つまり、世界に根付いてしまっている人種差別を解決しない限り、「誰一人取り残さない」世界をつくることができません。

      ジョージ・フロイドさんのような死亡事件が二度と発生しないよう、差別という難しい問題から目を背けず、日本人の私たちも差別について向き合うことが大切だと感じました。僕自身、本記事を読んだ感想を友人や家族と話すことから始めていきます。

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