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[最新]SDGsアクションプラン2022|要点と移り変わりを解説

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この記事の更新情報
  • 2021年1月12日:SDGsアクションプラン2021の内容を追記
  • 2022年5月14日:SDGsアクションプラン2022の内容を追記

2021年12月の第11回持続的な開発目標(SDGs)推進本部会合の結果、SDGsアクションプラン2022が公表されました。

SDGsアクションプランは、以下のように定義されています。

SDGs アクションプランは、SDGs 実施指針に基づき、2030 年までに目標を達成するために、「優先課題 8分野」において政府が行う具体的な施策やその予算額を整理し、各事業の実施によるSDGs への貢献を「見える化」することを目的として策定するものである。
引用元:SDGsアクションプラン2022|首相官邸(PDF)

SDGsに関心がある方なら、すでにSDGsアクションプラン2022に目を通されたかもしれません。しかし、全77ページにたくさんの情報が掲載されたSDGsアクションプラン2022を見て、「すぐは読めないから、またあとで読もう」と読み切るためのハードルが高いと感じた方は少なくないのではないでしょうか。

最新のSDGsアクションプランの内容を読み解くには、日本政府がアクションプランを公表するに至った流れを知ることがポイントになります。

この記事では、SDGsアクションプランと関係の深いSDGs実施方針を解説した上で、最新のアクションプランとこれまで毎年発表されてきたアクションプランの変遷を解説します。

そして後半では、SDGsアクションプランを読み解いて自社事業や個人の活動に活かすコツをお伝えします。

今回の記事はこんな人にオススメです
  • 最新のSDGsアクションプランの内容を知りたい
  • SDGsアクションプランの位置づけがわからない
  • 自社事業や個人の活動とSDGsアクションプランの関わりを考えたい

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目次

SDGsアクションプランのもとになるSDGs実施指針

まずは、SDGsアクションプランが誕生した経緯をご紹介します。

SDGsは、2030年までに誰一人取り残さない世界にするために掲げらた全世界の共通目標です。SDGsは国連加盟国193カ国が合意しています。先進国の1つである日本は、SDGs達成に向けた課題解決先進国として、世界を牽引していく立場にあります。

しかし、SDGsの「17の目標」と「169のターゲット」の内容を見ると、日本ではすでに達成している目標もあります。一方で、世界に目を向ければ、国際協力面で日本が貢献できる課題も多いです。

そこで、2016年12月に日本政府はSDGsの達成に向けて、日本ならではの中長期国家戦略「SDGs実施指針(全文版PDF)(概要版PDFを策定しました。そして2019年12月、当初より予定していたSDGs実施指針の改定によりSDGs実施指針改訂版(PDF)が公表されました。

 

次に、SDGs実施指針内に掲載されている8つの優先課題について見ていきましょう。SDGsアクションプランは、この優先課題を解決するための施策として位置づけられています。

SDGs実施指針に掲げられた「8つの優先課題」とは

SDGs実施指針にはSDGsの達成に向けた8つの優先課題が掲げられています。この8つの優先課題は、国連がSDGsを採択した文書「2030アジェンダ」に掲げられている5つのPに対応しています。

People 人間

1.あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現

2.健康・長寿の達成

Prosperity 繁栄

3.成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション

4.持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備

Planet 地球

5.省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会

6.生物多様性、森林、海洋等の環境の保全

Peace 平和

7.平和と安全・安心社会の実現 

Partnership パートナーシップ

8.SDGs 実施推進の体制と手段

ちなみに、2019年12月に公表されたSDGs実施指針改定版では、当初の実施指針には記載のなかったジェンダー平等の実現をはじめ、防災や気候変動対策が優先課題に含まれました。

特にジェンダー平等においては、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダー・ギャップ指数2020」において、日本は153カ国中121位と取り組みの遅れがあったことが影響しているのかも知れません。

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SDGsアクションプランとは

ここまで、SDGs実施指針と8つの優先課題の関係を整理してきましたが、いよいよ本題のSDGsアクションプランについてご紹介します。

SDGsアクションプランとは、SDGs実施指針で掲げた8つの優先課題に対して推進される具体的な施策を指します。

SDGsアクションプランは、総理大臣が本部長、官房長官・外務大臣が副本部長で構成されたSDGs推進本部がとりまとめています。つまり、日本政府のSDGs施策における要であるため、SDGsに取り組む企業はSDGs推進本部の動きをおさえておくべきでしょう。

SDGsアクションプランは、毎年12月に翌年分が公表されて6月には内容が見直しされた拡大版も公表されます。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響からか、SDGsアクションプラン2020の拡大版が公表されることなくSDGsアクションプラン2021が公表されました。

その後、アクションプラン2021も拡大版はなくアクションプラン2022が公表されました。

各アクションプランの公開時期とサブタイトル
2017年12月SDGsアクションプラン2018 「2019年に日本の「SDGsモデル」の発信を目指して」
2018年6月拡大版SDGsアクションプラン2018 「2019年に日本の「SDGsモデル」の発信を目指して」
2018年12月SDGsアクションプラン2019 「2019年に日本の「SDGsモデル」の発信を目指して」
2019年6月拡大版SDGsアクションプラン2019 「2019年に日本がリーダーシップを発揮するSDGs主要課題」
2019年12月SDGsアクションプラン2020 「2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり」
2020年12月SDGsアクションプラン2021 「コロナ禍からの「よりよい復興」と新たな時代への社会変革」
2021年12月SDGsアクションプラン2022 「全ての人が生きがいを感じられる、新しい社会へ」

 

ここからは、各アクションプランの要点を見ていきましょう。

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SDGsアクションプラン2022の要点

SDGsアクションプラン2022に関する取り組みには、約7.2兆円が予算化されています。(アクションプラン2021では約6.5兆円)

SDGsアクションプラン2021では、2020年版まで中心に位置づけられていた3本柱が、4つの重点事項(詳しくはこちら)に刷新されました。そのため、SDGsアクションプラン2021では、4つの重点課題のもとに8つの優先課題が示される資料の作りになっています。

これがアクションプラン2022では、前述したSDGs実施指針に掲げられた2030アジェンダ内の5つのPに対応する8つの優先課題を重点事項として示す形に変更されています。そして5つのPには紐づく優先課題を表す以下のような説明が追加されています。

People 人間:感染症対策と未来の基盤づくり

1.あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現

2.健康・長寿の達成

Prosperity 繁栄:成長と分配の好循環

3.成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション

4.持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備

Planet 地球:地球の未来への貢献

5.省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会

6.生物多様性、森林、海洋等の環境の保全

Peace 平和:普遍的価値の遵守

7.平和と安全・安心社会の実現 

Partnership パートナーシップ:絆の力を呼び起こす

 

8.SDGs 実施推進の体制と手段

アクションプラン2022の解説として、5つのPの具体的な内容と、前年の8つの優先課題と比べて2022から新たに追加された項目を見ていきましょう。

People(人間):感染症対策と未来の基盤づくりの内容

  • 新型コロナウイルス感染症対策を含む、より持続可能なユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けて、グローバルヘルス戦略の策定・取り組み
  • 新型コロナウイルス感染症による格差の拡大や固定化の解消・抑制
  • 女性参画・ダイバーシティとバリアフリーの推進による全ての人が生きがいを感じられる社会(関連:第 6 回国際女性会議 WAW!の開催)
  • 子ども中心の行政確立を担う新たな行政組織の設置(2023年中)

Prosperity(繁栄):成長と分配の好循環の内容

  • イノベーション力の強化(デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーン分野の成長を推進)
  • 「デジタル田園都市国家構想」の実現
  • 地方公共団体が連携して行う脱炭素化やデジタル化への取り組み支援

Planet(地球):地球の未来に貢献するの内容

  • クリーンエネルギー戦略の策定・推進(温暖化対策を成長につなげる)
  • 地球環境問題への取り組み(関連:国連環境総会、第4回アジア・太平洋水サミット、ポスト2020生物多様性枠組み)

Peace(平和):普遍的価値の遵守の内容

  • 国民の安全・安心な暮らしの確保として、自由・民主主義・人権・法の支配といった普遍的価値を守る
  • 人間の安全保障に基づき、途上国での能力構築や人材育成などの取り組み(関連:第8回アフリカ開発会議(TICAD))

Partnership(パートナーシップ):絆の力を呼び起こすの内容

  • 2023年のSDGs実施指針改定を見据えた、幅広いステークホルダーとの意見交換
  • 途上国とを始めとする国際社会との連携・取り組みの推進(関連:日本・メコン地域SDGsフォーラム)

 

続いて8つの優先課題の中で、アクションプラン2022から新たに重点的に取り組む分野として位置づけられている内容をまとめます。

 

1.あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現の新たな重点分野(People 人間の分野)

女性活躍・男女共同参画の取り組み

以下の具体的な取り組みが記載されています。

  • 女性デジタル人材の育成
  • 生理の貧困への支援
  • 女性の登用目標の達成
  • 女性に対する暴力の根絶
スポーツ関連の取り組み

2020年東京オリンピック・パラリンピック関連として取り組まれてきた「スポーツ・フォー・トゥモロー」のレガシーを「スポーツ・フォー・トゥモロー・ネクスト(仮称)」に発展させて、あらゆる世代にスポーツの価値を広げていくことが追加されています。

2. 健康・長寿の達成の新たな重点分野(People 人間の分野)

感染症対応能力の強化

途上国を含め、感染症に対する治療・ワクチン・診断の開発・製造・普及を包括的に支援することで、これらへの公平なアクセスの確保を目指しています。

栄養の改善

国外の栄養改善に向けた国際的な取り組み強化と、国内の栄養政策をあわせて推進すること(関連:東京栄養サミット2021)

3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション(Prosperity 繁栄の分野)の新たな重点分野

地域課題をデジタルの力で解決する

以下の具体的な解決策が記載されています。

  • 自動配送
  • ドローン宅配
  • 遠隔による医療・教育
  • 防災
  • リモートワーク
  • スマート農業

4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備(Planet 地球の分野)の新たな重点分野

この分野は2021年の重点分野が引き続き掲げられています。

  • 防災・減災の取り組みを進めて、国外に対して日本の経験を広める
  • 途上国の質の高い成長を実現するために、質の高いインフラ投資を継続していく

5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会(Planet 地球の分野)の新たな重点分野

温暖化対策

2050年カーボンニュートラル及び 2030年度の2013年度比で排出量を46%削減する目標の実現に向けた、具体的な取り組みとして以下が記載されています。

  • 最大限の再エネ導入のための規制見直し
  • クリーンエネルギー分野への投資
  • 送配電網のバージョンアップ
  • 蓄電池の導入拡大
火力発電のゼロエミッション化

この目標に向けて、アンモニア・水素への燃料転換の推進や、アジアの国々の脱炭素化への貢献が記載されています。

農林水産業のグリーン化

食料・農林水産業の生産性向上と持続性の両立が目指されています。(関連:みどりの食料システム戦略)

食品ロスへの取り組み

食品ロス量を2030年までに、489万トン(2000年度比で半減)に低減することが目指されています。(関連:食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針)

6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全(Planet 地球の分野)の新たな重点分野

この分野は2021年の重点分野が引き続き掲げられています。

  • 海洋プラスチックごみ対策(関連:大阪ブルー・オーシャン・ビジョン、国連環境総会)
  • 生物多様性の保全(関連:SATOYAMA イニシアティブ)

関連して新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、海や川でマスクを始めとするプラスチック廃棄物量が増加していることが指摘されています。

7. 平和と安全・安心社会の実現(Peace 平和の分野)の新たな重点分野

途上国における労働者の保護

これまでの調査をもとに、児童労働や強制労働を含む脆弱な労働者の保護に向けた具体的な取り組みを推進することが記載されています。

8. SDGs 実施推進の体制と手段(Partnership パートナーシップの分野)の新たな重点分野

この分野は2021年の重点分野が引き続き掲げられています。

  • SDGs達成に向けて国内外のあらゆる関係者と連携して取り組みを推進する
  • 開発援助に際して政府・開発機関・民間企業・NGOなどの連携を強化する
  • 国際的な連携を強化する(関連:持続可能な開発のための国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)、日本・メコン地域SDGsフォーラムなど)

 

SDGsアクションプラン2022の資料はこちら(PDF)でご確認ください。

 

▶SDGsアクションプランを読み解いて、自社事業や個人の活動に活かすコツ に移動する(ページ下部)

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SDGsアクションプラン2021の要点

SDGsアクションプラン2021で登場した「4つの重点事項」を解説

2020年12月に公表されたSDGsアクションプラン2021では、これまで内容に変化のなかった日本のSDGsモデルの中核となる3本柱に手が加えられました。新たに示されたのは、以下の4つの重点事項です。

4つの重点事項
  1. 感染症対策と次なる危機への備え

  2. よりより復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略
  3. SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出

  4. 一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速

この4点は、2021年に政府が取り組む重点事項に位置づけられています。

この変更は、2020年に発生した新型コロナウイルスにより、私たちの暮らしや働き方など、すべての日常が激変したことが影響しています。この脅威を乗り越えていくことが、現在の私たちの最重要課題です。そのため、SDGsアクションプランでも「感染症対策」が盛り込まれました。また、SDGsアクションプラン2020までの3本柱も感染症対策が包括された内容に刷新されています。

さらに、SDGsアクションプラン2021のサブテーマ「~コロナ禍からの「よりよい復興」と新たな時代への社会変革~」からも、新型コロナウイルスに対峙する日本政府の決意を読み取ることができます。

それでは、SDGsアクションプラン2021の4つの重点事項のおもな内容を見ていきましょう。

1. 感染症対策と次なる危機への備え のおもな内容
  • 感染症から命を守るために、治療・ワクチン・PCR検査の診断普及などの体制強化
  • 次なる危機に備え、強靭かつ包摂的な保険システムを構築し、ユニバーサル・ヘルス・カレッジ(UHC)の達成に向けた取り組みの推進
2. よりより復興に向けたビジネスとイノベーションを通じた成長戦略 のおもな内容
  • 企業のSDGs推進活動を促進させるためのESG投資の推進
  • DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進により、ポストコロナ時代における「新たな日常」の定着・加速
3. SDGsを原動力とした地方創生、経済と環境の好循環の創出 のおもな内容
  • カーボンニュートラルへの挑戦により世界のグリーン産業を牽引し、経済と環境の好循環を創出
  • 防災と減災、国土強靭化、質の高いインフラ、SDGsを原動力とした地方創生の推進
4. 一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化を通じた行動の加速 のおもな内容
  • 全分野で女性の参画・ダイバーシティ・バリアフリーを推進
  • 次世代へのSDGs浸透を目指し、ESD(持続可能な開発のための教育)を推進

4つの重点課題すべての内容は、SDGsアクションプラン2021(PDF)でご確認ください。

SDGsアクションプラン2021を「2020年の動向」から解説 

次に、SDGsアクションプラン2021の具体的な内容を2020年の動向から解説していきます。

カーボンニュートラルに向けた取組みの加速

日本政府として「2050年までに温室効果ガス排出ゼロ」を宣言したこともあり、SDGsアクションプラン2021では「省エネ」より「再エネ・新エネ」の打ち出しが強調されています。例えば、洋上風力発電・次世代型太陽電池・バイオマス発電など、脱炭素に向けた新たな研究開発が内容として目立っています。

また、SDGsアクションプラン2020で掲げていた「先進的な火力発電技術等の海外展開推進事業」がSDGsアクションプラン2021からは除外されています。ヨーロッパを中心に石炭火力発電を廃止する動きが加速している中で、2020年7月に日本政府は「石炭火力発電の海外輸出を原則支援しない」ことを表明し、ようやく日本政府も方向転換を決めました。

新たな日常を担うDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

新型コロナウイルスによって、人との接触が控えられる中、私たちの生活にZoomMicrosoft TeamsといったWeb会議サービスが浸透しました。このようなデジタルサービスが展開されたことで、テレワークやリモート授業などが広がり、多くの人がDX(デジタルトランスフォーメーション)の恩恵を受けています。

今後、新たな日常の定着・加速には、DXが必要不可欠です。そのため日本政府はDXをより加速させるために、5Gの次の世代である「Beyond 5G」の研究開発を施策に掲げています。また、農林水産業が抱える固有の課題もDXが推進されることで解決の道標になっていきます。

すべての人の可能性を支援

SDGsアクションプラン2020では、次世代と女性のエンパワーメントを打ち出していました。しかし、SDGsアクションプラン2021では、「一人ひとりの可能性の発揮と絆の強化」に文言が変化しています。

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの方が深刻な被害を受けました。このような状況に対して十分なセーフティーネットを提供することで、すべての人の可能性を発揮し、誰もが生きがいを感じる包摂的な社会を目指していきます。

また、ビジネスにおいても大きな動きがありました。それが、2020年10月に策定された「ビジネスと人権」における行動計画(NAP)です。同計画は、先進国の企業活動で発生するサプライチェーンにおける人権侵害や搾取を監視することを目的としています。日本は先進国の中でも人権に対する認識が低く、同計画の実施・周知を図ることで、日本企業の人権への取り組みが加速することが期待されます。

 

▶SDGsアクションプランを読み解いて、自社事業や個人の活動に活かすコツ に移動する(ページ下部)

SDGsアクションプラン2020の要点

日本のSDGsモデルを支える3本柱

SDGsアクションプラン2018から2020では、日本のSDGsモデルの中核となる3本柱がSDGsの国内実施と国際協力に対する方向性を示していました。ここでは、8つの優先課題を別の角度から見れる、3本柱を1つずつ見ていきましょう。

1. ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society5.0」の推進~

SDGs経営の推進やESG投資を後押しなど、ビジネスでSDGsに貢献する内容が掲げられています。

2. SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり

SDGs未来都市や地方創生SDGs官民連携プラットフォームなど、地方創生を推進する内容が掲げられています。

3. SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

女性の活躍推進や次世代の学費無償化を行うことで、次世代や女性がSDGsをリードしていく人材に力をつけていく内容が掲げられています。

ここまで読んでいただくと、SDGsアクションプランが成立・改定されてきた、大まかな流れや内容は理解できたかもしれません。しかし「SDGs実施指針」「SDGsアクションプラン」「SDGsモデル」「8つの優先課題」「3本柱」など様々な言葉が登場し、混乱している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そういった方のために、SDGsアクションプランの大事な点をまとめ、分かりやすく整理した資料を作成しました。

SDGsアクションプラン-政府の中長期戦略

SDGsアクションプラン2020のテーマ「2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり」

ここからは、2019年12月に公表されたSDGsアクションプラン2020の内容について紹介していきます。

実はSDGsアクションプランには、毎回異なるサブテーマが設けられています。最新のSDGsアクションプラン2020のサブテーマは「2030年の目標達成に向けた「行動の10年」の始まり」です。

一般社団法人日本能率協会の調査「第40回 当面する企業経営課題に関する調査 日本企業の経営課題 2019 調査結果」(2019年10月)によると、76.9%の企業が「SDGsを知っている」と回答したにも関わらず、「具体的な目標を設定してSDGsに取り組んでいる」企業はわずか14.2%でした。

また、日本国内でのSDGsに向けた取り組みには偏りがあります。

ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発方法ネットワーク(SDSN)が共同で発表した報告書「SDG Index & Dashboards 2019」(2019年6月)によれば、日本は昨年度よりSDGs達成度は伸びているものの、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」においては達成度が低いと評価されました。

SDGsを認知させるフェーズから、行動に移すフェーズに入ったからこそ、日本政府はさらにSDGsの取り組みを加速させようと、昨年のSDGsアクションプランと比べても今年はガツガツ行動していくぞという印象を持ちます。

具体的な施策内容は、SDGsアクションプラン2020(PDF)を参照してください。

SDGsアクションプラン2020を3つの方向性から読み解く

SDGsアクションプラン2020の内容をすべて読むのは大変だと感じている方に向けて、SDGsモデルの「3つの方向性」から読み解く方法をご紹介します。

①「Society5.0」の推進を加速化

Society5.0とは、狩猟社会(Society1.0)、農耕社会(Society2.0)、工業社会(Society3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指します。IoTやAIなどの最新テクノロジーを活用し、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会を意味します。

簡単にいうと、話題の自動運転やドローン技術などが日常生活に存在する便利な社会です。Society5.0が実現した社会のイメージを映像でつかんでみましょう。

初版のSDGsアクションプラン2018から、「3つの方向性」の1つにSociety5.0の推進は含まれていました。しかし、2018年当時にSociety5.0と聞いて、イメージできる方はわずかでした。そこで2年の時間をかけて、SDGsやSociety5.0を少しずつ浸透させていき、2020年にやっと本格的な取り組みができるまでの下準備や機運づくりをしてきました。

具体的アクションは「Connected Industries」「バイオ戦略」「スマート農林水産業」の推進が掲げられ、Society5.0に向けた取り組みが本格的に開始されます。

②住み続けられるまちづくりの構築

SDGsアクションプラン2020では、「グリーンインフラの推進」や「大阪ブルー・オーシャン・ビジョンの実現」といった、これまでのアクションプランには記されていなかった新しい表現が加わりました。

グリーンインフラとは、自然本来の機能を活用して、持続可能なまちづくりを推進する取り組みです。

大阪ブルー・オーシャン・ビジョンは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指して掲げられ、2019年6月に開催されたG20大阪サミットで共有されました。

2019年は大型台風によって、たくさんの被害に見舞われました。今こそ強靭かつ環境に優しい住み続けられるまちづくりが必要であり、SDGs実施指針改訂版の優先課題にも防災・気候変動対策が掲げられました。つまり、グリーンインフラや海洋プラスチックごみ対策がより求められていくのです。

③持続可能な開発のための教育「ESD」を推進

2019年12月の第74回国連総会において、「ESD for 2030」が採択されました。ESDとは、Education for Sustainable Developmentの略で、日本語にすると「持続可能な開発のための教育」です。

教育はSDGsのすべての目標に直結しています。つまり、SDGsすべての目標を成功に導く鍵として教育が重要であり、なかでもESDはSDGsの達成に不可欠な実施手段です。

2019年に約10年ぶりに全面改訂され、2020年度から順次導入される学習指導要領の前文と総則には、「持続可能な社会の創り手となる」との文言が盛り込まれています。

つまり、学校には次世代の創り手を育成することが求められており、ポイントとなるのが「ESD」の推進です。2020年度から若者への教育・啓発を強化するべく、SDGsを授業で教える学校がさらに増えていくでしょう。

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SDGsアクションプランを読み解いて、自社事業や個人の活動に活かすコツ

ここからはSDGsアクションプランをどのようにビジネスに取り込むのかを、企業編・個人編と分けてご紹介します。

企業編

1. 自社事業やSDGs方針と関係する施策を探す

まずは、SDGsアクションプランの中から自社と関係しそうな施策を見つけましょう。その上で施策内容をインターネットで調べていくと、たとえば「データヘルス改革の推進」は厚生労働省、「健康経営の推進」は経済産業省というように関係省庁のページが見つかります。

SDGsアクションプランはSDGs推進本部が主導していますが、実は具体的な施策に取り組むのは関係省庁です。ただし、インターネットで情報が見つからない場合もありますので、その際は外務省 地球規模課題総括課(TEL:03-3580-3311) に電話すれば、関係省庁につないで頂けます。

ただし、SDGsアクションプランに明記された施策が多すぎて、何を優先すればいいのか見えづらいこともあります。

また、予算が確保できている施策は予算額が明記されていますが、予算の算出が難しい施策や少額で取り組める施策には、予算が明記されていません。貴重なリソースを使って取り組むからこそ、最大限の効果を得るために選択と集中が大事になります。

自社の事業・取り組みとSDGsの関係を整理するワークにSDGsマッピングがあります。詳しい内容や方法は以下の記事にまとめていますので、ご活用ください。

2. 社内のSDGs理解度を合わせるためにセミナー・研修・eラーニングを実施する

朝日新聞社が2019年3月に発表した「SDGs認知度調査 第4回報告」の「あなたはSDGsという言葉を聞いたことがありますか/職業別」の調査結果で、聞いたことがあると回答したのは、管理職では36%、事務・技術職では23%、製造サービス従事者では13%と、認知度に差があるため、社内関係者の理解度にも差があることが予想されます。

関係者のSDGsへの理解度にズレがあると事業創出や推進ができないため、第一歩としてSDGsへの理解を深める・合わせる必要があります。対象にあったトピックやテーマが学べるセミナー・研修・eラーニングなど、SDGsを学ぶ手段はたくさんあります。SDGs media 調べでこのあたりの情報を以下の記事まとめていますのでご活用ください。

3. SDGsの具体的な取り組みや方針策定に向けて担当者を決める、研修を実施する

SDGsへの取り組みを本格化させ、SDGs経営に踏み切る場合は、経営層の積極的なコミットやSDGs担当部署・担当者の任命が欠かせません。その後、取り組みを進めていくためには、まずSDGs自体の知識やビジネス・企業の取り組みとSDGsの関係などを学ぶ必要がります。

イチからビジネス文脈におけるSDGsの基本的な情報を学ぶには、セミナー受講や無料の資料を活用することをオススメしています。その情報については、以下の記事が参考になります。

SDGs mediaでも研修の実施やSDGs eラーニングの提供をしています。ご希望の方は、以下のページからまずはご相談ください。

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個人編

個人とSDGsアクションプランを結びつけられないかと考えている方もいるのではないでしょうか。

その場合は、SDGsアクションプランでなく、SDGs全体に目を向けて、取り組める施策を考えてみることをオススメします。基本的にSDGsアクションプランに掲げられている施策は大規模なものが多く、個人と結びつけることが難しいのが理由です。

近年では、SDGsを意識して活動する個人・団体が非常に多くなってきました。そこへ飛び込んでみる、協力していくなども、個人レベルでできる1つのアクションだと思いますので、SDGs情報を検索したり、活動したりしてみてください。

SDGs media で個人で取り組めるSDGs活動をまとめた記事は以下です。

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まとめ

SDGsは、掲げられている課題に対して具体的な解決方法が示されているわけではないため、わたしたちの手で前例を作っていく必要があります。

そのため、SDGsの取り組みは先行者利益が得られる可能性が高く、自社でできると思った事は積極的に行動を起こすことをおすすめします。

最後まで読んでいただければ、SDGsの取り組みを始める上で羅針盤の1つになるのがSDGsアクションプランだとおわかり頂けたと思います。この機会にじっくりとSDGsアクションプランを読んで、自社の事業や個人の活動から取り組めることがないか考えてみてください。

そして、みなさまの企業ならではの、実施方針やアクションプランを考えてみてはいかがでしょうか?

SDGsアクションプランをじっくり読んで具体的な施策内容を知りたい方は、SDGs推進本部のWebページから各アクションプランの詳細をご覧ください。また、SDGs mediaを運営する株式会社Dropでも、SDGsの取り組みを始める上で役立つ資料を紹介・提供しています。詳しくは、以下の記事をご覧ください。

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ビジネスと人権の基本知識・企業による人権の取り組みのプロセスとポイント・人権に関する教育/研修の重要性

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企業における人権尊重のあり方・企業の人権尊重に関する国内外の動向・企業による人権の取り組みのプロセスとポイント・参考になる企業事例の紹介

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