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【企業のSDGs事例】カンボジアの子どもに健康的な食生活を!お菓子製造企業NOM POPOKの取り組み

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スオスダイ! 2020年1月に、15年ぶり2度目のカンボジアへ行ってきたyummyです。

カンボジアの公用語であるクメール語であいさつしてみました。

皆さんは、カンボジアと聞いてどんなことを連想しますか?

東南アジアの一国、歴史的な寺院がたくさんある、悲惨な歴史がある、などのイメージを持つ方が多いのではないでしょうか?

今回の記事では、カンボジアで子どもの食問題に取り組む日本人の社会起業家の方の活動をご紹介します。カンボジアや途上国支援、社会的企業、栄養教育などに興味がある方にはぴったりの内容になっていますよ。

今回の記事はこんな人にオススメの内容です
  • 発展途上国での企業のSDGs事例について興味がある
  • カンボジアが抱える食の問題について知りたい
  • 日本人が海外で起業した事例に興味がある

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カンボジアの現状

カンボジアの人々の生活

近年GDP7%という高い経済成長率で、ASEANの中でも目覚しい経済成長を遂げているカンボジア。都市部には高級コンドミニアムやお洒落なカフェが並びます。

その反面、人口の約75%が暮らす農村部では、経済格差から貧困で多くの人が苦しんでいます。カンボジアは、国連総会の決議で認定された開発途上国の中でも、特に貧しいとされる後発開発途上国47ヶ国のリストに入っているのです。

また、過去20年にわたる内戦、特に1975年~約5年間のポルポト時代の混乱により、現在も医療や教育などの各分野に負の影響が色濃く残されています。

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カンボジアが抱える食の問題

カンボジアの社会問題の1つが子どもの栄養不良です。特に5歳未満児の子どもの30%以上が慢性的栄養失調、年間推定で6万人〜9万人の子どもに栄養治療が必要であるとされています。

カンボジアの食生活は、お米でお腹をふくらませおかずはわずかな野菜や川で捕った小魚など。

朝食を摂らずに登校する子どもたちは、空腹で授業に集中できず、成績不振となり中途退学するケースが後を絶ちません。食事が十分に摂れないことによって十分な教育が受けられず、将来の選択肢が限られてしまえば、貧困の連鎖につながる可能性が高いです。

バイサイチュルーク

こちらは筆者がプノンペン郊外のレストランで食べた伝統的カンボジア料理のバイサイチュルーク(焼き豚乗せ白飯)。

カンボジアの料理は、わずかな食材を使ったおかずで白ごはんをたくさん食べるものが多く、ビタミンや食物繊維類は不足しがちな印象でした。

経済や農業生産の事情もあってか、多くの子どもたちは学校内の売店で低価格の脂っこいスナック菓子や甘いジュースを日々のおやつとしており、時には主食の代わりに摂取しています。

カンボジアの食生活

2014年にユニセフがプノンペンの貧しいコミュニティで調査を行った結果、家庭支出の6~7%をスナック菓子代が占めていることが分かりました。発育阻害の低体重の子どもが多くいる一方、低価格の甘いお菓子の誘惑により過体重の子どもが増加するという栄養不良の二極化が起きています。

日本では、学校教育の中に食育基本法を基盤とした、子どもたちへの食育が組み込まれていて栄養バランスのとれた給食が毎日届けられています。しかし、カンボジアには栄養士という仕事が存在しておらず、栄養を学ぶことができる大学の授業や栄養を基礎から体系的に学べる教育機関もほとんど存在しません。栄養問題を抱える子どもが多い上に、栄養問題を解決するための人材が不足しているこの状況こそが、課題解決をより困難にしています。

ここからは、カンボジアの子ども達が直面する食問題の解決の一手になるビジネスを実践している企業の事例を紹介します。

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健康的な食生活の大切さをお菓子を通じて伝える菓子製造販売企業NOM POPOK 

カンボジアの子どもの栄養問題を目の当たりにし、食育の大切さを広めるために立ち上がった社会的企業NOM POPOK(ノム ポポー)をご紹介します。

NOM POPOK事業紹介1

NOM POPOK事業紹介2

カンボジアの子どもの栄養状態の改善を目指して、栄養価の高い健康的なお菓子を販売が、NOM POPOKの主な事業です。子ども達にお菓子を通して栄養の大切さを知ってもらいながら、長期的にはカンボジアの子どもやその親が健康的な食選択ができるようになってもらいたいと学校で栄養教育も実施しています。

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NOM POPOK創業者にカンボジアでの活動について伺いました

ポル・ポト時代に難民として来日したカンボジア人の両親をもつ福原明さんと共にNOM POPOKの共同代表をしている大路紘子さんに、プノンペンの工房でお話を伺いました。

大路紘子
大路紘子(おおじひろこ)さん
早稲田大学で女性のエンパワメントについて研究し、ひとりのエンパワメントが社会に大きな影響を与えていくことに感銘を受ける。非営利団体の駐在員として2011年にカンボジアへ。仕事を通して子どもたちの栄養不良の深刻さに気づき、2018年にNOM POPOK立ち上げる。国際関係学修士(2006)、経営学修士(2018)

NOM POPOK が目指す持続可能な支援とは?

NOM POPOK事業紹介3

大路さんが2011年にNGOからカンボジアに派遣された時、海外から多くの援助がカンボジアにきていました。「カンボジアにはおいしいフルーツや人々の優しさや逞しさがあり、カンボジア自体にカンボジア社会が抱える問題を解決するだけの潜在的なパワーがあると、いつも感じていました。」と、当時の印象を語ってくれました。

カンボジア人自身達の手で持続的に国が発展していける仕組みを作るには、「カンボジアには〇〇がない」ことを出発点とする支援のあり方から、カンボジアに「ある」ものから出発する持続可能的なアプローチ方法を模索し始めます。

「現地のヒトやモノをつないで有機的な仕組みを作ることで、内発的な開発、社会の目覚めのようなものが起こるのではないか?」と、考えた大路さんは、カンボジアの持続的な発展の一歩目をNOM POPOKの事業を通してスタートさせたのです。

NOM POPOKが貢献するSDGsの目標

次に、NOM POPOKが貢献する「SDGs(エスディージーズ)(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))」の目標を、コアとなる目標と影響を与える目標に分けて見ていきましょう。

コアとなる目標

NOM POPOKの目標

目標2「飢餓をゼロに」
目標3「すべての人に健康と福祉を」
目標4「質の高い教育をみんなに」
目標10 「人や国の不平等をなくそう」

NOM POPOKではモリンガ(植物)や大豆、パームシュガーといった、カンボジア国内の農村でとれた食材を含む栄養豊富な自然な味付けのお菓子を幼稚園や小学校、病院に届けています。

NOM POPOKの事業お菓子画像

NOM POPOKの事業お菓子画像2

こちらは、ビタミン豊富なモリンガが練り込まれた緑のクッキーと、栄養価の高いコオロギを使った茶色いクッキー。何度も試作を重ねここまで来たとか。カンボジア産の材料で豊富な栄養を含んだクッキーは子どもたちに人気です。

また、子どもたちが持続的に健康的な食事を選択していくために、お菓子の販売先の学校で栄養授業も行っています。子どもたちの栄養への関心を高め、自宅での食事内容にも影響を与えることが長期的な目標です。

影響を与える目標

NOM POPOKの影響を与える目標

目標8「働きがいも経済成長も」
目標12「つくる責任 つかう責任」
目標13「気候変動に具体的な対策を」
目標14「海の豊かさを守ろう」
目標15「陸の豊かさも守ろう」

NOM POPOK では受注生産のスタイルをとっているため、食品ロスの発生を可能な限り防いでいます。また、お菓子の包装の簡素化や、包装紙などのゴミ処理も、子どもと共に実行しています。

「食の安全」のために手洗い教育も実施しており、子どもたちに衛生管理の重要性を認識してもらうとともに、その実践、習慣化を支援しています。お菓子の作り手はカンボジア人。カンボジア人スタッフとの密なコミュニケーションを徹底することで、働きやすい職場であり続けることを目指しています。最近では、小学校での栄養授業の先生をカンボジア人スタッフにも担当してもらっています。

NOM POPOK では、これらの活動を単独で行うのではなく、NGO、政府機関、国際機関、他企業、個人専門家と協働しながら実施しています。同じ目標を持つ多様なアクターと一致団結することで、より大きな社会的インパクトを生み出すことができると信じているからです。その結果として、2019年からはカンボジア国立小児病院の給食で、NOM POPOKの蒸しケーキが提供されるようになりました。

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まとめ

カンボジアの子どもたち

今回は、私が現地で見聞きした、健康的なお菓子と栄養教育でカンボジアの子どもたちの健康を守るNOM POPOKのSDGsの取り組みについてご紹介しました。

食べ物に困るような状況を日常からは感じにくい日本に住んでいると当たり前のことでも、世界を見渡すとまだまだ貧困や飢餓によって衣食住に困っている人はたくさんいます。ニュース映像やインターネットで目にする途上国の実情も、自ら現地に足を運ぶことで、五感すべてを通してよりリアルに感じられます。

カンボジアでの駐在員経験から社会起業家になった大路さんのように、なにかビジネスでSDGsに貢献したいと考える方は、課題のある現場を訪れてみると何かいいきっかけを得られるかもしれませんね。とはいえ、2020年4月時点の世界の状況を鑑みると、まずは事態のいち早い収束を願っています。

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