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女性活躍推進法の改正内容とは|対象企業がすべきポイントを解説

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2022年4月、女性活躍推進法の改正が施行され、自社の女性活躍に関する行動計画の策定・公表の義務化が、労働者数301人以上の事業主から101人以上の事業主にまで拡大されました。

ジェンダーギャップは、日本がSDGsの17目標のなかで特に課題にしている目標でもあります。

今回の記事では、女性活躍推進法とはどのような法律なのかを解説しつつ、女性の活躍を推進する背景や企業が取り組むべきことについて紹介します。

今回の記事はこんな人にオススメです
  • 女性活躍推進法の改正内容を知りたい
  • 女性活躍に取り組む企業事例を知りたい
  • 担当者として女性活躍推進法の知識が必要

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法とは、働く意思のある女性が、自身の個性と能力を十分に発揮しながら活躍できる社会の実現を目指す法律です。

2016年4月1日に施行し、さらなる拡充を求めて2019年5月29日に改正法が成立しました。そして、2022年4月1日に改正が全面施行されました。

3つの方針で女性活躍推進法が理解できる

女性活躍推進法の内容を読み解くと、第2条の基本原則で3つのポイントが挙げられています。

採用や昇進の機会が平等に提供されること

OECD.Statが公表している『Employment : Female share of seats on boards of the largest publicly listed companies』の2021年データによると、日本の役員の女性比率は12.6%と、諸外国に比べ低い数値です(フランス:45.3%、ノルウェー:41.5%、イタリア:38.3%)。

職業生活で男女の活躍に格差がある実情を踏まえ、働く意思のある女性に対し、採用や教育訓練、昇進などの機会を積極的に提供していくことが方針の1つとして掲げられています。

これに関連した話題として、女性やマイノリティが十分な素質や実績を持つにもかかわらず、昇進が制限されるという見えない障壁を「ガラスの天井」と呼びます。女性役員の比率以外にも日本の男女格差情報を扱っているので、興味がある方は以下の記事がオススメです。

仕事と家庭を両立できる環境をつくること

多くの女性が、出産や育児、親の介護などライフステージの変化によってやむを得ず離職しています。このような状況を改善していくには、長時間労働を改める・リモートワークなど多様な働き方を認めるといった、誰もが働きやすい職場づくりや支援制度が必要です。

女性が仕事と家庭の両立を選べること

前提として、「本人の意思が尊重される」ことが重要です。職業生活と家庭生活が両立できる環境が整ったとしても、本人が希望をしていないのに働くことを強制することはよくありません。

女性の活躍を推進する背景

女性活躍推進法 画像1

なぜ政府は、女性活躍推進法を成立させたのでしょうか。その背景を3点から読み解いていきましょう。

少子高齢化による労働人材不足

1つは、少子高齢化に伴う労働力不足を解消するためです。パーソル総合研究所が発表した『労働市場の未来推計 2030』では、2030年には「644万人の人手不足になる」と推計しています(7,030万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めない)。

さらに、この調査では、出産・育児による離職が多い25歳から29歳時の労働力率が49歳まで維持されると、働く女性が102万人増えるとしています。今後、人口減少が予測されている日本で労働人材を確保していくには、女性の活躍が1つの策といえます。

職場で女性の力が十分に発揮できていない

厚生労働省のデータによると、約半数の女性が第1子の出産を機に離職しています。そして、再就職する際には、パートタイムなど非正規雇用となる場合が多く、本人の能力を十分に発揮できる雇用形態であるとはいえない状況にあります。

さらに、就業を希望しているものの、育児や介護といった家庭の事情を理由に働けていない女性は、約237万人にも上るといわれています。

ダイバーシティ(人材の多様化)への対応

労働人材不足が深刻化する中、組織の生産性や競争力を高める経営戦略の1つとして、多様なバックグラウンドを持つ人材の確保が注目されています。その一環として、女性の活躍の推進は必須といえます。

さらに、多様な働き方を望む人々が働きやすい職場環境をつくることは、企業としても、優秀な人材の確保や採用・育成に多大なコストを投じた社員の定着につながるため、中長期的にみてメリットがあります。

女性活躍推進法の3つの改正ポイント

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2016年4月1日に施行した女性活躍推進法は、2019年5月の法改正で、次の3つが変更されました。それぞれ施行日が異なる点に注意しましょう。

【労働者数301人以上】女性活躍に関する情報公表の義務化

<施行日>
2020年6月1日

<対象>
常時雇用する労働者数(パート、契約社員等も含む)が301人以上の事業主

<改正内容>
自社の女性活躍に関する情報について、公表義務のある項目数に変更がありました。

改正前は、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備」の2つの区分の中から1項目以上の実績を公表する義務がありましたが、改正後はそれぞれの区分から1項目以上(合計2項目以上)の実績の公表が義務化されました。

【労働者数101人から300人】2022年4月より情報公表の義務化

<施行日>
2022年4月1日

<対象>
常時雇用する労働者数が101人以上300人以下の事業主

<改正内容>
情報公表の義務の対象が、拡大しました。

改正前は、自社の女性活躍に関する情報について公表義務があったのは、労働者数300人以上の事業主でしたが、改正後は労働者数101人以上300人以下の事業主も義務化されました(改正前は、努力義務)。

特例認定制度「プラチナえるぼし」認定の創設

<施行日>
2020年6月1日

<改正内容>
えるぼし認定よりも水準の高い「プラチナえるぼし」が新設されました。

女性の活躍を推進する企業に与えられる「えるぼし認定」に、それよりもさらに高い認定基準をクリアした企業には、特例認定制度である「プラチナえるぼし認定」が付与されることになりました。

認定を取得すると、行動計画の策定が免除されるといった特典が得られる他、厚生労働大臣が定める認定マークを求人票や広告などに使用できるため、企業のブランディングや人材の確保にもつながります。

【企業規模別】女性活躍推進法で実施すべき取り組み

女性活躍推進法 画像3

女性活躍推進法は、企業の労働者数規模によって実施すべき取り組みが異なります。300人以上・101人から300人・101人以下と3つの区分について順番に見ていきましょう。

労働者数300人以上の場合

(1)自社の現状把握と課題分析

4つの基礎項目(必ず把握すべき項目)で、自社の女性活躍の状況を把握します。

  1. 採用した労働者に占める⼥性労働者の割合
  2. 男⼥の平均継続勤務年数の差異
  3. 労働者の各⽉ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況
  4. 管理職に占める⼥性労働者の割合
(2)行動計画の策定

以下2つの区分から、それぞれ1項目以上選択し、行動計画を立てます。
行動計画には、「計画期間」「数値目標」「取組内容」「取組の実施時期」の記載が必要となります。

<女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供>

  • 採用した労働者に占める女性労働者の割合
  • 男女別の採用における競争倍率
  • 労働者に占める女性労働者の割合
  • 男⼥別の配置の状況
  • 男⼥別の将来の育成を目的とした教育訓練の受講の状況
  • 管理職及び男⼥の労働者の配置・育成・評価・昇進・性別役割分担意識その他の職場風⼟等に関する意識
  • 管理職に占める⼥性労働者の割合
  • 各職階の労働者に占める⼥性労働者の割合及び役員に占める⼥性の割合
  • 男⼥別の1つ上位の職階へ昇進した労働者の割合
  • 男⼥の⼈事評価の結果における差異
  • セクシュアルハラスメント等に関する各種相談窓⼝への相談状況
  • 男⼥別の職種又は雇用形態の転換の実績
  • 男⼥別の再雇用又は中途採用の実績
  • 男⼥別の職種若しくは雇用形態の転換者、再雇用者又は中途採用者を管理職へ登用した実績
  • 非正社員の男⼥別のキャリアアップに向けた研修の受講の状況
  • 男⼥の賃⾦の差異

<職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備>

  • 男⼥の平均継続勤務年数の差異
  • 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男⼥別の継続雇用割合(区)
  • 男⼥別の育児休業取得率及び平均取得期間
  • 男⼥別の職業⽣活と家庭⽣活との両⽴を支援するための制度(育児休業を除く)の利用実績
  • 男⼥別のフレックスタイム制、在宅勤務、テレワーク等の柔軟な働き方に資する制度の利用実績
  • 労働者の各⽉ごとの平均残業時間数等の労働時間(健康管理時間)の状況
  • 有給休暇取得率
(3)社内周知と外部への公表

策定した行動計画を、社内に周知します。周知方法は、掲示板やメールの送付、イントラネットへの掲載などがあります。周知する労働者は、正社員だけでなく、パートや契約社員、アルバイトなども含まれます。

さらに、社外への公表も行います。公表先は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」や自社のコーポレートサイトなどです。

(4)都道府県労働局への届出

行動計画の策定届を、管轄の都道府県労働局に提出します。提出方法は、電子申請・郵送・持参があります。

(5)女性活躍推進に関する情報公表を行う

以下2つの区分から、それぞれ1項目以上選択し、2項目以上の情報を公表します。

<⼥性労働者に対する職業⽣活に関する機会の提供>

  • 採用した労働者に占める⼥性労働者の割合
  • 男⼥別の採用における競争倍率
  • 労働者に占める⼥性労働者の割合
  • 係⻑級にある者に占める⼥性労働者の割合
  • 管理職に占める⼥性労働者の割合
  • 役員に占める⼥性の割合
  • 男⼥別の職種又は雇用形態の転換実績
  • 男⼥別の再雇用又は中途採用の実績

<職業⽣活と家庭⽣活との両⽴に資する雇用環境の整備>

  • 男⼥の平均継続勤務年数の差異
  • 10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男⼥別の継続雇用割合
  • 男⼥別の育児休業取得率
  • 労働者の一⽉当たりの平均残業時間
  • 有給休暇取得率

労働者数101人から300人の場合

基本的には、労働者数300人以上の事業主の流れと同じですが、対応が必要な項目数に違いがあります。

  1. 自社の現状把握と課題分析、行動計画の策定
  2. 行動計画の策定
    2つの区分の中から、1つ以上の項目を選択し、行動計画を立てる。
  3. 社内周知と外部への公表
  4. 都道府県労働局への届出
  5. 女性活躍推進に関する情報公表を行う
    2つの区分の中から、1つ以上の項目を選択し、情報の公表をする。

労働者数101人以下の場合

上記別の区分で定められている(1)から(5)が「努力義務」とされています。

女性活躍推進を実施するメリット

自社の女性活躍を推進し、その状況を社内外へ発信することで、女性社員の定着モチベーション向上優秀な人材の確保多様なアイデアの創出公共調達の際の加点評価など、企業のブランディングや競争力向上につなげることができます。

また、女性活躍の推進だけを実施すれば良いわけではありませんが、SDGsの取り組みの1つとして女性活躍が含まれます。企業としてSDGsの取り組みを定めた上で、女性活躍を推進していけばSDGsの取り組みにもつながっていきます。

女性社員の活躍に積極的な企業事例

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SCSK株式会社

2006年、女性社員の約7割が30代前半(出産の一歩手前)で離職・転職していることに問題意識を持ち、長時間労働是正をはじめとする徹底的な働き方改革を行いました。

その結果、入社10年後の離職率が7割から3割へと大幅に減少しました。

さらに、人材の定着率向上のため、若手女性社員向け「キャリア支援プログラム」や出産・育児期の社員向け「職場復帰支援プログラム」などの取り組みも実施しています。

株式会社三井住友銀行

2005年以降、女性社員のキャリアアップを支援するさまざまな取り組みを実施しています。

たとえば、上位層向けには「経営目線」を養うことを目的とした「ウィメンズ・リーダー・プログラム研修」、次世代を担う中堅層向けには「ウィメンズ・リーダー・プログラムNext研修」を実施しています。

また、妊娠・出産を経た女性社員の継続就業を促進するため、育児繁忙期間には一時的に総合職からビジネスキャリア職に職種転換できる制度や、退職後5年以内を条件とした再雇用制度を設けています。

株式会社IHI

2013年から2015年の新卒定期採用における女性比率が、事務系採用で約38%、技術系採用で約9%と、男性に比べて低いことをうけて、理系女子学生の採用拡大に向けた取り組みを実施しています。

たとえば、女子学生向け採用セミナー、インターンシップでの女性の積極的受け入れ、女子学生向け採用ホームページの設置、女性向けパンフレットの発行などを行っています。

また、管理職や役員の女性登用について具体的な数値目標を設定し、改善に取り組んでいます。

まとめ

少子高齢化にともなう労働人材不足が深刻化している今、企業として女性社員の活躍の推進を行うことは、優秀人材の確保や採用・育成に多大なコストを投じた社員の定着率の向上につながります。

そのためには、まずは自社の状況を分析・把握し、他者の成功事例などを参考にしながら、改善できる点はないか考えてみましょう。

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更新日:2022年06月29日

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