SDGコンパス超解説|ステップ3 で成果と行動の目標を決める方法とは
こちら記事では、企業のSDGs/サステナビリティ推進に欠かせないSDGコンパスのステップ3「目標を設定する」ですべきことをまとめています。紹介している内容は、SDGs media を運営する株式会社Dropが企業向けの研修・コンサルティングのなかでお伝えしている内容です。
そのため、最後まで読んでもらえれば企業がSDGsに取り組む方法や、推進でつまづきやすいポイントなど、実践的な情報を知ることができます。
当社は、ステップ3「目標を設定する」で実行が必要なことは次の2つだと考えています。
推進担当者がステップ3で実行すること
- マテリアリティに対して成果目標を設定する
- 成果目標の達成に必要な行動目標を設定する
この記事を最後まで読んでもらえればこの目標設定のポイントがわかります。SDGs推進を行う際はぜひ参考にしてください。
他のステップを解説した記事はこちら
目次
ステップ3ですべきことの全体像
ステップ2「優先課題を決定する」で決まった重要課題(マテリアリティ)に対して、成果目標を設定しましょう。成果目標は、指標・数値目標・達成期限で構成されるため、例えば以下のようなものになります。
重要課題 | 成果目標の指標 | 数値目標 | 達成期限 |
---|---|---|---|
女性が働きやすい職場環境の整備 | 女性社員向けのアンケートスコア | 満足度の平均4点以上 | 2028年 |
ステップ3では、成果目標の達成に必要な行動目標も設定します。行動目標は行動内容・数値目標・達成期限で構成されます。
例えば、上記の「女性社員向けのアンケートスコアで満足度の平均4点以上」という成果目標を達成するための行動目標は以下のようなものになります。
行動目標 | 数値目標 | 達成期限 |
---|---|---|
女性社員向けアンケート実施 | 年に1回実施 | 2028年まで毎年 |
事務所の女性用トイレ・更衣室の増設 | 各フロアに1箇所以上 | 2029年までに |
キャリアパスの策定 | 運用開始 | 2027年までに |
ステップ3の担当者を組織する
ステップ2「優先課題を決定する」の最後でも取り上げましたが、ステップ2とステップ3では担当者に求められる経験やスキルが異なるため、改めて担当者を組織しましょう。
自社のバリューチェーンに関する情報を出して整理するステップ2と比べて、ステップ3では目標を立てたりその目標達成に必要な戦略を考えたりする議論や判断が必要であるため、担当者に各部署の部長・リーダークラスの人を加えるようにしましょう。
当社では1つの重要課題に対して、その重要課題に関係する部署の部長を推進リーダーに据えて、そのサポート役として課長・係長など3名程度をサポートメンバーとして組織することをオススメしています。
それぞれの担当者に求められる役割は、上図にあるようなものです。事務局の役割と推進リーダーの役割は異なるので、可能であれば兼務することは避けましょう。
成果目標を決めるために重要課題が達成された状態を議論する
まずは重要課題ごとに設定する成果目標を決めるプロセスとポイントを解説します。成果目標は、指標・数値目標・達成期限で構成されるためこれらを決めていきましょう。
重要課題に対する認識を議論して言語化する
成果目標を決めるには、推進リーダーとサポートメンバーのチームで議論をして、担当する重要課題に関する社会課題に対する理解度・認識と、優先課題が達成された状態を言語化して定める必要があります。
ここで定めたことがSDGs推進によって達成を目指す成果目標の指標になります。
例として、食品ロスの削減が重要課題である場合の議論・言語化について考えてみましょう。食品ロスを担当するリーダーとメンバーには、重要課題に対してこのような疑問が浮かぶでしょう。
食品ロスって具体的にどういうこと?定義はなに?
自社のどの拠点が対象になるのか?
具体的に何がどうなれば課題を解消・目標達成したことになるのか?
どんな取り組みが食品ロス解消に繋がるのか?
議論開始時点では、これらの疑問に対する答えはそれぞれで異なる可能性が高いです。つまり、食品ロスの削減という重要課題に対する認識がバラバラなのです。
このようなトピックについて議論することで、課題を定義して解決した状態を言語化して認識を合わせます。ここで言語化したものが成果目標の指標です。合わせて指標の数値目標とその達成期限を定めましょう。
目標設定の方法は他の記事でも解説していますので、そちらもご活用ください。
議論の末にたどり着いた成果目標が重要課題の解決に対して有効なのかどうかは、実際に取り組みを始めない限り判断ができません。そのため、目安として1年間は当初決めた成果目標に対して取り組みを続けて、もし有効でないことがわかれば成果目標を修正しましょう。
可能な限り定量的な成果目標を立てる
重要課題の内容によっては難しいケースもありますが、可能限り成果目標は定量的な目標にしましょう。どうしても難しい場合は、定性的な目標でもいいですが必ず達成したかどうかわかるような指標・数値目標を設定して、達成期限を決めましょう。
定性的な成果目標の例は、2025年までにくるみん認定を取得するなどが考えられます。
成果目標の例
以下が重要課題に対する成果目標の一例です。
重要課題 | 成果目標の指標 | 数値目標 | 達成期限 |
---|---|---|---|
長時間労働が原因の健康被害防止 | ストレスチェックのスコア | 90ポイント | 2030年 |
ハラスメントの防止 | ハラスメントを感じる社員の割合 | 5% | 2027年 |
電力使用による温室効果ガス量の削減 | 全事業所での温室効果ガス量の削減率 | 2022年度の排出量を基準に18%削減 | 2030年 |
成果目標の達成に必要な行動目標を決める
次に、成果目標に対する行動目標を決めるプロセスとポイントを解説します。行動目標は行動内容・数値目標・達成期限で構成されるためこれらを決めていきましょう。
行動目標が成果目標に繋がることが重要
成果目標に設定した指標・数値目標を達成期限までにクリアするには、数値目標の達成に貢献すると考えられる取り組みを実行しなければなりません。まずはチーム内で成果目標の達成に繋がると考えられる取り組みの案をたくさん出していきましょう。
出てきた取り組み案を精査してその中から、特に成果目標の達成に貢献できるものを選びましょう。そして行動目標は、行動内容・数値目標・達成期限の3点で定めます。
もし、成果目標の指標の現在の値がわかっていない場合は、行動目標の1つにその計測も含めるようにしましょう。
行動目標の例
以下が成果目標に対する行動目標の一例です。
成果目標の指標 | 行動内容 | 数値目標 | 達成期限 |
---|---|---|---|
社員の平均研修受講時間 | 現状の研修受講時間の把握 | 100% | 2024年3月 |
顧客のエネルギー利用効率化 | 省エネ提案勉強会の開催 | 年4回 | 2030年3月 |
従業員満足度スコア | 育休復帰支援プランの策定 | 100% | 2024年度 |
まとめ
ここまで読んできてステップ3「目標を設定する」で成果目標・行動目標を立てるプロセスとポイントは把握できたでしょうか。
ステップ3ではステップ2「優先課題の決定」で決まった、自社で取り組む優先課題への取り組みのゴール状態や具体的な行動を決めていきます。
ステップ3で目標を決めるために必要な期間は、当社が支援するケースではだいたい6カ月で完了しますので、1つの目安として認識しておくといいでしょう。
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