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【自然環境について考える教科書】藤子・F・不二雄先生の『みどりの守り神』

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環境問題、これは誰しもが幼い頃から一度は耳にしている言葉だと思います。「環境問題を解決しないといけない」。そうは思っていても、世界でどんな問題が起きているのかわからない、自分たちにできることなんてあるのだろうかと悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、『みどりの守り神』という漫画をご紹介しながら、陸や森林に焦点を当てた環境問題について考えていきます。

今回の記事はこんな人にオススメです
  • 漫画が好き
  • 環境問題について漫画で読みたい
  • 環境問題に対して個人のできることを知りたい

環境問題に触れた、ドキっとする漫画『みどりの守り神』

みどりの守り神書籍

画像出典:藤子不二雄SF全短篇 (第2巻) 「みどりの守り神」|amazon

『みどりの守り神』は、『ドラえもん』の作者で有名な、藤子・F・不二雄先生の作品です。『SF全短篇』の第2巻や『藤子・F・不二雄 SF短編PERFECT版』の第3巻、『藤子・F・不二雄の世界』に収録されている一話完結型の漫画です。

物語は、主人公のみどり(オリジナルアニメでは高校生の設定)が両親と乗っていた飛行機が、不意の墜落に襲われるところからスタートします。運良く助かったみどりは、密林の中で目を覚ましますが、周りには父と母がいません。パニック状態で両親を探すも、出会えたのは坂口五郎(さかぐちごろう)という同じ飛行機に乗り合わせていた学生のみでした。

坂口の話では、生き残ったのはみどりと坂口の2人だけ。救助を求め、2人で歩き始めますが、密林が続くばかり。やっとの思いで道に出て人家を見つけるも、人や動物の気配が一切ありません。

一晩家に泊まった翌日、いかだで川を下りますが、船と衝突し溺れて意識を失います。目を覚ますと、なぜか川岸のツタに絡まった状態。奇妙な現象が起き続けていることに疑問を抱きながらも、ボロボロの体で歩き続け、ようやく街を見かけます。しかしその街は、ジャングルと化してしまった東京。そして人は1人もいません。

異常な世界に残された物を探るうちに、恐るべき真実が2人に突きつけられます。

『みどりの守り神』は、環境問題・植物との共生がテーマになっている作品です。環境問題(地球温暖化や酸性雨など)をわかりやすく説明する漫画は数多く見受けますが、『みどりの守り神』のように環境問題そのものをテーマや設定として扱う漫画はとても珍しいです。

絵のタッチは『ドラえもん』と同じで柔らかく、子どもも読みやすいのです。ですが、藤子・F・不二雄先生のSF短編はとても深い内容で、また結末が少し怖いものも存在します。しかし『みどりの守り神』はじめ、どの作品も考えさせられる内容ばかりです。漫画を通して、私たちにメッセージを伝えようとしてくださっていることを感じます。

『みどりの守り神』のあらすじをお伝えしたところで、次に世界で起きている陸や森林についての環境問題に触れていきます。

世界の陸上生態系と生物多様性の現状

SDGs目標15

国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標、「SDGs(エスディージーズ)(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))」。その目標15「陸の豊かさも守ろう」は、「陸上生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、また森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、そして土地劣化や生物多様性損失の阻止を図る」ことを目標にしています。

地球の表面はおよそ7割が海、3割が陸地です。そして陸地の3分の1が森林です。地球の森林面積は約40.3haで、全陸地面積の約31%を占めています。

出典:世界の森林を守るために|環境省

日本の森林面積は約2510haあり、国土面積に占める森林面積は、2015年の段階で68.5%(森林率約7割)と世界有数の森林大国です。

人間を含むさまざまな生き物は、陸地の自然環境から多くの恩恵を受けており、森林からは、生命を維持するために不可欠な空気や水、食料を提供してもらっています。およそ16億人が森林で生計を立て、その中には約7,000万人の先住民が含まれます。また森林には、陸生種の動植物と昆虫の80%以上が生息しています。

すべての生き物に対して宝の存在である陸地の自然環境ですが、地球は人間の活動により、陸の環境が破壊され、土地の劣化に直面しています。そして世界の貧困層の約75%が、土地劣化の直接的な影響を受けていると言われています。 

環境破壊により、生態系の機能や生物の多様性が失われているこの状況が継続すると、生き物の豊かな暮らしもどんどんと失われていきます。

進む森林の減少と増加

先程、地球の陸地に当たる3分の1が森林とお伝えしましたが、その森林が1分間で東京ドーム約2個分、1時間で東京ドーム約127個分消失しています。2000年〜2010年に世界で減少した森林面積は、年平均で約521haです。

森林減少の原因は、木材資源調達・放牧・農地利用・レジャー施設開発のための伐採、酸性雨による影響、気候変動や干ばつなどによる森林火災などが挙げられます。2019年9月ごろに発生した、オーストラリアの森林火災も記憶に新しいと思います。しかし、森林減少が加速する国が多い中、2000年以降の中国とインドでは森林が増加しているのです。

その理由は、両国共に増加する人口を養うため、緑化が進んでいるからだと考えられます。また中国では、土壌浸食や大気汚染の影響を小さくするために、森林保全活動や植樹プログラムの「緑の万里の長城」などの活動が行われています。

環境破壊や耕作地の喪失は、日本でも進んでいます。森林の減少は世界にとって大きな問題なのです。

陸上生態系の保護

SDGsの目標15の内容に「生物多様性損失の阻止を図る」とあります。今、絶滅の危機にある動物が増加していることをご存じでしょうか?

現在、世界では、約175万種の生き物が暮らしています。そのうち、約26,000種の野生生物が絶滅の危機にあり、「レッドリスト」として指定されています。「レッドリスト」は、絶滅のおそれのある野生生物の種をまとめたリストです。国際的には国際自然保護連合、国内では環境省や地方公共団体、NGOなどが作成しています。

レッドリストの中に「絶滅危惧」というカテゴリーがあり、このカテゴリーに分類された生き物は、絶滅の危機が高いことになります。私たちもよく知っている、アフリカゾウやジャイアントパンダ、チーター、ホッキョクグマなども絶滅の危機が高い生き物です。

日本は国土の7割を森林が占しめていますが、過疎化や高齢化が進み、人の手入れが届かず荒れる里山が増えています。また都市化が進むことで、農業従事者が減少し、田畑が失われています。このように生き物たちを住処から追い払ってしまい、住処を奪われた生き物たちが数を減らしていっています。

一度絶滅した生物は,二度と戻ってはきません。自然環境を破壊し、生き物たちの生活を奪い続けてはいけません。生き物の生活を守り共存していくのも、私たち人間の役目ではないでしょうか?

『みどりの守り神』が伝えたいメッセージ

みどりの守り神イメージ画像

ここからは『みどりの守り神』の結末をお伝えしてしまうため、結末を知らずに作品を読みたい方は飛ばしてください。そして読まれたあとに、もう一度ここからの内容を読んでいただけると幸いです。

あらすじで紹介した、みどりと坂口五郎。この坂口という男、かなりの曲者です。感情の起伏が激しく、自分のミスを認めません。みどりが足を痛めたり、弱音を吐くと当たり散らかします。2人しか生き残っていない世界で、坂口のような人と共に過ごすのは、性別関係なく辛いと思います。

実は『みどりの守り神』、もう一人キャラクターが出てきます。それが白河貴志(しらかわたかし)です。白河は、元テレビ局のアシスタントディレクターで、人当たりの良い小太りの男性です。

白河が出てくるのは、あらすじでお伝えした「恐るべき真実が2人に突きつけられます」の後になります。恐るべき真実とは、ジャングルと化した東京に残っていた図書館らしき建物で、坂口が見つけた新聞に記載されていました

「世界各地に奇病が発生し、爆発的に伝染。その奇病が細胞を溶かし感染後、1週間以内に死亡させる」

世界に誰もいなかったのは、奇病のせいだったのです。その真実を知った後、坂口は発狂し、みどりを置いてどこかへ行ってしまいます。坂口が消えた後、みどりは歩き続け自宅に戻ります。そしてみどりは、リストカットで自殺するのですが、自殺を図ったみどりを発見し、介抱するのが白河なのです。

自殺をしたのに、なぜみどりは生きているのでしょうか。長くなりましたが、ここからが重要ポイントです。みどりが死ななかったのは、白河曰く「みどりのカビ」に助けられたからだそうです。

『みどりの守り神』の世界では、動物と植物が共生関係にあるため、植物は地球を守る存在とされています。私たちの生きる世界は緑の自然なしでは生きられませんが、この世界では植物が生き物なしでは生きられません。そのため「みどりのカビ」は、植物の存続のために人間の生き残りであるみどりを全力で守ったのです。

物語の最後、みどりと白河は生存者を探す旅に出ます。発狂し行方不明となった坂口も、きっとどこかで生きていると思います。

人間は自然なしでは生きられない

『みどりの守り神』は、生き物と自然の立場が逆転した世界です。私たちの生きる世界での人間は、動物、昆虫、植物、微生物といった数多くの自然と生き物に支えられています。人間は自然を管理しているのではなく自然に生かされ、そして私たちの命は、自然に守られているのです。

もし、生き物と自然の立場が逆転した世界が存在すれば、自然は人間以外の生き物を守り、人間は守らないのではないでしょうか。

人間の都合で自然を破壊してはいけない。頭では理解をしていても、これまでに多くの自然が破壊されてきました。人間の横暴で、共生関係を断ち切ってはいけないのです。

この作品のラストでは、2人の人間が未来への希望と勇気を抱き、滅亡した先の再生に眼を向けた姿が描かれています。藤子・F・不二雄先生は『みどりの守り神』を通して、私たちに自然との共生を考えるキッカケと明日に繋がるメッセージを残してくださっています。

私たちにできること

ここまで、SDGsの目標15、世界で起きている環境や生き物の問題、そして藤子・F・不二雄先生の『みどりの守り神』を紹介してきました。

「陸の豊かさを守る」の言葉だけだと、自分にできることを見つけるのはハードルが高いかもしれません。けれど、言葉を噛み砕くことで、日常生活で取り組めることが見えてきます。

  • 国際フェアトレード認証ラベルが貼ってある商品を購入する
  • 製品の原料を調べる
  • リサイクル商品を購入する。紙は裏紙も使用する
  • 環境への負荷を減らすことができる旬産旬消・地産地消の買い物を行う

    上記の小さなことでも、環境問題の改善に繋がります。私たち一人ひとりの小さな行動の積み重ねが、陸の豊かさを守っていきます。

    ぜひ身近にある取り組めることから、トライしてみてください。そして周りの方に、少しずつ環境と人間が矯正できる持続可能な世界の在り方を広めていってください。

    SDGs media の個人でできるSDGsへの取り組みをまとめた記事も参考になりますよ。

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