SDGsウェディングケーキモデルってなに?概要や特徴について紹介!
「SDGs(エスディージーズ)(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標))」の概念を表す構造モデルとして、「SDGsウェディングケーキ」と呼ばれるモデルがあります。
なにやらおめでたく美味しそうな名前の構造モデルですが、実はSDGsウェディングケーキモデルを理解すると、SDGsの各目標同士の関係性をつかむことにつながります。
今回の記事では、SDGsウェディングケーキモデルの概要と、17の目標それぞれの関係性についてご紹介します。
今回の記事はこんな人にオススメです
- SDGsウェディングケーキモデルを詳しく知りたい
- SDGsの目標同士の関係を知りたい
- SDGsの全体像をつかみたい
目次
SDGsウェディングケーキモデルとは?
SDGsウェディングケーキモデルとは、スウェーデンの首都・ストックホルムにあるレジリエンス研究所の所長が考案した、“SDGsの概念”を表す構造モデルです。
このモデルを発表した研究者のヨハン・ロックストローム博士は、地球規模の持続可能性の問題に関する研究で、国際的に評価されているスウェーデン出身の研究者です。
SDGsウェディングケーキモデルでは、SDGsの全17目標はそれぞれ大きく3つの階層から成り、それらが密接に関わっていることを、ウェディングケーキの形になぞらえて表されています。
SDGsウェディングケーキモデルを構成する3つの階層について
SDGsウェディングケーキモデルは、SDGsの目標17をケーキの頂点として、その下にある3つの階層「経済圏」「社会圏」「生物圏」によって構成されています。
この3つの階層の並び方はそれぞれ意味があり、「経済」の発展は、生活や教育などの社会条件によって成り立ち、「社会」は最下層の「生物圏」、つまりは人々が生活するために必要な自然の環境によって支えられていることを表しているのです。
続いて、3つの階層に含まれているSDGsの目標を下層から順を追ってそれぞれ見ていきましょう。
SDGsウェディングケーキモデルを構成する「生物圏」
SDGsウェディングケーキの最下層である「生物圏」には、17の目標のうち下記の4つが含まれています。
- 目標6.安全な水とトイレを世界中に
- 目標13.気候変動に具体的な対策を
- 目標14.海の豊かさを守ろう
- 目標15.陸の豊かさも守ろう
「生物圏」は、私たちが地球上で暮らす上で必要不可欠な要素である海や森林などの“環境問題”や、“気候変動”についての目標が含まれています。
昨今では、数十年前とは比べ物にならないほどに世界中の国や技術が発展・成長を続けています。しかしそれらは、“自然環境”が土台になることによって生み出されいて、「社会」と「経済」は「環境」無くしては成り立ちません。
持続可能な「社会圏」「経済圏」を支えるためにも、その土台となる「生物圏」のそれぞれの目標を達成しなければならないのです。
SDGsウェディングケーキモデルを構成する「社会圏」
SDGsウェディングケーキの中間層である「社会圏」には、17の目標のうち下記の8つが含まれています。
- 目標1.貧困をなくそう
- 目標2.飢餓をゼロに
- 目標3.すべての人に健康と福祉を
- 目標4.質の高い教育をみんなに
- 目標5.ジェンダー平等を実現しよう
- 目標7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 目標11.住み続けられるまちづくりを
- 目標16.平和と公正をすべての人に
「社会圏」では、私たち人間が不自由なく生活し、働けるような世界を作り上げるための目標が含まれています。
「生物圏」によって私たちが暮らす生活環境が整ったとしても、“健康問題”、“差別・偏見”、“教育環境”といった、生活基盤に必要な社会環境が整わなければ持続可能な社会の実現・維持は不可能です。
「社会圏」に含まれるそれぞれ目標を達成することで、持続可能な社会に必要な「経済圏」の基盤を作り上げることにつながります。
SDGsウェディングケーキモデルを構成する「経済圏」
「生物圏」「社会圏」の2層によって支えられているSDGsウェディングケーキの「経済圏」には、17の目標のうち下記の4つが含まれています。
- 目標8.働きがいも経済成長も
- 目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう
- 目標10.人や国の不平等をなくそう
- 目標12.つくる責任 つかう責任
「経済圏」では、社会で働く人々の“働きやすさ”や、人や国に対する差別や偏見をなくすことで、国や世界の経済発展につながるとしています。
そのためには、「生物圏」「社会圏」のそれぞれの目標を達成することが必要不可欠であり、経済の発展は環境と社会の上に成り立つことによって実現が可能になります。
SDGsウェディングケーキモデルの頂点「SDGs目標17」
「経済圏」「社会圏」「生物圏」の3層から構成されるSDGsウェディングケーキですが、その頂点には目標17 「パートナーシップで目標を達成しよう」が設定されています。
この目標17では、国や企業をはじめとした全世界の人々がパートナーシップを組むことで、持続可能な社会を作り上げることを目標にしています。
そして、目標17を達成するためにも、「経済圏」「社会圏」「生物圏」それぞれの層においての役割を世界中の国や人々が理解し、目標達成に向けて一歩ずつ活動していかなければなりません。
SDGsウェディングケーキモデルと2030アジェンダの関係性
2030アジェンダとは、2015年に開催された国連の持続可能な開発サミットにおける成果文書のことです。
このアジェンダの中には、“「経済」「社会」「環境(生物)」の3つの分野がSDGs達成への活動と互いにリンクし、なおかつそれぞれを分けて考えることができないもの”と記載されていて、SDGsウェディングケーキモデルも同様のことを表しています。
【55.持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットは、各国の置かれたそれぞれの現状、能力、発展段階、政策や優先課題を踏まえつつ、一体のもので分割できないものである。 〜(中略) 持続可能な開発が経済、社会、環境分野の進行中のプロセスとリンクしていることをよく踏まえておくことが重要である。】
引用元:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ|外務省
「2030アジェンダ」の内容は当サイトでもご紹介していますので、興味のある方はぜひ以下からご覧になってくださいね。
2030アジェンダとは
SDGsウェディングケーキモデルから見る日本のSDGs達成度
国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)と、ドイツのベルテルスマン財団によって「世界SDGs達成度ランキング」が毎年発表されています。2022年の発表で日本は世界163カ国中19位にランクインしました。
上図は、2022年に発表された日本のSDGs達成度合いを、目標ごとに表しています。
アイコンの色で達成度合いが表されており、赤は「最大の課題」、オレンジは「重要課題」、黄色は「課題が残っている」、緑は「SDGsが達成できている」ことを意味しています。
日本は、目標4「質の高い教育をみんなに」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標16「平和と公正をすべての人に」では緑の評価を得ています。
一方で、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」目標12「つくる責任 つかう責任」目標13「気候変動に具体的な対策を」目標14「海の豊かさを守ろう」目標15「陸の豊かさも守ろう」目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の5つは、最大の課題だと評価されています。
今回ご紹介したSDGsウェディングケーキモデルになぞらえると、3層の中でも特に「生物圏」で評価が低くなっています。ただし、どの層でも赤色の「最大の課題」と評価されている目標があるため、全体的に取り組んでいく必要があるでしょう。
17目標と169のターゲットの関係を理解して企業の取り組みに活かす
SDGsウェディングケーキモデルで目標を3階層に分類することで、理解しやすくなったと感じるのではないでしょうか。SDGsの取り組みを企業で進める上では、17目標の内容をさらに理解するために169のターゲットに注目しましょう。
169のターゲットでは、その目標で目指す事柄が示されています。そのため169のターゲットを読んでいけば、各目標の解像度が高くなりどのような課題に対してアプローチすればいいのかイメージしやすくなります。169のターゲット一覧をまとめた記事を用意したので、こちらで詳細をご確認ください。
そのイメージをもとに自社事業や自社の強みを使って貢献できる分野を検討してみましょう。この検討で役立つのが、SDGs media オリジナルの資料『【17目標別】企業のSDGsアクションリスト|345種類の施策から自社の取り組みを探そう』です。この資料では169のターゲットに対して345個のアクション例を示しています。
検討時にゼロから議論するのではなく、この資料にあるアクションをもとにそのまま使えるアクション・自社に合う形にアレンジできるアクションなどを探してみてはいかがでしょうか。資料は無料でダウンロードできるので、ぜひ資料請求フォームからお求めください。
まとめ
今回は、SDGsウェディングケーキモデルについてご紹介しました。
SDGsウェディングケーキモデルはSDGsの概念を表しているモデルであり、このモデルの構造を理解することは、「なぜ17の目標が設定されているのか」というSDGsの本質である持続可能性に必要な考えについて理解を深めることにつながります。
今回ご紹介したSDGsウェディングケーキモデル以外にも、SDGsについてもっと勉強したい人は、「2030アジェンダ」を読み込んだり、「2030SDGs」をはじめとしたワークショップやイベントに参加してみることで、より理解を深めることができますよ。
また、ビジネス文脈におけるSDGsの基本的な情報を学ぶには、セミナー受講や無料の資料を活用することをオススメしています。その情報については、以下の記事が参考になります。
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