SDGsレポートとは?企業の報告書になる制作方法とメリット・事例

2015年に国連で採択されたSDGsは、年々、自治体・企業・個人の間で認知・取り組みが広まってきています。
企業・団体がSDGsの取り組みの1つに、SDGsレポートがあります。自社・自団体の取り組みを広めるために、SDGsレポートを作成されます。
今回の記事ではSDGsレポートの基本知識、作成の際に必要な情報を解説します。SDGs media では独自の調査をもとに作成したSDGsの社外開示がわかる資料2「SDGsレポートって何?」という無料の資料を皆さまにご用意しています。
SDGsレポートへの理解を深めるために、この記事と資料をご活用ください。
今回の記事はこんな人にオススメです
- SDGsレポートの意味や効果を知りたい
- 企業がSDGsへの取り組みを発信する方法を知りたい
- SDGsレポートの入手方法を知りたい
目次
SDGsレポートとは
SDGsレポートとは、自社のSDGs方針や取り組み内容、その結果などが記載された資料です。
ステークホルダーへの報告・コミュニケーションを目的に作成されるため、誰でも見られるようにWebサイトに公開されていることが多いです。
名称はSDGsレポートに限らず、SDGsブックやサステナビリティレポートなどさまざまです。
SDGsレポートに限らずこれまで企業が発行するレポートには、企業の社会や環境に対する取り組みを伝えるCSRレポートやサステナビリティレポートなどがありました。
これらのレポートと比べて、SDGsレポートはよりSDGsの内容に特化したレポートであるという特徴があります。
昨今、企業に求められる社会的責任の範囲が、環境や人権・社会的などの面で広くなってきています。投資家・金融機関の投資判断から個人の消費行動にまで「企業のSDGsに対する捉え方や方針」が重視されています。このようなニーズに応える方法の1つとしてSDGsレポートが注目されているのです。
SDGsの取り組み報告は推奨されている
前述した社会からの要請に加えて、SDGsの取り組みを報告することは、企業の取り組みとして推奨されています。企業がSDGsを導入する際の行動指針にSDGコンパスがあります。
SDGコンパスは、国際的なNGOや団体によって作成された資料で、Web上に無料公開されています。この資料で示される企業がSDGsを導入するための5つのステップを、多くの企業・団体が参考に自社のSDGs推進を行っています。
5つのステップの5番目「報告とコミュニケーションを行う」で、企業のSDGsへの取り組みに関する重要な情報を報告することが推奨されています。
また、SDGsのターゲットでもSDGsの取り組み報告が推奨されています。
12.6
特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
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統合報告書との違い
企業が発行するレポートとして統合報告書があります。これまで企業が作成・公表する報告書は、財務情報とプラスアルファの情報を任意で扱う年次報告書(アニュアルレポート)が主流でした。
しかし、これらのレポートでは、真に企業の将来的な価値が判断しづらくなってきました。その結果、登場したのが統合報告書です。統合報告書では、売上や資産などの財務情報とESGやSDGs、CSRなどの非財務情報が扱われます。
株式会社ディスクロージャー&IR総合研究所が発表した「統合報告書発行状況調査2021 最終報告(PDF)」によると、2021年中に統合報告書を発行した企業は718社だとされています。発行企業数は年々増加しており、それに伴い統合報告書の認知度も上がっていることが予想されます。
SDGsレポートと統合報告書の違いは、2つあります。
1つ目は「財務情報の記載の有無」です。統合報告書には財務情報が含む必要があり、SDGsレポートには必要ありません。
2つ目の違いは、制作に際した国際基準の存在です。統合報告書には、IIRCフレームワークGRIスタンダードなどのフレームワークが存在し、読み手に配慮してこれらの基準を使用することが推奨されています。一方で、SDGsレポートの内容には、このような基準は存在しません。
各社の方針やレポート作成に割けるリソースなどから、どちらのレポートを作成するのか判断することをオススメします。
SDGsレポートを作成する3つのメリット
SDGsレポートを作成して公表することで得られるメリットは3つあります。
- 積極的にSDGsへの取り組みを行う企業だと認識される
- 社内への進捗報告として活用できる
- 商談相手・取引先に効率よく情報共有ができる
それぞれについて見ていきましょう。
1. 積極的にSDGsへの取り組みを行う企業だと認識される
自社でSDGs方針・目標を立てて取り組みを進めていても、その情報を公表しなければ認知されにくいです。自社のSDGs方針・取り組み内容・進捗状況などをレポートにして公表すれば、そのレポートを読んだステークホルダーからSDGsへの取り組みに前向きな企業だと認識してもらえます。
対外的にSDGsへの取り組みが伝わり評価されれば、取引や採用面での効果が見込めます。ただし、取り組み内容やレポートの質が不十分であれば、高い評価にはつながらない点に注意しましょう。
2. 社内への進捗報告として活用できる
SDGsへの取り組みを全社的に行っていても、継続的に情報を伝えていかなければ、社員一人ひとりが自社のSDGsへの取り組み状況を把握できません。自社に関するSDGs情報をまとめたSDGsレポートは、社員が自社のSDGsへの取り組みを知るツールにもなります。
株式会社ワークポートが発表したSDGsに関するアンケート調査によると、「現在勤務中もしくは、直近まで勤務していた企業で、SDGsの推進に繋がる取り組みをしているか」という設問に対して26.6%がわからないと回答しました。
この結果から、社内に対して適切な情報発信を行わないことで、取り組み状況が社員に浸透していないケースがあることが読み取れます。
SDGsレポートによって取り組みの社内認知度が上がれば、働きやすさや社会貢献を志向する社員の離職を抑制する効果も見込めるでしょう。
3. ステークホルダーとパートナーシップを結ぶキッカケになる
SDGsレポートで自社の方針・目標・取り組みなどを発信すれば、それを読んだステークホルダーから何らかの反応があります。その反応のなかに、たとえば同業他社から業界をより良くするための協業や、取引先から新商品の共同開発などパートナーシップにつながるものがあるかもしれません。
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SDGs/サステナビリティの社内浸透には、従業員に基礎知識と自社方針を理解してもらう必要があります。しかし、既存のパッケージ化された研修・ eラーニング教材では、自社方針を盛り込むことが難しいです。
そこでSDGs media を運営する株式会社Dropでは、自社方針の解説などお客様が従業員に知ってもらいたい情報を教材に盛り込める『社内浸透用のオリジナル動画制作サービス』を取り扱っており「自社方針や取り組み内容など社員に伝えたい情報をわかりやすく動画にしてもらえて、繰り返し毎年利用できることも助かる」などと好評を得ています。
SDGsレポートを作成する理想的なタイミング・時期
SDGsレポートを作成・公表する時期に、特に決まりはありません。目安としては、報告に十分な量の取り組みを進める必要を考慮して、1年に1度程度作成・公表することが望ましいです。
最初に公表するタイミングは、自社のSDGs方針・目標が決まってから1年ほどが経過した時期がオススメです。
公表のタイミングは、SDGコンパスの5つのステップから考えてみましょう。
自社のSDGs方針・目標が決まるのは、ステップ3「目標を設定する」です。その後、SDGs目標・方針に対して全社的に取り組むために社内浸透・取り組みプロジェクトの立ち上げ・パートナーシップによる協業などのステップ4「経営へ統合する」に向かっていきます。
取り組みを進める中でたどり着くのが、最後のステップ5「報告とコミュニケーションを行う」です。ここがSDGsレポートを作成するタイミングです。作成・公表に向けて担当部署・担当者を決めて、スケジュールを組み、制作を進めていきましょう。
SDGsレポートに必要な情報
SDGsレポート内に含める情報には、特に決まりがありません。そのため、作成する企業によって掲載されている情報は異なります。
自社で必要な情報を判断できるため作りやすいレポートだと考えられるものの、SDGsレポートのクオリティが低ければ、SDGsの本質を捉えていないと判断されてしまうおそれがあります。
後述するSDGsの社外開示がわかる資料2「SDGsレポートって何?」を作成するに当たり、さまざまなSDGsレポートを調べた結果、レポート作成時に大切にすべきことは以下の2点です。
- SDGsをレポートの軸に据えて内容を整理する
- 読者がSDGsに関する情報を見つけやすく工夫する
また、各社のSDGsレポートやSDGコンパスのステップ5を踏まえると、以下の項目をSDGsレポートの内容候補にすることをオススメします。
- SDGs宣言
- 社長・代表者のメッセージ
- 取り組みの体制
- 自社バリューチェーンの分析
- 自社の優先課題に関するSDGsの目標番号・ターゲット
- SDGsの取り組みの目標と進捗状況
- 自社の目標達成に向けた実施方法
- ステークホルダーとの協働内容
SDGsレポートの事例
SDGsレポートの内容やデザイン(見せ方)を考える上で、他社のSDGsレポートが参考になります。また、SDGsレポートでなくとも統合報告書内のSDGsを扱う部分も同様に利用できます。
ここではSDGs media がオススメする3社のレポートを紹介します。内容の詳細はそれぞれのレポートでご確認ください。
ひかり味噌株式会社のSDGsレポート(2021)
コマニー株式会社の統合報告書(2021)
リクルートホールディングスのレポート(Inside Out 2021)
無料の資料 SDGsの社外開示がわかる資料2「SDGsレポートって何?」をご活用ください
ここまでのSDGsレポートの解説に加えて、SDGs media がリサーチして作成した無料の資料 SDGsの社外開示がわかる資料2「SDGsレポートって何?」も、ぜひご活用ください。
SDGsの社外開示がわかる資料2「SDGsレポートって何?」は下記内容構成で構成されています。
- SDGsレポートの基本情報
- SDGsレポートの内容
- 200社の企業レポートから読み解くSDGsの時流
- 参考にしたい企業事例
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まとめ
最後まで読んでもらえれば、SDGsレポートの概要・メリット、作成のポイントなどを理解してもらえたのではないでしょうか。
SDGsレポートの作成が始まるのは、企業・団体でSDGs方針・目標が決まって一定期間以上の取り組みを行ってからです。そこがまだの場合は、まずは取り組みを推進していきましょう。
SDGs取り組みの準備方法や、そもそもなぜ企業がSDGsに取り組む必要があるのか? といった疑問に対しては、以下の記事をオススメします。
▶企業とSDGs|企業がSDGsに取り組む理由・必要性とは?
SDGs media を運営する株式会社Dropでは、企業のSDGs導入支援や取り組みへのアドバイザリーなどSDGsに関するサービスを提供しています。
自社だけではSDGsの取り組みが難しい場合や、これまでの取り組み内容や方針に不安がある場合などサポートなどが必要でしたら、ぜひお問い合わせください。
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参考: