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2020年世界のSDGs達成度ランキング|目標ごとの成果と課題

2020年世界のSDGs達成度ランキング|目標ごとの成果と課題の画像

2015年9月の国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、2016年から取り組みが始まり2020年はSDGs5年目を迎える年です。

2020年は、SDGsの期限である2030年まで残り10年となり、SDGs推進本部が策定したSDGsアクションプラン2020の副題に「行動の10年」が掲げられ、具体的なアクションが一層求められています。

SDGs達成に向けた取り組みを行う上で役立つ情報の1つが、これまでのSDGs達成状況です。そこで、今回の記事では世界のSDGs達成度ランキングとして、世界各地での達成度SDGsの17目標別の達成度を2つのレポートからご紹介します。

記事の前半では、2020年6月に公表されたSustainable Development Report 2020(持続可能な開発レポート)の内容から、SDGsの国別ランキングや地域ごとの達成度合い、新型コロナウイルスがSDGsに与えた影響などをご紹介します。このレポートは、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN:Sustainable Development Solutions Network)とベルステルマン財団(Bertelsmann Stiftung)によって毎年作成されています。

記事の後半では、2020年7月7日に国連が公表したThe Sustainable Development Goals Report 2020の内容から、SDGsの17目標別の世界での達成度や進捗状況をご紹介します。こちらのレポートも毎年作成されています。

今回の記事はこんな人にオススメです
  • 最新のSDGs達成状況を知りたい
  • 世界でSDGsがどれくらい進んでいるのか気になる
  • SDGsの目標別の状況を知りたい

目次

2020年世界でのSDGs達成ランキングと達成状況

世界の国々

2020年SDGsの達成度ランキング

Sustainable Development Report 2020では、2020年時点の各国のSDGsへの取り組みがスコア化され、166カ国のランキングが公表されています。

上位3カ国は、スウェーデン・デンマーク・フィンランドの北欧の国が並び、他にも6位ノルウェー、10位エストニア、24位ラトビア、26位アイスランド、36位リトアニアと、北欧諸国は達成ランキングの上位を占めています。

日本のランキングは17位で、他の東アジアの国は、韓国が20位、中国が48位、モンゴルが107位にランクインしていますが、北朝鮮はランキング付けされた166カ国に含まれませんでした。

2020年のランキング上位20カ国・主要5カ国・下位5カ国を表にまとめました。右側の列は順位がバラバラなので、見間違えないようにご注意ください。

順位/国名/ランキングスコア順位/国名/ランキングスコア順位/国名/ランキングスコア
1位:スウェーデン(84.7)11位:ベルギー(80.0)31位:アメリカ合衆国(76.4)
2位:デンマーク(84.6)12位:スロベニア(79.8)48位:中国(73.9)
3位:フィンランド(83.8)13位:イギリス(79.8)

53位:ブラジル(72.7)

4位:フランス(81.1)14位:アイルランド(79.4)57位:ロシア(71.9)
5位:ドイツ(80.8)15位:スイス(79.4)117位:インド(61.9)
6位:ノルウェー(80.8)16位:ニュージーランド(79.2)162位:リベリア(47.1)
7位:オーストリア(80.7)17位:日本(79.2)163位:ソマリア(46.2)
8位:チェコ共和国(80.6)18位:ベラルーシ(78.8)164位:チャド(43.8)
9位:オランダ(80.4)19位:クロアチア(78.4)165位:南スーダン(43.7)
10位:エストニア(80.1)20位:韓国(78.3)166位:中央アフリカ共和国(38.5)

2020年の世界でのSDGs達成状況

こちらでは、2020年6月に公表されたSustainable Development Report 2020に書かれている、世界で進んでいる目標、停滞している目標を整理していきましょう。

急速な進歩を遂げているSDGs目標

SDGsgoal 1. 9, 11

2015年以降、世界では目標1「貧困をなくそう」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標11「住み続けられるまちづくりを」が、最も急速な進歩を遂げています。

世界的に極度の貧困状態で生活している人の割合は、2015年の10%から2018年には8.6%へ減少しました。基本的な交通インフラやインターネット接続は急速に広まり、2019年には世界の人口90%が3Gまたはそれ以上のモバイルネットワークの範囲内に暮らしています。

目標9は、達成に向けた動きが順調な層と停滞している層の間に、広がりが出てきています。この広がりを是正するためには、技術とイノベーションを世界中に普及させ、関連する能力とスキルを確立する必要があります。

これらの目標は、急速な進歩を見せているものの、SDGsの目標を達成するにはまだ不十分なペースだとされています。

進展が見られていないSDGs目標

SDGsgoal 2, 15

目標2「飢餓をゼロに」と目標15「陸の豊かさも守ろう」は、世界的に進展が見られていない目標で、むしろ状況が悪化している側面もあります。

目標2が停滞している原因は、栄養不足に苦しむ人々と太りすぎまたは肥満の人々の増加です。さらに、新型コロナウイルスの影響で、特に低所得者の食糧不安と栄養失調が増加すると懸念されています。

目標15では、保護地区が増加しているにも関わらず、進展が進んでいません。これは、持続不可能なサプライチェーンによって引き起こされる生物多様性の脅威と森林破壊などが原因だと、多くの国際レポートで報告されています。

国と地域で見る2020年のSDGs達成度と進捗度

Sustainable Development Report 2020では、世界各国のSDGsへの取り組み状況が細かく調査・報告されています。そのなかから、3つのユニークな情報をご紹介します。

SDGs目標のスコア 特に改善した3カ国と特に後退した3カ国

2015年にSDGsが採択されてから、SDGsのポイントが最も改善した国と、後退した国はどこなのでしょうか?

世界の中で最も改善が見られた国は、コートジボワール(西アフリカ)、ブルキナファソ(西アフリカ)、カンボジア(東南アジア)です。

一方で、2015年と比べてSDGsの目標達成度が後退した国は、ベネズエラ(南アメリカ)、ジンバブエ(南アフリカ)、コンゴ共和国(中央アフリカ)です。不安定な政治、内戦や紛争、経済状況の悪化・停滞、公衆衛生の不整備など、原因は多岐にわたります。

上記6カ国の2020年SDGsの達成度ランキング順位は以下のとおりです。

  • コートジボワール:128位
  • ブルキナファソ:137位
  • カンボジア:106位
  • ベネズエラ:118位
  • ジンバブエ:125位
  • コンゴ共和国:135位

SDGs17の目標の地域別達成度(2020年時点)

次に、2020年時点のSDGs17目標の達成度を地域別に見ていきましょう。

まずは、ご紹介する表に記されている項目内容を解説します。

表の上部にある数字はSDGsの目標を表します。左側の英語は地域名を意味しています。上から東アジア&南アジア・東ヨーロッパ&中央アジア・ラテンアメリカ&カリブ海諸国・中東&北アフリカ・オセアニア・サブサハラアフリカ(サブサハラ以南のアフリカ諸国)・OECD加盟国です。

目標につけられている丸の4色はそれぞれ達成度を表し、緑は目標達成、黄は課題が残っている、オレンジは重要な課題が残っている、赤は主要な課題が残っているを意味します。

4色の矢印と灰色の丸は目標別の進捗(変化・動向)を表し、緑は達成に向けて順調、黄は達成に必要なペースの50%を超えている、オレンジは達成に必要なペースの50%を下回っている、赤はスコアが減少している、灰色の丸はデータなしを意味します。

この表からは、先進国が多く含まれるOECDの達成度が高いことや、オセアニア・サブサハラアフリカでの取り組みが遅れていることなどが読み取れます。

地域別のSDGs進捗度(2010年から2019年の推移)

先程の表では、2020年時点のデータを見ましたが、こちらの表では2010年から2019年の期間内にSDGsの全目標のスコアが毎年どのように変化したのかが地域別にわかります

線の種類を表す凡例に書かれている英語は上から、世界平均・東アジア&南アジア・東ヨーロッパ&中央アジア・ラテンアメリカ&カリブ海諸国・中東&北アフリカ・オセアニア・OECD加盟国・サブサハラアフリカ(サブサハラ以南のアフリカ諸国)です。

このグラフからは、東南アジア(黄緑色)地域の進歩が、世界で最も大きく9年間で世界平均値に追いたことが読み取れます。またサブサハラ・アフリカ(水色)はスコアが低いものの、毎年進歩していることがわかります。

新型コロナウイルスがSDGsに与えた影響

2020年に感染が拡大した新型コロナウイスルによって、どの国も例外なく被害を受けています。Sustainable Development Report 2020内でも新型コロナウイルスについて記載されています。その内容を以下に抜粋します。

  • 感染拡大防止のために経済を停滞させたことで、貧困層は特に打撃を受けた
  • 特に負の影響を受けたのは、目標1・目標2・目標3・目標8・目標10
  • 経済活動の停止で環境汚染は減少下が、再開に伴い元に戻らないよう対策する必要がある
  • 今回のパンデミックで、国家・国際規模の健康危機に対する予防・リスク削減・危機管理の重要性が浮き彫りになった
  • 新型コロナウイルスからの回復に向けて、世界はSDGsを政策の中心に置くことが重要になる
  • SDGsの進展が大きかった東アジアと南アジアは、他国より感染対策が優れていた
  • グローバル化のメリットを保ちつつ平等性・持続性・耐久性を高めるには国際的な相互協力が鍵になる

2020年世界のSDGs目標別の達成度と進捗度(国連資料)

ここからは、2020年7月7日に国連が公表したThe Sustainable Development Goals Report 2020から、世界全体でのSDGsの達成度に関するレポートを目標別に翻訳・整理していきます

SDGs全体に対する記述

国連のレポートの冒頭には、国連事務総長アントニオ・グテーレス氏の署名でSDGs全体に対する総評が記されています。その内容を抜粋してご紹介します。

  • 男女平等が多くの国で進歩したものの、飢餓が増加し環境問題も加速するなど望ましくない変化があった
  • 新型コロナウイスルの影響でここ数年で達成した目標の状態が崩れた
  • 社会的弱者だった存在が特に新型コロナウイスルの影響を受け、貧困、格差、不正が悪化している
  • パンデミックを受けて、改めて科学をSDGsを中核にした国際協力を呼びかける
  • 各国のリーダーが、医療機関への一般的アクセスの普及、環境保護をしながら経済復興、迅速で効果的な判断を進行できるように、国際協力と国連機関の最大限活かす必要がある

続いて各目標の2020年時点での達成度や課題を見ていきましょう。国連レポートの原文(英語)を要約してお伝えします。

SDGs目標1:貧困をなくそうの達成度と進捗度

SDGs目標1「貧困をなくそう」

目標1は、新型コロナウィルスが広がる以前でも進捗が滞っていて、2030年までにゴール達成の見込みはありませんでした。現在、パンデミックによる経済危機により何千万人もが貧困状態に転じると予測され、これまでの進歩が失われてしまいます。今回のパンデミックにより、社会保障の仕組みと危機管理の仕組みが改めて必要だと世界的に認識されました。

貧困層減少の速度が鈍化

全世界の人口に対する貧困層の割合は減ってきていいるものの、減少の速度が鈍化しています。2019年の貧困率は8.2%で、パンデミック以前の予測ではSDGs達成年の2030年でも、貧困率は6%だと推定されていました。

しかし、パンデミックの影響で、2020年の貧困率の割合は8.8%と予測され2019年より悪化すると見られています。特に貧困人口が増えるとされている地域は、南アジアとサブサハラ・アフリカ(サハラ砂漠より南の地域)で、世界でもっとも影響を受けてしまいます。

働く貧困層が受けるパンデミックの影響

働く貧困層(就労していても1日1.9$以下で生活している人)は、2010年には14.3%でしたが2019年には7.1%と約半減しました。このように世界的には減少しているものの、減少率は2013年から低くなっています。

新型コロナウイスルによる自粛要請のため、2020年4月時点で雇用者の81%、自営業者の66%が経済的打撃を受けているとされます。なかでも特に女性と若い世代が不利益を受けています。

多くの地域で失業に対する社会保障が提供されていない

新型コロナウイスルにより経済的に困窮した場合の助けになるのが失業手当や給付金などの社会保障ですが、効果的な社会保障制度が存在しない地域が多いです。2020年2月時点で87カ国でしか法律に基づいた失業保障制度が存在せず、そのうち自営業者を対象としているのは34カ国のみです。

社会保障の対象範囲や内容は国によって異なり、例えば失業者のなかで失業手当を受けられる割合は、オーストラリアとニュージーランドでは50%、ヨーロッパと北アメリカは44%なのに対して、サブサハラ・アフリカは3%と大きな違いがあります。

危機は後発開発途上国に最大の不相応な影響を及ぼす

新型コロナウィルスなどの感染症や地震・ハリケーン・洪水・森林火災など自然災害の発生は、貧困人口の増加に直結します。特に後発開発途上国は、不相応に災害の影響を受けることが2018年の仙台防災枠組みの調査から明らかになっています。

例えば2018年に発生した災害に対して経済損失を報告した80カ国中、後発開発途上国は17カ国のみで全体(80カ国)に対する人口割合は14%に関わらず、後発開発途上国での死者と行方不明者は全体に対する29%を占めています。また経済的損失も後発開発途上国のほうが受けやすいことがわかっています。

SDGs目標2:飢餓をゼロにの達成度と進捗度

SDGs目標2「飢餓をゼロに」

飢餓と食糧不安が増加していたなか、パンデミックによる不況により飢餓や食糧不安はさらに悪化すると見られ、何百万人もの子どもが栄養失調になると懸念されています。また、サバクトビバッタの異常発生により東アフリカ諸国とイエメンでは、現時点で3,500万人が極度な食糧不安を経験しています。このような食糧に関する負の影響を軽減するために、各国は食品のサプライチェーンの強化や農業生産量の向上などが求められます。

食糧不安は増加傾向でコロナによって悪化する可能性が高い

世界人口に対する食糧不安の経験者は、2014年の22.4%から2019年25.9%(約2億人)に増加しています。食糧を安定して入手できなければ、健康に必要な栄養がとれません。2016年から2019年のデータから食糧不安を経験するのは、すべての地域で男性より女性の方が多いことがわかっています。

さらに、パンデミックの影響で食糧の生産・配給能力が減少したことで、食糧不安の状況を悪化させると見込まれています。

すでに不利な立場にいる小規模の食糧生産者はパンデミックで大きな打撃を受けている

アフリカ、アジア、ラテン・アメリカの食糧生産者に占める小規模生産者は40%から85%とされています。大半の国の小規模生産者は、大規模の生産者に比べて生産力が劣るため、収入が半分に満たないという調査結果がある。ロックダウンの影響で、生産と配給が十分にできないため小規模生産者は大きな被害を被っている。

世界的大流行中社会的に弱い立場にいる子どもたちの栄養状態を守るために早急の対応が必要

慢性的な栄養不足は、子どもの感染症が原因の致死率を上げ、知的発達の妨げにもなります。

5歳以下で成長阻害になっている子どもは、2019年には世界で21%(1億4400万人)だった。子どもの居住地域の内訳を見ると、約75%がは南アジア(39%)とサブサハラ・アフリカ(36%)の2地域に集中しています。2000年には同数値が32%だったことを考えると改善はしているものの、さらなる取り組みが求められます。

極度な低栄養状態に悩まされる5歳以下の子どもは、2019年に世界で6.9%(4,700万人)います。2030年の目標値が3%なので、達成に向けて引き続き対策が必要です。パンデミックはこれらの問題に悪影響を与えています。

5歳以下の子どもの肥満が増えており、将来の健康問題の増加が懸念される

子どもの肥満問題は将来的な健康への悪影響を与える上に、社会的・経済的な生産力の低下に繋がるため国際的な問題です。2019年には、5歳以下の子どもの5.6%(3,800万人)が肥満状態で、世界的に予防対策が必要だとされています。肥満と極度な低栄養状態は同じ環境内で同時発生することが多く、どちらも栄養失調が原因の1つになっています。

農業への投資と農業の経済への貢献が減少し続けている

農業への公共投資は農作物の生産力を上げるだけではなく、個人投資の促進や、飢餓や貧困を削減するための有効な手段です。しかし、政府やその他投資家の農業への投資は年々減っています。

2019年の食料の物価上昇はサブサハラ・アフリカに集中していた

アフリカでの食料の物価上昇は、生産ショック、マクロ経済での困難、異常気象、長引く紛争などが原因といえます。また、ラテン・アメリカでは紙幣の価値低下が影響していたり、2020年に入ってからは新型コロナウイスルの影響で物価上昇が全地域で見らています。

SDGs目標3:すべての人に健康と福祉をの達成度と進捗度

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」

2019年末までに多くの健康関連分野で進歩があったものの、2030年までに目標を達成するには進歩の速度が不十分です。さらに、新型コロナウイルスの影響が、その速度を低下させています。

新型コロナウイルスの世界的大流行は、多くの命を奪い医療機関を圧倒しているため、必要不可欠な医療サービスや人命救助が妨げられている状況が世界各地であります。この影響で、定期検査や予防接種、緊急を要する事態でも医療機関に行くことが不可能、もしくは行くことに不安を感じてしまいます。これは生死に関わる可能性もあり、今まで何十年もかけて築き上げた健康と福祉に関する成果が失われてしまうおそれがあります。

万人への医療保障や持続可能な医療を達成するために、精神病など感染性のない病気に対する効果的な対応の実現や、抗微生物薬耐性・環境問題・公衆衛生問題など病気の原因をなくすためには、国際的な協力が不可欠です。

乳幼児及び産婦死亡率に対する迅速な対応が求められる

2000年から2017年にかけて、産婦死亡率を年間平均2.9%減らすことに成功しています。しかし、これは2030年の目標値6.4%の半分に満たない数値です。

乳幼児死亡率に関しても状況は改善しています。例えば、新生児の死亡数は、出生1,000人に対して2000年の31人から2018年には18人に減少し、5歳以下の死亡数は、出生1,000人に対して2000年の76人から39人に減少しました。

しかし、実数で見ると、2018年に5歳になる前に死亡した子どもの数は530万人で、そのうちの約半数は生まれてから28日以内に死亡しています。

SDGs目標3の5歳以下の死亡に関するターゲットは、121カ国が達成状態にあり2030年までに21カ国も達成の見込みがあります。残りの53カ国の3分の2はサブサハラ・アフリカ諸国なので、この地域ではさらなる対策が求められます。

また、新型コロナウイルスにより医療機関や食料へのアクセスが妨げられ、産婦・乳幼児死亡率が共に増加することが予想されています。

出産への専門医の立ち会いと望まない妊娠率について

乳幼児・産婦死亡率を下げるためには、出産に専門医が立ち会う必要があります。専門医の立ち会い率は2014年から2019年の間で世界では81%だったものの、サブサハラ・アフリカでは60%、南アジアでは77%でした。

避妊については、過去10年の統計によるとサブサハラ・アフリカでは、避妊を望む55.5%の女性だけが現代的な避妊具を使用できる状況にありました。そのため、15歳から19歳の出産率も、他の地域に比べてサブサハラ・アフリカ地域の数値が高い傾向にあります。

また、新型コロナウィルスの影響で、避妊具の流通が滞ったり、医療機関へ検査に行くことを女性や少女がためらったりしているため、望まない妊娠率が高くなっている状況があります。

予防接種の状況と新型コロナウイスル

予防接種は、病気を防ぐためにもっとも効率の良い方法として知られています。三種混合(DPT)ワクチンやはしかのワクチンなどの接種率が世界的に上がっているものの、2018年の段階でまだ1,940万人の子どもがこれらのワクチンを受けられていません。

現時点では、新型コロナウイスルの影響で、ワクチンの輸入が不可能になったり医療機関が困惑したりと予防接種への啓蒙活動が弱まっています。特にはしかとポリオの予防接種がその影響を受けています。

非感染性疾患を患う患者への対応がさらに重要になってくる

非感染性疾患(循環器疾患・がん・糖尿病・慢性呼吸器疾患)が原因の死亡率はゆっくり減少しているものの、2016年に死亡した人の71%の死因は、非感染性疾患でした。非感染症疾患で亡くなった70歳より若かった人は、1,500万人でそのうち85%は低中所得国に在住していました。

非感染症疾患の患者は、新型コロナウイスルなどの感染病に弱いにも関わらず、今回の事態で医療機関は適切な対応をできない状態にあります。

新型コロナウイスルでの混乱で他の感染症による感染・死亡率が上昇する可能性がある

新型コロナウイスルによる世界的な混乱によって、他の感染症による死亡が何十万件も発生するかもしれません。

  • HIV
    2010年から2018年の間に世界中で15歳から49歳の感染者が18%減少しました。しかし、SDGの目標を達成するにはまだ不十分です。特にサブサハラ・アフリカ地域では2020年から2021年までにAIDS関連の病気による死者が50万人出ることが予想されているので、迅速な対策が必要です。
  • 結核
    世界の死因10位の結核は、2018年に感染者が約1,000万人増加しました。結核もHIV同様、目標達成に必要な進捗が不足しており、新型コロナウイスル関連の混乱が原因で結核による死亡率が5年前の数値に戻ってしまうおそれがあります。
  • マラリア
    HIVと結核と同様にマラリアも目標達成の見込みが低いです。新型コロナウイスルの混乱から予測される感染拡大は、2018年の数字に比べて23%、死亡率は比べて100%の増加が想定されています。
  • 熱帯病
    過去10年で熱帯病は、撲滅に向けて成果を上げてきました。しかし、現在でも後発開発途上国の人口52%は治療を必要としており、この数値はコロナにより上がることが予測されています。
国民皆保険の達成は難しい状況にある

国民皆保険は、世界中の人が必要なときどこででも経済負担なく医療機関を利用できることを意味します。このままでは、2030年時点で世界人口の39%から63%の人のみが医療保険に加入している状態に留まります。新型コロナウイスル感染拡大を懸念して医療サービスが停止するなどの影響で、国民皆保険の目標達成がさらに遠ざかってしまっています。

医療費が生活を圧迫する状況がある

国際的な国民皆保険を達成するには、世界的な変化が必要です。医療費が収入の10%以上かかる家庭は2000年で9.4%だったのに対して、2015年には12.7%に増加しています。2020年は、新型コロナウイスルの影響による失業や収入低下が原因で、より多くの人が医療費によって生活が圧迫されると予測されています。

新型コロナウイスルにより医療従事者の不足と看護人員として女性にかかる負担が強調された

2013年から2018年の世界的なデータによると、医者の41%、看護師の88%、合わせて76%を女性が担っています。それにも関わらず、上級管理職のほとんどは男性です。

また、新型コロナウイスルにより医療関係者の不足が明らかになりました。2030年までに国民皆保険を達成するには、さらに1,800万人の医療従事者を増やす必要があります。

公衆衛生面の対応力について

2019年には166カ国が医療危機に対応する能力があると報告しています。さらなる改善は必要ですが、人材以外の面でのすべての項目で進歩が見られています。

さらなる努力が必要な分野は、早期発見・警戒システムや国家レベルで感染拡大を防ぐシステム効率化などです。また、新型コロナウイスルの発生によって、公衆衛生面での国際的な協力の必要性も明らかになりました。

SDGs目標4:質の高い教育をみんなにの達成度と進捗度

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」

SDGs目標4は、世界的に進歩はあるものの今のペースでは2030年までに目標を達成する可能性は低いです。新型コロナウイスルによる混乱以前の予測では、2030年時点で学校に通えない子どもが全世界で2億人以上、後期中等教育(日本なら高校に当たる)を修了する子どもはおよそ60%とされていました。

新型コロナウイスルによって、世界中の教育現場は学校閉鎖などの影響を受けています。教育機会が失われれば、子どもたちの学習成果や社会的発達に悪影響を及ぼし、社会的に不利な立場に置かれている子どもたちは特に教育から遠ざかってしまっています。つまり新型コロナウイスルによって、現存する教育格差が広がっているのです。

世界的な学校閉鎖によってこれまでの教育環境の進歩が妨げられる可能性がある

日本の小学校と中学校にあたる初等・中等教育を受ける機会は、世界中で広まってきているが2018年の時点でまだ2億5,800万人以上の子どもが学校に通えていない状況があります。学校に通えていない子どもの75%はサブサハラ・アフリカと南アジア地域で暮らしています。

教育機会に対する男女差は、少女のほうが少年よりも教育を受けられる機会が少ない現状があります。2018年の世界のデータでは、550万人の差があることがわかっています。

新型コロナウイスルの影響で、190カ国以上で学校に対して休校要請が出されて全世界の学生90%ほどが学校に通えない状況がありました。またオンラインを使ったリモート授業も実施されていますが、その授業を受けられていない子どもが少なくとも5億人はいます。

救済措置がなければ、新型コロナウィルスは貧困層の子どもたちの教育修了の妨げになる

世界的に見れば初等教育の修了率は、2000年の70%から2019年の約85%と上がっているものの、中等教育に関しては特に低所得国が遅れをとっています。新型コロナウイスルによる影響は、経済的な困窮によって教育費に対して負のインパクトを与えてしまうことで学校に通えない子どもが出てくることや、学校閉鎖が教育の成果や卒業率をさらに悪化させると見られています。

世界最貧国の生徒たちはリモートラーニングができない状況にいる

機材やインターネットへのアクセスなどにより、多くの生徒はリモートで授業を受けることができていない状況です。この状況は、経済的・社会的に不利な立場にいる生徒に対してもっとも影響を与えています。

例えば2019年のデータでは、ヨーロッパの家庭の78%がコンピューターを所有していたが、アフリカの家庭の所有率は11%でした。また、親や教師の持つパソコンやインターネットに対する技術的な知識やノウハウの有無も、リモートラーニングの成果が左右される要因になります。

学校の閉鎖は、社会的に不利な立場にいる子どもたちの健康や安全面のリスクも高める

学校は、子どもが教育を受けるだけの場所ではありません。家族や外敵からの暴力が届かない・食事がもらえる・予防接種などの医療が受けられるなど、複数の機能を担っています。

新型コロナウイスルにより学校の閉鎖や経済的な困窮が重なることで、家庭内暴力・児童労働・子どもの強制結婚・子どもの妊娠などが増えています。

また、政府の税収が新型コロナウイスルによって減少することで、教育関連の支出が抑えられてしまうことも懸念されています。

水道などの基本設備がない学校はアフターコロナの学校再開が難しい

学校を再開しようにも、校舎に手洗いの設備がなければ新型コロナウイスル感染のリスクが高く、生徒も教師も安心して学校に戻ることができません。世界的に見ても基本的な公衆衛生設備が整っている初等教育機関は65%で、サブサハラ・アフリカでは38%しかありません。

他にも電気、安全な飲水、コンピュータ、インターネットへのアクセスなど、必要な設備や機能の整っていない学校が多いです。

またSDGsの目標4を達成するには、十分な訓練を受けた教師の存在が不可欠です。最低限に必要な訓練を受けた教師が初等教育にいる比率は、世界では85%、サブサハラ・アフリカでは64%にとどまっています。

SDGs目標5:ジェンダー平等を実現しようの達成度と進捗度

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

目標5の達成に向けた国際的な努力により、強制結婚と女性器切除(FGM)は減り、女性の政治参加はこれまででもっとも多くなりました。しかし、法的・社会的・経済的な障壁なく女性と少女がジェンダー平等を完全に経験できる世界にはまだほど遠いです。

むしろ、新型コロナウイスルの影響によって、これまで以上にジェンダー平等の目標から遠ざかってしまっています。新型コロナウイスルの混乱が始まってから、女性に対する暴力の報告が増加し、強制結婚やFGMの事例も増えることが予測されています。新型コロナウイスルの影響で増加した家庭内労働の多くを女性が担い、女性が70%を占めるソーシャルワークと医療関係の労働でも負担を負っています。

新型コロナウイスルによって女性や女児に対する暴力のリスクが増加している

新型コロナウイスル以前も多かった家庭内暴力だが、ロックダウンの影響でさらに増えています。すでに数カ国のデータによって、相談電話件数が増えていることが明らかになっています。また、暴力を受けている女性の40%しか助けを求めていないことや、そもそも電話を持っていない女性が多いことなどを考慮する必要があります。

これまでの強制結婚と女性器切除の成果が新型コロナウイスルによって後退する可能性がある

18歳未満の子ども(特に少女)が結婚をするのは人権侵害で、将来的に不利と苦難を伴うことが多いです。2009年からの10年間で最もこの分野の成果を挙げたのは南アジアで、現在強制結婚がもっとも多いのはサブサハラ・アフリカでした。強制結婚は、新型コロナウイスルによる学校閉鎖によって、件数の上昇が懸念されています。

FGMも人権侵害とされています。31カ国で少なくとも2億人の女性と少女がFGMを受けています。FGMは、西アフリカ諸国で最も多く見られ、国によれば15歳から49歳の女性の90%が切除を受けています。FGMを無くすための活動がコロナにより停滞しているため、取り組みの停滞が予測されています。

無償労働者は女性に多く新型コロナウイスルで増加するおそれがある

2001年から2018年の間に89カ国で行われた調査によると、平均的に女性は男性より3倍もの無償労働をしていることがわかりました。無償労働に関する動向がわかっている国の75%で、この男女差がわずかに縮まっています。

新型コロナウイスルによって生活様式が変わったことで、17カ国で行われた統計では男女共に家事や子育てを行っていることが示されています。しかし、家庭での時間が増えたことによって、女性や少女への負担がかかり続けている現状があります。

女性議員や管理職は増加傾向だが平等は遠い

女性国会議員が占める割合は、2015年の22.3%から2020年1月に24.9%に改善しました。しかし、国会議員の40%以上が女性であることが条件となるジェンダーバランスを達成しているのは、世界で13%の国のみです。

政治だけではなく、民間レベルで権力を持っている女性の割合もいまだに少なく、2019年に管理職だった女性は28%にとどまります。パンデミックの中、管理職に女性がいないと現存する格差をさらに広げてしまう恐れがあります。

女性は自身の妊娠・出産・避妊への決定権が少ない

2007年から2018年の間に57カ国から集められたデータによると、15歳から49歳の既婚・パートナーがいる女性の55%しか妊娠・出産・避妊についての決定権を持っていなかったことがわかりました。

ただし、大きく成果が残っている点もあります。75カ国のデータによると、2019年までに女性の妊娠・出産・避妊、そして健康に関する権利を完璧に守るために必要な法律のうち、73%が成立したとされています。

SDGs目標6:安全な水とトイレを世界中にの達成度と進捗度

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」

目標6は、進歩に前進はあるものの、何十億人もの人々は未だに水道やトイレなど基本的な設備を利用できない状況で暮らしています。新型コロナウイスルの感染拡大を防止・抑制するためには、水と公衆衛生設備の普及を早急に進める必要があります。

安全な水は健康のみならず、貧困の削減、食料安全保障、平和と人権、生態系と教育に欠かせません。しかし、多くの国は水不足、水質汚染、生態系の退化、国家間の集水地域の協力に関する問題を抱えています。大きく何かが変わらない限り、2030年までに目標6を達成することは不可能とされています。

水と公衆衛生設備の格差を縮めることが、新型コロナウイスルやその他感染症の拡大防止には重要

2000年から2017年にかけて安全な飲水を手に入れられる人が、61%から71%に増えました。しかし、未だに22億もの人が安全な飲水が手に入らない状況にあります。衛生管理設備の整備も同様で、進展はあるものの未だに多くの人が設備が使えない環境で暮らしています。

手洗いは感染拡大防止に最も簡単で効果的な方法ですが、2017年時点で60%の家庭にしか基礎的な洗面設備と道具がありませんでした。この問題は地域ごとに大きく差があり、サブサハラ・アフリカでは人口の75%が基本的な洗面設備にアクセスできていません。

2016年には世界の医療機関の25%に水道設備がなく、20%に衛生設備がありませんでした。

国境をまたぐ集水地域での協力を促進する必要がある

世界の60%の淡水は、国境をまたぐ集水地域から得られます。そのため、平和的に水を分配するためには、国家間協力が必須です。しかし、2017年から2018年のデータによると、このような集水地域を利用する67カ国のうち59%しか機能的で公正な協力制度を持っていなかったことがわかっています。

重度な水ストレスを抱える地域が存在する

湖や川など自然に存在する淡水より多くの水を使ってしまうこと(水ストレス)は、環境問題を悪化させる原因になります。世界的に見ればまだ水ストレスは17%と安全な域にあるが、北アフリカや中央・南アジアは70%を超えています。

この問題を解決するためには、効率的な水の利用が必要で、農業の効率性を上げることが解決策に含まれます。

最貧国での淡水不足は、環境問題と水不足への脆弱性につながる

淡水がある地域では、人間や生物が暮らしていけます。しかし、人口増加・盛んな農業・都市化・産業化は、淡水の減少につながり生態系を崩します。地球の2.1%は淡水で覆われているが、地域ごとの淡水の分配は不均等です。特に最貧国や途上国の島は淡水を所持していないことが多いため、気候変動や水危機に対する脆弱性が増しています。

目標6を達成するための資金が不足している

政府開発援助(ODA)による水分野への援助金が、2017年と比べ2018年は9%減りました。発展途上国20カ国のデータによると、水と公衆衛生の目標達成に必要な資金と実際の資金を比べると61%の不足があることがわかりました。目標6を達成するためには、さらなる資金が必要です。

水源管理に関する国際的な枠組みが利用されないことが多い

水源に関する政策・機関・財政などを協力的に管理するための国際的な枠組みは存在するものの、2018年に172カ国のうち60%がこの枠組をうまく活用できていないことが報告されました。

特にラテン・アメリカとカリブ海地域、中央と南アジア、オーストラリアとニュージーランド除くオセアニア地域の90%は、枠組みを活用できていません。

SDGs目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンにの達成度と進捗度

SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」

世界的に持続可能なエネルギーの利用は進んでいるものの、2030年までに目標7を達成できるほどの規模ではありません。エネルギー効率の向上や電力へのアクセスを広めることには、ある程度の進捗が見られます。しかし、未だに何百万もの人は電気の基本的設備を使える環境にありません。

さらに、クリーンな調理用燃料と技術の普及も滞っている、何十億人もの女性と子供の健康に悪影響を及ぼしています。

医療機関、安全な水、最新で正しい情報、リモート学習などが新型コロナウィルスによって重要性を増しているため、入手可能で信頼性のあるエネルギーの必要性が一段と強調されています。

新型コロナウイルスの影響によって、サプライチェーンの滞りがエネルギー関連サービスを混乱させ、収入の減少により光熱費が払えない人が出てくるでしょう。また、石油価格暴落がさらに再生可能エネルギーの発展を妨げるおそれもあります。この結果、目標7の達成に遅れが発生してしまいます。

サブサハラ・アフリカに電気不足が集中している

世界で電力利用ができる人口は、2010年の83%から2018年には90%に上がり、特にラテン・アメリカ、カリブ海地域、東・東南アジアで大きく発達がありました。未だに不足しているのはサブサハラ・アフリカに集中し、人口の53%が2018年時点で電気がない暮らしを余儀なくされていました。

また、安定した電力源は、新型コロナウイルスの感染拡大のなか今までになく重要です。不安定な電力の影響で、医療器具に不具合が出るなどの問題を無くすためにも目標7のさらなる進展が必要とされています。

クリーンな調理燃料の不足が、約28億人の健康を脅かしている

約28億人がクリーンな調理燃料を利用できない状況は、過去20年間でほとんど変わっていません。アジアでの成果は見えているものの、サブサハラ・アフリカでのクリーンな調理燃料の普及は、人口増加に追いついていません。

これは人間の健康だけでなく環境へも悪い影響を与えています。このままでは、2030年にはまだ約23億人が家庭内で悪質な調理燃料による、空気汚染を受けている状態が続いてしまいます。

長期的な環境関連の目標を達成するには、再生可能エネルギー普及を加速しなければならない

再生可能エネルギー利用の割合は、2015年の17%から2017年には17.3%へ微増しています。これは、太陽光や風力の発電が普及した結果です。しかし、地熱供給インフラと交通セクターでの再生可能エネルギー利用は、現実的に可能な範囲を遥かに下回っていました。

2017年に再生可能エネルギー利用が世界最多だったのは、ラテン・アメリカとカリブ海地域でした。

温室効果ガスを減らす鍵であるエネルギー効率の向上は目標達成に十分でない

温室効果ガスの発生を抑えて環境への負荷を軽減をさせるためには、一次エネルギー供給の対GDPの割合(global primary energy intensity)を上げる必要があります。2030年までに目標を達成するには、今からの10年間で年間3%の割合を要するものの、現状から推測するれば難しい数値です。

再生可能エネルギーへの国際的投資は順調だが、資金の一部しか最貧国に届いていない

クリーンで再生可能なエネルギー(水力・太陽光・風力・地熱発電)への投資は過去と比べ増えています。2017年には214億ドルと、2010年の倍額が投資されました。しかし、目標達成のためにエネルギー分野の発展が最も必要な後発発展途上国には、投資額の12%しか割り当てられませんでした。

SDGs目標8:働きがいも経済成長もの達成度と進捗度

SDGs目標8「働きがいも経済成長も」

2009年の景気下降から、地域差はあるものの世界的に労働効率の向上と失業率の低下が実現されていました。しかし、10年後の2019年に再び国際経済が停滞し、2008年から2009年以来の最小成長を記録しました。さらに2020年の新型コロナウィルスは、急で重大な変化をもたらし経済をさらに停滞させています。

新型コロナウイルスは、世界の労働市場のなかで非正規雇用者、自営業者、日雇い労働者、影響を受けやすいセクターで働いている人たちに対して、特に悪影響を及ぼしています。その結果、第二次世界大戦以来、最悪の失業率が国際的に予測されています。

同時に、この危機は労働者の安全と健康を脅かし、児童労働のリスクも高めるかもしれません。効率的な労働と、男女の機会平等を実現するために企業へのサポート、雇用機会向上、現存する職の維持に向け早急な対応が必要です。

後発発展途上国の経済成長は急速だったものの目標の7%に達していなかった

2019年の世界的なGDP成長率は前年より1.5%減少していましたが、2020年は新型コロナウイスルの影響で4.2%の減少が予測されています。後発発展途上国の成長率目標は7%に設定されていますが、2019年は4.8%、2020年は0.8%、2021年は4.6%と想定されるものの、いずれも目標に達していません。

2000年以降の国際的労働生産性の向上は、新型コロナウイスル危機で衰える可能性が高い

2009年の経済危機の時期を除いて、2000年から継続的に労働生産性は向上してきました。しかし、その数値は地域によって大きく異なります。

2019年には、ラテン・アメリカ、カリブ海地域、北アフリカ、西アジア、サブサハラ・アフリカで減少し、他の地域では一律して向上していました。2020年は新型コロナウイスルの影響で減った労働時間と経済的停滞により労働生産性も落ちることが予測されています。

新型コロナウィルスは、特に非公式経済の労働者に悪影響をもたらす

2016年時点で世界の労働者の61%が非正規雇用者でした。非正規雇用の多くは、労働環境・時間・安全と健康が整っていません。

政府機関の関与を受けずGNPにも現れない非公式経済は、サブサハラ・アフリカで89%、中央・南アジアで86%と世界で最も多いです。2020年の新型コロナウイスル危機による失業などで非公式経済に所属する16億人(世界の労働力の半数)が影響を受けるとされている。

政策によっては、2020年の失業率が歴史的なほど上昇するおそれがある

2019年の失業率の世界平均は5%でした。失業率の特徴を見ていくと、北アフリカや西アジアでは11%を記録、男性より女性の失業率が9%高い、障害者・若者の失業率が高いことなどがわかりました。新型コロナウイスルが失業率に大きな影響を与えることは明白なので、どれだけ失業率を抑えられるかは効果的な政策の立案と実施にかかっています。

職場が再開したら、労働環境の安全性と衛生を守る努力がさらに必要となる

新型コロナウイスル危機の最中、労働環境の安全と衛生は今まで以上に重要になります。2010年からのデータでは、移民労働者は移民でない労働者よりもさらに職場内でのリスクや危険(労働災害)が高いとわかっています。また、新型コロナウイルスの感染が拡大している状況では、特に医療従事者などの労働環境を守る必要性があります。

職場が再開したら、労働者と消費者双方の安全と健康を守るための努力が重要となります。

観光業は今までにない打撃を受け、発展途上国の小さな島国は過酷な経済環境に立ち向かっている

国際的に観光が経済効果を大きくもたらしているなか、新型コロナウイスルによるロックダウンや航空規制は各国の経済に悪影響をもたらしています。

2019年に比べ、2020年の国際旅行は60%から80%の減少が予測されていて、それによる経済的打撃は観光地だけでなく観光関連の市場に頼る発展途上国の島国にも及ぶことが懸念されています。

SDGs目標9:産業と技術革新の基盤をつくろうの達成度と進捗度

SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

包括的で持続可能な産業を促進し、交通や通信などのインフラ・イノベーション・研究へ投資することは、長期的な経済発展の鍵となります。研究開発(R&D)と発展途上国の経済インフラへの国際的投資は増えています。また、世界的な二酸化炭素排出量が減り、モバイル接続に関する進歩も著しいです。

しかし、製造業の成長スピードは落ち、後発発展途上国の産業化の速度は非常に遅いままです。パンデミックは製造・運搬産業に大きな打撃を与え、世界的なサプライチェーンを崩壊させ、失業率を上げ、労働時間を減少させています。

発展途上国の製造産業は大きな収入源であり、貧困削減の鍵です。しかし、新型コロナウイスルによる影響で目標9やその他の目標への進展を止めるどころか、後退させる可能性も出てきています。

経済発達を促進させる航空産業が新型コロナウイスルで一番影響を受けている

航空産業は経済発達に大きな貢献をしています。2016年のデータでは、航空産業は世界のGDPの3.6%を占めていました。

しかし、2020年4月からおよそ90%のフライトが規制され、航空会社の需要もほぼゼロになってしまいました。通常時期に比べ、2020年は新型コロナウイルスの影響で、3,020億ドルから4,000億ドルの損失が想定されています。これから安全で持続可能な回復を促進するために、国際的に協力が必要となってきます。

製造産業の成長はすでに新型コロナウイスルにより急降下している

大国間の関税や貿易摩擦により、2018年から製造産業の成長速度は落ちています。後発発展途上国の成長も、2030年までに目標達成ができない程度に留まっています。

新型コロナウイスルの影響で、世界最大の生産国である中国の成長率が先例のないレベル(14.1%)減り、世界経済全体に影響を与えています。

世界経済を回復させるためには、一刻も早く小規模産業の金融サービスを利用しやすくする必要がある

小規模の企業はコロナ後の経済回復に大きな役割を果たす可能性を秘めている。しかし、限られた規模とリソースにより、政府からの援助なしでは経営存続が難しい状況にあります。

発展途上国の34.7%の小規模企業はローンや信用供与なくしては存続できいないにも関わらず、サブサハラ・アフリカの小規模企業のうち22.9%しかそれらを受け取れていない状況にあります。

近年、前進していた研究開発分野はコロナ対応も含めて投資を加速させる必要がある

研究開発(R&D)への投資額は年々増えており、トップの投資地域の北アメリカとヨーロッパに続き東・東南アジアの投資額が近づいてきています。

一方で、後発発展途上国や内陸発展途上国では、進展が見られていません。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、製薬産業や技術分野の研究開発がさらに重要になってきています。

モバイル接続はほぼ世界共通になったが、人口の約半数、主に後発発展途上国の人口が未だに接続できていない

新型コロナウイルスによって、仕事・学校・ヘルスケアなど多くの分野でIT技術を駆使した生活が求められるようになってきました。そのため、モバイル接続がこれまで以上に不可欠です。

2019年には世界の97%の人口がモバイル接続ができる範囲内に暮らしていました。後発発展途上国での進歩が著しかったものの、未だに端末を所持しインターネットを使える人口は世界の半数ほどです。先進国の87%に比べ、後発発展途上国ではコストと技術不足が原因で、19%の人しかインターネットを使用していません。

SDGs目標10:人や国の不平等をなくそうの達成度と進捗度

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」

収入の格差軽減や特恵貿易の制度確立など、成果は出ているもののさまざまな形の不平等はまだ根深く存在しています。新型コロナウイルスの感染拡大は、さらに不平等の状況を進行させている。

社会的に弱い人達への影響が最も大きく、この層に向けた差別がより強調されてしまいます。最貧国も新型コロナウイルスの影響を大きく受け、世界的な不景気により支援・援助が滞れば、影響はさらに大きくなると考えられています。

最貧国での実質所得は上がったが、富裕層が不相応に利益を得ている

2012年から2017年のデータによると、各国の最貧人口に属する40%の人々の実質所得が上がっていました。しかし、その40%の人々は国の総所得の25%以下を得ていたのに対し、一番の富裕層にあたる10%の人々は国の総所得の20%以上得ていました。

障害のある女性は重なり合う形で複数の差別を受けている

女性の方が男性より差別対象になりやすく、障害を持つ人はさらに差別を受けやすい状況にあります。しかし、障害者への差別の理由は障害そのものに対してではなく、宗教、民族、性別などが理由になっています。新型コロナウイルスによって増えた差別を無くすためにも、早急な行動が必要になっています。

労働者は自らの生産した量より少ない見返りしか受けていない

2017年の労働収入は、世界のGDPの51%だった。地域によって異なるものの、2004年から労働所得分配は減っています。これは、労働者の生産したものに対する見返り、労働者への還元量が減っていることを意味します。

所得格差は全体的に減っているが、まだ格差は大きい

所得格差を測るジニ係数(0から100の数値で0が格差なし)の数値は、2010年時点で165カ国のうち65カ国で40以上と高水準を示していました。そのうち17カ国は、50以上なので格差が大きいです。所得格差を縮めている国はあるものの、世界中で格差をなくすには継続的な取り組みが必要です。

世界的不況は途上国への援助資源を滞らせる可能性がある

2018年の国際機関や企業の寄付額は、2,710億ドルと前年の4,200億ドルを大きく下回りました。新型コロナウイルスによる経済不況はさらに援助金を減らすと予測されています。

ほとんどの地域で適切な移住政策を実施されていない

安全で問題のない移住を促進させるために必要な総括的な移住政策を実施している国は、2019年時点の情報がある111カ国中54%でした。ラテン・アメリカとカリブ海地域の移住政策が最も進んでいて、オセアニア、北アフリカ、西アジアが特に遅れています。移民の権利と社会的・経済的状態を保護する政策が世界的に不足している状況にあります。

SDGs目標11:住み続けられるまちづくりをの達成度と進捗度

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」

新型コロナウイルス感染の90%は、都市で起こっています。パンデミックは、10億人にのぼる人口密度の高いスラムなどに住む社会的に弱い立場の人々に、最も影響を与えている。しかし、新型コロナウイルス発生以前から加速する都市化による、大気汚染・不十分なインフラ整備・都市の乱開発などの問題に、40億人もの人が直面していました。

都市部に住む人々の健康と安全を守るために、安全な公共交通・信頼性のある基礎設備・公共スペースが、いま特に重要になっています。新型コロナウイルス抑制の成功例を見ると、都市にどれだけ回復力があり、新しい「普通」に慣れることができるのかがわかります。

都市は間違いなくパンデミックから回復しますが、次に来る危機に立ち向かえるかどうかは、データに基づいた包括的で持続的な都市開発をどれだけ進められるかにかかっています。

スラム居住者を減らす動きは停滞している

スラムや非公式集落に住む人々は、日常的に基礎的なインフラや設備へのアクセスができていませんでしたが、パンデミックにより状況はさらに悪化しています。公衆衛生や経済面など、さまざまな問題によって生活が苦しくなっているのです。

2000年から2014年の間はスラム居住者を減らすことに成功していましたが、それ以降は都市化の加速に開発が追いつかず後退している状況です。

世界の都市にさらに公共交通機関が必要

信頼性がありアクセスしやすい公共交通機関は、大気汚染を減らし生産性と社会の一体性を促進できます。2019年に610都市で集められたデータによると、都市に住む人の50%しか公共交通機関へのアクセスがありませんでした。

公共交通機関を気軽に利用できなければ、非公式な交通機関に頼らざるを得ませんが、公共交通機関と比べて規則性や安全性に欠けます。

また昨今では、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐために公共交通機関の安全政策を考え直す必要があります。そのためには、短期間の投資を募ることが不可欠とされています。

新型コロナウィルスは都市のあるべき状態を考え直す機会になった

都市開発の方法と計画は、その都市の長期的な繁栄度合いを決めます。多くの都市の物理的な拡大が人口増加を上回っていたものの、それは都市の乱開発を示す可能性もあります。

新型コロナウイルスは、都市計画における公衆衛生・医療・危機管理など重要性を明らかにしました。そのため多くの国や都市は、次の危機に備えた都市開発計画を作成する方向に進んでいる。

都市部にある公共のオープンスペースは健康と生産性を向上させるものの、アクセスが限られている

公共のオープンスペースは、非公式経済活動を行う場として多くの人の生活を支えています。しかし、公共のオープンスペースに当てられている土地が世界的に16%と少なく、この場所へアクセスできる地域に住む人も限られています。

2019年のデータでは、400m以内に公共のオープンスペースがある人の割合は、世界平均で46.7%、オーストラリア・ニュージーランドが最多の78%、東アジア・東南アジアでは26.8%と最小でした。

世界でも最も汚染されていた都市の空気が改善している

世界の都市人口の半分は2010年から2016年にかけて、PM2.5(微小粒子状物質)の数値の悪化を経験しました。2016年だけで大気汚染は、420万人もの早期死亡に加担していました。

新型コロナウイルスによって、工場などのロックダウンや車移動が減少したことが、大気汚染の軽減につながっています。しかし、この進歩はおそらく短期的なもので、すでにパンデミック前の汚染数値に逆戻りしている国もあります。

環境関連の規制が新型コロナウイルスによって緩まる事態や経済活性化の活動などが原因で、汚染のレベルが元に戻るどころか悪化する可能性もあります。国連と各国政府はこの事態を防ぐべく協力する必要です。

SDGs目標12:つくる責任つかう責任の達成度と進捗度

SDGs目標12「つくる責任つかう責任」

消費と生産は世界経済を回すものの、持続不可能な資源の使用により環境を破壊してしまいます。世界的なマテリアル・フットプリント(天然資源の消費量)は、人口の増加と経済的生産よりも早いペースで増えています。1国だけが資源使用の効率化に取り組んでも、他国の使用速度が加速すれば相殺されてしまう現状があります。

また、容認しがたい量の食料がサプライチェーンの中で失われています。そして、パンデミック中に増えている医療関連品を含む廃棄物が蓄積しています。

しかし新型コロナウイルスは、現在の消費と生産の傾向を改善できる政策を考える機会を与えてくれました。新型コロナウイルスからの回復は、資源の効率化・経済循環全体の考慮・多国間が率先して携わる環境保護活動を意味します。

世界は持続不可能な資源を使用し続けている

世界的にマテリアルフットプリントは、年々増加しています。特にインフラ整備と増設に関連する物資の消費が顕著です。原材料ではなくリサイクルされたものを使用するなど、循環経済を実現するための行動が必要とされています。

電気電子機器廃棄物の増加速度はリサイクルの割合を遥かに上回る

電気・電子機器は、消費の増加や商品ライフサイクルが短く修理の可能性が限られるという特徴によって、電気電子機器廃棄物も増えています。

2010年から2019年の間で、1人あたりの電気電子機器廃棄物量は5.3kgから7.3kgに増加したものの、リサイクルの増加量は1人あたり0.8kgから1.3kgと、増加量・増加率ともに大きな差があります。

高収入地域では電気電子機器廃棄物をリサイクルする設備は整っているものの、回収率は平均で50%を下回っています。また、廃棄物の処理は危険な作業を伴い、現場近くに労働者やその家族が住むことが多いため、彼らの健康被害も問題の1つとされています。

食料の多くが消費者に届く前にサプライチェーン内で失われている

食料ロスを減らすことで、環境の持続性・生産コストの削減・食品供給の効率化に繋がると共に、食糧安全保障と食品栄養も改善します。

収穫、発送、保管と加工の段階で失われる食料は世界的に13.8%、およそ4,000億ドルに相当します。2016年のデータによると食料ロスが最も多い地域は、中央・南アジアで20.7%、最小はオーストラリアとニュージーランドで5.8%でした。

危機的な環境問題の悪化にも関わらず、政府は未だ化石燃料産業に助成金を支給している

化石燃料への助成金は、温室効果ガスを増やすような活動を促していることになります。これは、温暖化や大気汚染の悪化に繋がっているのです。

また、大気汚染と呼吸器疾患の関連性を考えると、コロナへの感染にも加担しているといえます。需要の低下により2020年に化石燃料への助成金が増えることが予測されていますが、コロナ関連の助成金が求められる中、財源配分を見直すことが推奨されます。

各国で持続的な経済成長の原則を運用する必要がある

各国は、持続可能な経済の実現に向けた意思を表明しています。しかし、実現のために費やされている資源は少ないです。実現を可能にするには、多国間協力と提携した国家政策、そして科学に基づいた情報が必要とされています。

企業はサステナビリティ報告書の質を注視する必要がある

多くの企業は、SDGs達成への意気込みを示すために、サステナビリティ報告書を作成しています。報告内容の質は、基準が確立していくに連れ上がっています。

しかし、多くの報告書で男女平等や従業員の健康と安全への投資などの重要な情報が記載されておらず、地域によって報告内容の質が異なるなどの課題もあります。

SDGs目標13:気候変動に具体的な対策をの達成度と進捗度

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」

世界が気候危機を回避する責任を避けているため、状態は悪化する一方です。2019年はこれまでで2番目に温暖な年で、最も温暖な10年間(2010-2019)の最終年には、大規模な森林火災、ハリケーン、干ばつ、洪水などの気象災害が発生しました。

世界の気温は、今世紀末までに3.2度も上昇する見込みがあります。パリ協定で決められた気温を1.5度から2度下げる目標を達成するためには、温室効果ガス排出を2020年から毎年7.6%減らすことが求められます。

しかし、新型コロナウイルスにより人の行動・往来が激減したにも関わらず、2020年末までに6%しか排出を削減できないと予測され、その後規制が緩みさらに排出量が増えることが想定されています。今すぐ大きな行動を起こさなければ、新型コロナウイルスを大きく超える災害が気候変動によってもたらされるでしょう。

政府や企業はパンデミックから生まれた機会や教訓を、パリ協定と仙台防災枠組2015-2030の目標達成に活用し、環境との関係性の再考・温室効果ガス排出の削減・環境に優しい経済と社会作りに向けた制度策定などを実現する必要があります。

パリ協定の目標達成まで程遠く、国際的に大きな変化を要する

気候変動による災害を防ぐためには、CO2排出量を2010年に比べ2030年までに45%削減する必要があります。2000年から2018年までの18年間で、先進国のCO2排出量は6.5%減っているものの、発展途上国は産業化によって2000年から2013年でCO2排出量が43.2%上がっています。

新型コロナウイルスがきっかけになり、環境に優しい経済制度を作り直す機会が国に与えられたといえます。

気候変動対策への投資は大きく増えているが、未だ化石燃料への投資を下回る

気候変動対策への投資は、2016年に6,810億ドルだったのに対し、同年の化石燃料への投資額は7,810億ドルでした。気候変動対策への投資された分野別の金額は、気候変動の緩和、気候変動への適応、そして分野横断の問題の順に多かったです。

発展途上国の大半が気候変動対策の計画を立て始めている

国家適応行動計画(NAPs)は、パリ協定の目標を達成するために使われる計画です。2019年には発展途上国153カ国中120カ国がNAPを作成する過程にあり、5つの後発発展途上国を含む18カ国がすでに国連にNAPを提出しています。

2020年の防災目標達成への前進が遅い

気候変動は自然災害の頻度と重度を悪化させ、人々の生活を妨げ、命を奪うこともあります。仙台防災枠組みはSDGsと対応し、災害のリスクを軽減することを目標としています。この枠組には2020年が期限の防災計画提出が掲げられていたものの、2020年4月時点で約40%の国しか計画作成の報告をしていません。

SDGs目標14:海の豊かさを守ろうの達成度と進捗度

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」

海は地球の生命線であり、気候システムを調節する役割を担っています。地球最大の生態系を持つ海は、約1億もの既知の生物が住む場所でありながら、未だに未知の領域も多く科学的発見の可能性を秘めています。

海と水産業は、世界を経済・社会・環境の3側面で支えています。海を保護することが不可欠なのにも関わらず、何十年に渡る無責任な開拓により海は驚く速度で劣化しています。

現存する海の環境と小規模の水産業を保護する活動・海洋科学への投資は、海という広大で繊細な資源を守るためには不足しています。コロナによる激的な人的行動の減少は、海が回復する機会となり、さらに何十年先も環境と共存した生活ができる持続的な回復計画を立てる機会でもあるのです。

進行中の海の酸性化は海中環境と生態系を脅かしている

海は地球で最大の二酸化炭素吸収源であり、気候変動を緩める効果を持っています。しかし、CO2を吸収すると海は酸性化してしまい、サンゴ礁等を危険にさらし、食物連鎖を狂わせ、水産業や観光業、海上保安にも悪影響が及んでしまいます。

海洋保護区の範囲が広がっているが、生物多様性保全の鍵になる地域(KBA)も含める必要がある

海洋保護区は海の持続的な開発に必要不可欠です。国家に管理されている水域内の保護区範囲は、2010年に比べて倍増しているもののKBAをさらに保護する努力が必要です。特に後発発展途上国や小島嶼(しょうとうしょ)開発途上国(領土が狭く低地な島国)はKBAsの保護に遅れを取っています。

各国は国際条約に基づき違法漁業を取り締まっているが、さらなる国際的な協力が必要

違法、未報告、未制御の漁業は、世界の水産業の社会・経済・環境的持続可能性を脅かしてしまいます。この問題の解決には、国際的な基準や政策の利用が必要です。これら基準や政策を実施している国の割合は、2018年の70%に比べ2020年には75%まで上昇していますが、さらなる国際的な協力が求められます。

持続的な漁業は最も恵まれない国の人々の生活に欠かせない

魚の持続可能な貯蔵は貧困、飢餓、栄養不足を減らし、経済成長を促すことができます。実際、オセアニアの小島嶼(しょうとうしょ)開発途上国と後発発展途上国のGDPの多くを持続的な海洋捕獲漁業が占めています。

発展途上国の経済へ大きく貢献している小規模漁業は未だ軽んじられている

小規模漁業は発展途上国の水産業生産の50%を占めています。新型コロナウイルスの影響で生活が脅かされているにも関わらず、国から軽んじられています。小規模漁業をサポートすることは、持続可能な食料システムを作るのに貢献するため、国の支援は重要です。

世界的に魚種資源の需要が軽減しているが、漁業の一部が崩壊することを防げないかもしれない

生物学的に持続可能な範囲内にある魚種資源の割合が年々、徐々に悪化しています。2017年のデータでは、地中海と黒海でこの割合が世界最小で、37.5%でした。地域によっては数値が改善し成果を見せているが、悪化している地域は問題視する必要があります。

SDGs目標15:陸の豊かさも守ろうの達成度と進捗度

SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」

陸地の生態系保全は、持続可能性への傾向にありません。森林面積は減り、保護区には生物多様性保全の鍵になる地域が含まれず、絶滅危惧種も存在しています。また、野生生物犯罪の増加、森林伐採、生息域への侵入は、新型コロナウイルス含む感染症拡大につながるため、世界の健康と経済を脅かしています。

これら問題を改善するために各国は取り組みを行っています。

例えば持続可能な森林管理の拡大や地上・淡水・山の保護区域を増やすための活動などが行われています。各国は生物多様性と生態系を守るために制度・立法・会計基準を徐々に政策に取り入れています。

パンデミックから回復してさらに良い社会を作るため、このような国の成果を確立、そして促進していく必要がります。また、同じく重要なのは人間と自然界の相互的な関係を強調し、共存を促すことです。

野生生物犯罪は感染症リスクを高めるなどの理由で動物も人間の健康も脅かす

最近出てきている感染症は、鳥インフルエンザやエボラをはじめ75%が人畜共通感染症です。これらの感染症は、野生生物の売買など、人間が自然生息域に侵入する行為によって動物から人に感染します。

例えば、センザンコウという哺乳類の一種は、コウモリから人間へコロナを感染させる媒体となったとされています。このように違法取引や密猟などの野生生物犯罪は、生態系や生物多様性を脅かすだけでなく、人間の健康・安全・経済的発展も妨げる可能性があるのです。

土壌劣化は何十億人に影響を及ぼし、絶滅危惧種を増やし、気候変動を悪化させる

地上の約5分の1にあたるインドとロシアの国土面積の合計に近い土地が、すでに劣化しています。2000年から2015年の傾向を見ると、地球上の自然・半自然地域が減少しています。

原因に挙げられるのは、森林伐採・都市化・持続不可能な農業活動など人間の活動です。目標15を達成し土壌劣化を改善することで、生態系・人間の生活・気候変動の全てにいい影響を与えることができます。

進歩は見られるものの、2020年が期限のターゲットの達成見込みはない

目標15内の5つのターゲットの期限は2020年です。しかし、現状を見ると全て達成できないと見られています。

現在する問題の1つは、森林減少です。森林の持続可能な保護に向けた努力は見られるものの、森林面積が継続的に損失しています。また、生物多様性保全の鍵になる地域は、半分以下しか保護されておらず保護に向けた努力も減ってきている状況です。

さらに、生物多様性が由々しき速度で減っている点も懸念されています。加えて、3分の1の国しか生物多様性の国家目標を達成する見込みがないことも、注目すべき問題点です。

SDGs目標16:平和と公正をすべての人にの達成度と進捗度

SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」

紛争・不安定で危険な状態・脆弱な制度・公正への限られたアクセスは、持続可能な開発への大きな妨げになります。

2019年に戦場、迫害、紛争から逃げる人が7,950万人を超えました。これは公式なデータの収集開始以来、最多です。子供の4人に1人は出生登録をしていないため法的な身分証明書を持っておらず、それによりさまざまな面で完全な権利を得られていない状態で暮らしています。

新型コロナウィルスは現存する問題を増長する可能性が十分あります。2020年3月に国連事務総長は、新型コロナウイルス関連の援助と外交関係促進のために、早急な停戦を世界に求めました。この要請は支持されているものの、実施するには難点が存在します。

国際法で守られているはずの女性や子供含む一般市民100人が、武力紛争で毎日命を落としている

一般市民は、国際法によって守られています。しかし、2015年から2017年の3年間で犯罪者によって殺された民間人死傷者は少なくとも106,806人で、平均で毎日10万人中11.9人の尊い命が失われています。

その多くは、爆発物により殺されているのです。武力紛争地域の新型コロナウイルスの脅威は他地域よりも高く、基本的な医療や公衆衛生設備にたどり着けない人々が大勢います。紛争に関わる全員が、国際法及び国際人権法を守れば市民への被害を軽減できます。

世界の殺人率を早急に下げるには、さらなる努力が必要

世界の殺人率はとてもゆっくり下がっています。世界中で年間およそ44万人が殺害されています。

ラテン・アメリカの殺人率が高い国を見ると、新型コロナウイルスによるロックダウンが殺人率に影響を与えていませんが、ヨーロッパなど殺人率が低い地域ではロックダウンによって暴力が減りました。

子どもは常にさまざまな形の暴力の対象であり、その多くは認識・報告されていない

子どもへの暴力的なしつけは広範囲で見受けられます。2012年から2019年の69カ国のデータによると、1歳から14歳の子ども10人中およそ8人は心理的・物理的な罰を与えられたことがわかりました。

また、子どもの人身売買は、その多くが性的搾取目的だが強制労働も多いです。性的暴力は最も不穏な人権侵害の一つだが、報告されないことが多い特徴があります。

コロナが影響もたらした子どもへの影響の詳細はわかっていません。しかし、家にいる時間が増えたことによる、家庭内暴力やリモート学習でのネットいじめなどの増加が予想されています。

投獄された人の多くは未決拘禁者であるものの非人道的な扱いを受けやすい

判決が確定せずに拘置所や留置所に入れられている未決拘禁者の割合は、2005年以来減っておらず世界で31%です。刑務所の過密は多くの国で問題視されており、新型コロナウイルス感染拡大の原因にもなっています。190カ国のデータから、約60%の刑務所は過密状態にあったことがわかっています。

人権擁護者、ジャーナリスト、労働組合員は頻繁に暴力の対象になっている

2015年から2019年の間、国連は1,940人の人権擁護者、ジャーナリスト、労働組合員の殺人被害を記録しました。2019年にジャーナリストが殺害された人数は最小でしたが、職務のなかで口頭及び身体的な攻撃を受け続けています。

特に女性記者は、オンラインハラスメントの標的にされやすいです。これは、世界的にメディア・記者に対する敵意に満ちた言葉が広がっていることを強調しています。

多くの国は情報の自由を守る法を制定しているが、実施方法の向上が必要

政府が保持する情報にアクセスできるような情報の自由は、表現の自由の重要な一部であり、社会的グループ同士の平等や政府の説明責任を促進する役割も果たしています。

現在、少なくとも127カ国で情報の自由を守る法が制定されていますが、多くの情報管理官や機関は特殊な訓練を受けておらず、監督機関など一分野に特化した機関を設けていません。

SDGs目標17:パートナーシップで目標を達成しようの達成度と進捗度

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

SDGsを実現させるための支援の実施は安定しているがもろく、持続的で重大な問題が存在しています。財的資源が少なく、貿易摩擦も近年悪化し、データも不足しています。

新型コロナウイルスは貿易、海外直接投資、送金を全て減少させ、今まで得た成果を脅かしている状況です。また、パンデミックは現存する価値連鎖の分離を促進させている様子が伺えます。

唯一の利点はインターネット利用の増加ですが、未だに情報格差は大きい点も注目すべき点です。新型コロナウイルスを抑制するには政府、民間企業、市民社会組織全ての協力が不可欠で、多国間の協力を強化の重要性がこれまでにないほど高まっています。

新型コロナウイルスが世界経済を困惑させる中、主要な提供者はODA予算を守る努力の実施を示している

経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)からの援助金は、2018年から2019年にかけてほぼ同額でしたが、後発発展途上国とアフリカへ配分される割合は増えています。

ODAは危機からの短期的な経済的衝撃を和らげる側面を持つため、ドナーたちも新型コロナウイルス対策に対する援助予算を維持する意思表明している。しかし、新型コロナウイルスの影響は多大で、この意思を現実に移すことができるかどうかは不明です。

送金は過去最大額を記録したが、2020年には劇的な減少が見込まれる

1990年代半ばから2019年にかけ、公式な援助金よりも送金額が上回っていました。しかし、2020年は新型コロナウイルスの影響で世界的な送金は20%減少すると予測されています。これは失業や収入減少による影響が大きいと見られています。低・中所得国の貧困層にとって、送金は経済的な命綱なので減額が生活に影響を与える可能性が高いです。

海外直接投資と世界的なバリューチェーンは新型コロナウイルスによる打撃を受ける可能性が高い

2018年、発展途上国への海外直接投資(FDI)は安定していたものの、地域によって受け取る額の差がありました。2020年は新型コロナウイルスの影響で投資が遅れたため、FDIは40%減少すると予測されています。

パンデミックは、世界的なバリューチェーンとリショアリング(国内回帰)を切り離す傾向を促進させる可能性があります。この傾向は、サプライチェーンを強化させたいという多国籍企業の意向を反映しているものです。

後発発展途上国が輸出量増加を試みる中、国際貿易は大幅に減少することが予測される

コロナの影響で世界の物資貿易は2020年に13%から32%減少すると想定されています。WTOから発展途上国や後発発展途上国に与える特恵関税も低下し、先進国同士での貿易が盛んになっているため、途上国の輸出機会が減っています。

インターネットは必需品になってきているが、未だ世界の50%はインターネット接続がない

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、仕事をしたり、授業を受けたり、友達と話したりすることの多くがオンライン上で行われています。しかし、世界の50%は未だオンライン接続ができない環境にあります。後発発展途上国は、コストとインフラ設備の不足が原因で固定ブロードバンド接続がほぼありません。

正確なデータ収集の必要性が増える中、貧困国はデータ収集のための資源がない

2019年には、141カ国が統計収集の計画を立てていると報告しているが、その多くが計画を実施するために必要な資金が足りないと言及しています。正確なデータ収集のための投資は増えているが、2017年のODA援助金のうち0.34%に過ぎませんでした。SDGsの達成度や進捗度を正確にデータで測るためにも、途上国への資金的・技術的援助が必要です。

まとめ

2020年時点の世界でのSDGsランキングや目標ごとの達成度・進捗度を、たっぷりとご紹介してきました。

SDGsは経済・社会・環境の3領域にまたがる包括的で世界的な目標なので、全体像を理解することを難しく感じる方もいるかもしれません。しかし、今回の記事を読めば全体的な状況が少しでも理解できたと思います。

国や地域ごとにデータを見れば着実に進行している目標もありますが、世界全体で誰一人取り残すことなくSDGsの目標を達成するには、取り組みのペースを上げていく必要があります。

SDGsの達成に向けて、世界全体の状況と日本の課題・あなた自身が所属する企業や団体で組織として関係する目標、あなた個人として興味関心や危機感を持って取り組める目標の3つの領域で、SDGsについてぜひ考えて行動をしましょう。SDGs media では、これからもSDGsに関する情報を発信していきますので、お役立て頂ければ嬉しいです。

最新の日本のSDGs達成度や政府の取り組み内容は、以下の記事でまとめているので合わせて参考にしてみてください。

2019年の世界のSDGs目標別の達成度・進捗度を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

 

参考サイト

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