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自動車業界とSDGs|サプライヤー企業が知るべき動向と必要な対応

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自動車業界内でSDGs・サステナビリティへの取り組み強化が進むにつれて、サプライヤー企業でも取り組み開始に向けて社内に委員会を設置するケースが増えてきています。委員会の担当者に任命されたあと、このようなお悩みが発生します。

  • SDGs担当者

    なにから手を付ければいいのかわからない…。

  • SDGs担当者

    どんな取り組みが効果的なのだろう?

  • SDGs担当者

    社内勉強会のネタが集まらない!

特に自動車メーカーに対するティア1の企業より、ティア2に位置する零細企業のSDGs担当者のお悩みが深く取り組みが効果的に進んでいない状況があります。

とはいえ、SDGsの取り組みはやみくもに行っても、時間とお金をムダにしてしまいます。

自社の取り組みがSDGsの目標何番に紐付けるのかということではなく、数ある社会問題のなかで自動車業界のサプライヤー企業にも対応が求められている課題にフォーカスすることが重要です。そうすれば自ずと自社事業を持続するために、どういった課題解決に取り組むべきなのか決まってくるからです。

今回の記事では、自動車業界のサプライヤー企業で働くSDGs担当者向けに、自動車業界とSDGsの関係・代表的なサプライヤー企業の動向・オススメな取り組みの解説を取り上げます。

ぜひ取り組み初期に活用できる基礎知識として役立ててください。

今回の記事は以下のような人にオススメです
  • 自動車業界サプライヤー企業のSDGs担当者・経営層
  • 自動車業界とSDGsの関係を調べている
  • 自動車業界の取引先からサステナビリティ対応を求められた企業

自動車業界が向き合う社会問題とは

自動車業界が直面する社会問題はさまざまですが、ここでは主な問題である2点を紹介します。

気候変動問題

世界の気温・気象が長期的に化石燃料の燃焼が原因で変化してきたことで、気候変動問題が起きています。具体的には温暖化により気温が上昇することで、自然災害が発生したり生態系が悪影響を受けたりしています。

この状況に対して、世界で採択されたのがパリ協定です。世界で温室効果ガスの発生を減らしてカーボンニュートラル(脱炭素)を目指す動きが活発化しています。

人権に関する問題

SDGs・ESGなどが一般化していくことで、企業がサステナビリティに取り組む一環としてこれまで以上に人権尊重の重要性が認識され始めています。人権課題は範囲が広く複雑ですが、例えば、新型コロナウイルス・ロシアのウクライナ侵攻・新疆ウイグルやミャンマーの問題・日本で働く外国人労働者などが含まれます。

大企業・上場企業では人権方針の策定や人権デュー・デリジェンスの実施など、人権尊重への取り組みが行われていますが、人権への対応はすべての企業で行われているとはまだ言えない状況です。

どちらの問題もサプライヤー企業にとって重要ですが、世界的な大きな問題であるため自社でどのように取り組めばいいのか具体的なイメージが持ちにくいかもしれません。その場合は、問題を分解していき自社の状況・目標に合わせて取り入れていくことをオススメします。詳しくは記事の最後に紹介しているオススメの取り組みを参考にしてください。

ガソリン自動車が生産できる台数はあと約3億台

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自動車業界で働く人にとって、カーボンバジェット(炭素予算)という言葉は知っておいて損はありません。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると気温上昇は、CO2の累積排出量によって決まることがわかっています。これによって、パリ協定で採択された世界全体の平均気温の上昇を工業化以前と比べて1.5℃に抑えるためには、世界で排出が許容されるCO2量に上限があります。これをカーボンバジェットと呼びます。

国際環境NGOグリーンピースは、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2040年までに追加販売できるガソリン車は3億1,500万台だと発表しました。

日本政府の新車販売方針

日本政府は、2020年10月に「2050年にカーボンニュートラルを実現する」と宣言しました。それに関連する産業政策が通称『グリーン成長戦略』です。

この戦略では、自動車産業が重要分野に位置づけられており、2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現するために措置を講じるとされています。このような流れを受けて主要な自動車メーカーが電動車の製造販売に注力するため、サプライヤー企業は今後ガソリン車の製造数が少なくなる流れに対応する必要があると言えます。

日本自動車工業会が目指す2050年カーボンニュートラルの実現

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日本政府のカーボンバジェット宣言に対して、自動車メーカー14社で構成される日本自動車工業会も賛同しています。2035年に新車販売における電動車100%を目指すことに加えて、LCAの観点から自動車の走行時に発生するCO2削減だけでなく、製造から廃棄までのライフサイクルでCO2排出量が少ない自動車生産を目指します。

日本自動車工業会の目指す未来に合わせて各メーカーは、さまざまな長期目標を設定して事業を行っています。例えば脱炭素と電気自動車へのシフトチェンジでは、各社が以下の目標を設定しています。

メーカー名脱炭素の達成目標年電気自動車へのシフトチェンジ目標
トヨタ2050年

2030年に世界でBEV販売台数350万台

日産2050年

2026年までに電動車(EV・HV)の販売比率55%以上

ホンダ2050年

2030年に先進国でEV・FCV販売比率40%

2040年に世界でEV・FCV販売比率100%

マツダ2050年

2030年に世界でEV販売比率25%

SUBARU2050年2030年までに世界でEV・HV販売比率40%以上

自動車業界のサプライヤー企業の動向

自動車業界のサプライヤー企業は、具体的にどのようなSDGs・サステナビリティの取り組みを行っているのでしょうか?

取り組みの指針になっているのは各自動車メーカーの目標です。この目標を受けてサプライヤー企業は注力分野を定めていると考えられます。ここでは、株式会社デンソー・株式会社アイシンの統合報告書から読み取ってみましょう。

株式会社デンソーの動向

株式会社デンソーでは、注力4分野に電動化・先進安全/自動運転・コネクティッド・非車載事業を設定し、各分野を横断する形で7つのコア事業が設けられています。これらの事業活動によって環境と安心の価値を最大化して共感を生むことで、事業活動によってSDGsに貢献することが示されています。

優先課題に対するKPIには、2025年度工場CO2排出削減を2020年度比100%削減(カーボンニュートラル実現)や、安全製品の売上目標などが設定されています。

株式会社アイシンの動向

株式会社アイシンは、2020年からの10年間を変貌する期間として設定しています。社会に対しては、ソリューション型商品の売上収益比率を2021年度の17%から2030年度に60%以上、生産CO2削減率を2013年度比で2030年には50%以上削減を目標に据えています。

既存の事業に加えて3つの重点領域として、「電動化」「カーボンニュートラル」「ソフトウェアファースト&DXが設定され、各領域にCxOを配置することで組織をまたいで迅速に推進することを目指しています。

自動車業界のサプライヤー企業を取り巻く状況の整理

ここまで紹介してきたサプライヤー企業を取り巻く状況を整理しましょう。

世界中にはさまざまな問題があり、その問題解決に向けてSDGsやパリ協定などが採択されてきました。国際的な取り決めをもとに国ごとに将来のビジョンが示され、その目標達成のために政策立案・法整備・規制緩和などが進みます。

国が示す方針を受けて日本自動車工業会のような業界団体が、業界の目的達成に向けて所属する主要な自動車メーカーの動きを活性化させていきます。

このような流れを把握することで、自動車業界のサプライヤー企業が置かれる状況が明らかになります。

サプライヤー企業が抱えているSDGsに対する課題

自動車メーカー各社は、SDGs・サステナビリティを経営に導入して事業活動を展開しています。例えば、CO2排出量を抑えてカーボンニュートラルへの貢献・交通事故による死傷者を減らすための新技術の開発・働く従業員の人権尊重など、多様な取り組みが推進されています。

そのため、関係するサプライヤー企業に対しても、環境・社会・人権などに対する取り組みが求められます。しかし、主要メーカーの意向をもとに部品を製造するティア1の企業に対して必要な部品を納品する比較的規模の小さいティア2のSDGs担当者が、対応に困っているという声を聞きます。

ティア1の企業が公表している長期目標や統合報告書を読んでも、自社に求められる取り組みが今ひとつつかめない状況があるそうです。そのためサプライヤー企業の経営者や担当者は、以下のような課題を感じています。

  • なにをすればSDGsに貢献できるのかわからない
  • 正しい取り組み方法がわからない
  • 自動車業界の課題について具体的に相談できる相手が見つからない

自動車業界のサプライヤー企業にオススメな取り組み

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ここまで見てきたようにグローバルに展開する大手自動車メーカーは、事業によって世界的な課題解決を目指しています。自動車に搭載する部品を製造するサプライヤー企業には、同じようにSDGs・サステナビリティに対応することを求めているのです。

これから対応を始める、または対応がうまくいっていないサプライヤー企業には、以下の3つの取り組みを順番に実施することをオススメします。

ちなみにこの一連の取り組みは、企業向けのSDGs推進ガイドラインである『SDGコンパス』を土台にした株式会社Drop独自の方法です。

※株式会社DropはSDGs media の運営者

1. 優先課題の決定

SDGsに取り組むとは、SDGsの各目標に含まれる課題の解決を目指すことを意味します。しかし、世界的な問題のリストとも言えるSDGsの達成は、1社だけの力では不可能で各社が協力して社会問題の解決を目指しながら、事業の継続を考えざるを得ません。

自動車業界のサプライヤー企業の事業特性を考慮すれば、主要な自動車メーカーや直接的な取引先であるサプライヤー企業が解決を目指す社会問題を、そのまま自社が取り組む問題に据えることが自然な選択です。

そのような企業の動向や目標に関係する社会問題を把握しましょう。その社会問題の中から自社でも解決に貢献できる問題を少なくとも環境・社会の領域で1種類ずつ選びます。ここで選んだ社会問題が自社にとっての優先課題になります。

2. 目標数値の決定

「優先課題の決定」で決まった社会問題に対して成果目標を設定しましょう。目標設定では、2030年やその先を期限に目指す長期ビジョンをもとにした長期目標と、長期目標を目指すうえで達成すべき短期目標のどちらも必要です。

長期目標には、未来のある地点から逆算して考えるバックキャスティング思考を用いましょう。これによって意欲的な目標を立てることができます。

しかし、未来のありたい姿を目標として表現すると、抽象的で現実離れしたものになりがちです。そのため、長期目標を目指す上で半年から1年の短期間で達成を目指す短期目標も立てましょう。

目標とする数値は、政府・同業他社・国際的なイニシアチブが示す値も踏まえて決めることが重要です。また目標に含める指標は、各種ガイドラインや認証制度で示される項目が参考になります。

3. 行動計画の決定

「目標数値の決定」で決まった目標を達成するために、行動計画を立てましょう。行動計画を考えるには、先程のステップで決めた目標の達成に関係する重要な要素を洗い出す必要があります。

そうすることで、目標達成に必要な要素が認識でき、この要素を満たすために必要な行動を検討できるようになります。検討により明らかになった行動の達成すべきライン・達成期限・担当部署(社員)を決めれば、行動計画の完成です。

自動車業界サプライヤー企業のSDGsへの取り組み事例

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最後に、自動車業界サプライヤー企業に対して当社が提供したSDGs方針策定ワークショップの事例を紹介します。SDGsへの取り組みを前に進める一手としてぜひ参考にしてください。

ワークショップ研修を発注したみささ会は、自動車業界でティア2に位置するサプライヤー企業の集まりです。

各社の上流企業からSDGs・サステナビリティへの対応が求められるものの、具体的な取り組みが進められていない、同業他社の取り組み事例が検索しても見つからないなどの課題がありました。

このような現状に対して、全2回の研修で「SDGsを理解する」「自社の目標と行動計画を立てる」が実現できる機会を設けました。

1回目の研修では、SDGsの基礎情報に加えて自動車業界の企業が向き合う社会課題から、サプライヤーに期待されることなどを知り、2回目の研修で必要な知識を得る機会になりました。

2回目の研修では、環境・社会の各領域の中長期目標と行動計画を考えるワークショップ研修によって、各社が具体的にSDGs推進の方向性を定め具体的な取り組みを開始する準備ができました。

やみくもに他社が実施しているSDGsの取り組みを真似るのではなく、「オススメな取り組み」で紹介したような分析や計画を研修・ワークショップなどで実施することで、結果的に効率よく効果が期待できるSDGsへの取り組みが実現しやすくなります。

▶本事例で提供したオリジナル研修メニューの詳細はこちら

まとめ

中小企業が本質的なSDGsの取り組みを実践するには、数カ月から1年ほどの期間と専門知識も必要です。しかし、本記事で紹介した3つの手順なら社外の専門家に頼らずとも実践できる可能性が高いです。

SDGsの取り組みは簡単ではない仕事ですが、適切な方法でSDGs・サステナビリティを目指すことで業界における企業価値が高まり、取引継続や新規受注がしやすくなります。

社会問題の解決に貢献できる事業を継続することは、自社の持続可能性を高めることにも繋がり自社・取引先・社会と関わるステークホルダーにプラスの影響をもたらしてくれます。

今回の記事をきっかけに、ぜひSDGs・サステナビリティへの取り組みにチャレンジしてみてください。

 

なお、SDGs mediaを運営している株式会社Dropでは個人から会社全体でできる345個の取り組み事例をまとめた「ビジネスアクションリスト」を作成しています。興味のある方は、以下ボタンから資料を請求してください。
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