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SDGs目標12 つくる責任 つかう責任 を解説|世界と日本の課題とは

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SDGsという言葉が世の中に浸透するようになり、年々認知度が上がってきています。SDGsが目指す持続可能な社会に向けて、私たちはどのように行動できるでしょうか。

SDGsの目標12は「つくる責任 つかう責任」です。私たちは日々の暮らしのなかでさまざまな製品やサービスを手にします。それらが誰によって作られ、どのような過程で私たちの手に届けられるのか把握しているでしょうか。

今回の記事では、SDGs目標12の内容解説と、関連する国内外の課題・キーワードを紹介します。

今回の記事は以下のような人にオススメです
  • SDGs目標12の内容を詳しく知りたい
  • 自社事業の取り組みと目標12の関係性を考えたい
  • 目標12の内容を子どもにわかりやすく教えたい
  • 目標12に関連する用語が知りたい

目標12「つくる責任 つかう責任」の概要 

目標12は「持続可能な生産消費形態を確保する」がテーマに掲げられています。ターゲットは11個あり、10YFPやサプライチェーン・公共調達など専門的な用語も登場します。

目標12のロゴは1つの矢印を横に倒し、8の字を描いています。これは「つくる」「つかう」はそれぞれ独立したものではなく、連続的に繋がっていることを表したものであると捉えられます。生産者と消費者、企業と個人など、それぞれの行動が循環している様子を端的に示したわかりやすいロゴです。

目標12のターゲット一覧 

以下の表でSDGs目標12のターゲット一覧を紹介しています。各ターゲットを読むとどんなゴール・課題が目標12に含まれるのかイメージがわくでしょう。

企業・個人でSDGsの達成に貢献する取り組みを始めるには、このターゲットから考えていくことがオススメです。そのうえで、SDGs media では、アクションを考える参考になる無料の資料『SDGs達成に向けたビジネスアクションリスト』を提供しています。取り組みを考える際はぜひご活用ください。

12.1開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する 10 年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
12.22030 年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12.32030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減 させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
12.42020 年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12.52030 年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12.6特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12.7国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8

2030 年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12.a開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12.b雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12.c

開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応 じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

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直線型経済からサーキュラー・エコノミーへの転換

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資源・エネルギー不足をもたらす直線型経済とは

直線型経済とは自然界から取り出された資源やエネルギーを使って生み出された製品が、一度の使用で捨てられる仕組みです。使用された資源や製品を再利用せず、廃棄することから直線型経済(Linear Economy)と呼ばれ、従来の大量生産・大量消費・大量廃棄が当てはまります。一度きりの使用で大量の資源や製品が廃棄されるため、すでに資源・エネルギー不足に陥っています。

また、製品の使用後に一部を再利用するリユース型経済という仕組みもあります。リユース型経済は、再利用できない廃棄物が生じる点で、直線型経済と同様に弱点を抱えています。

直線型経済・リユース型経済の共通点として、いずれもごみや汚染が前提となっていることが挙げられます。

サーキュラー・エコノミー(循環型経済)とは 

サーキュラー・エコノミーとは、従来の直線型経済で活用されず廃棄されていた製品や原材料などを新たな資源と捉え、その価値を長く維持し、廃棄物の発生を最小化した経済を指します。直線型経済・リユース型経済とは異なり、循環型経済は廃棄物を出さないことが前提となっています。

2015年EUで「サーキュラーエコノミーパッケージ」が採択されました。これは2030年までに全加盟国で一般廃棄物のリサイクル率を65%、埋め立てを最大10%削減することなどを目標としています。循環型経済に移行することで、以下の点などの実現が期待されています。

  • エネルギー消費を抑えて、温室効果ガスの排出を削減すること
  • ヨーロッパ中に新たな雇用の創出すること
  • 資源の利用による環境への影響を削減すること

サーキュラー・エコノミーに関連する用語の紹介

サーキュラー・エコノミーについてさらに知るには、以下の用語の意味も理解しておきましょう。

拡大生産者責任 

拡大生産者責任とは、OECD(経済協力開発機構)が提唱し、生産者が製品の設計から生産・消費段階を経て、廃棄されるまでの全過程に責任を持つという考え方です。これによって、使用済み製品の管理に関わる自治体や納税者の負担の軽減・廃棄物の減量化・リサイクル率の向上に、貢献することが期待されています。循環型社会形成推進基本法(2000年施行)にも、拡大生産者責任の考え方が取り入れられています。

エコロジカルデザイン 

エコロジカルデザインとは、生態学的に環境に配慮したデザイン全般のことです。デザインの対象は、自然環境・住宅・建築物・都市・サービスなど幅広く、製造段階で使用する資源・エネルギー・廃棄物などに対する配慮も含まれます。

エコロジカルデザインには使用後にリサイクルしやすいこと、廃棄物を減らすことも求められます。それらを実現するために、場所に深く適合したデザイン、自然の仕組みに即したデザインなど、5つの原則が定められています。

ライフサイクルアセスメント 

ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment:LCA)とは、製品やサービスのライフサイクル全体(資源採取から原料調達・製品生産・流通・消費・廃棄・リサイクルまで)、または特定の段階で環境負荷を定量的に算出・評価する手法です。

これによって、環境により配慮した製品やサービスを生み出すための、科学的・客観的データを得ることができます。

フットプリント 

フットプリントとは、ライフサイクルアセスメントで計測した、ある製品にかかる環境負荷の総合結果です。製品にかかる資源やエネルギーの量を見える化することで、その削減に役立てられます。

フットプリントにはいくつも種類があります。エコロジカル・フットプリントは、人間が環境に与える負荷の大きさを測る指標です。例えば、経済活動から発生する温室効果ガスの排出や、森林伐採による資源利用などが環境負荷の対象です。

その他に、ある製品やサービスが廃棄・リサイクルされるまでに発生した水環境への影響を定量的に評価するものはウォーターフットプリント、温室効果ガスの量をCO2に換算し総合計したものはカーボンフットプリントと呼びます。

食品ロスが引き起こす問題

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食品廃棄物と食品ロス 

食品廃棄物とは、可食部・不可食部のいずれも含んだ廃棄物です。そのうち、本来食べられるのに廃棄される食品を食品ロスと呼びます。食品ロスには、規格外の加工食品・賞味期限切れの食品・家庭や飲食店での食べ残しが含まれます。

消費者庁の資料「食品ロス削減関係参考資料(令和3年8月26日版)」によると、日本の食品廃棄物は約2,531万トン(2018年度)で、食品ロスはそのうちの600万トンを占めます。これは、国連WFPが2019年に支援した食料420万トンよりも多く、国内の一般廃棄物処理費用は年間約2兆円に及びます。

食品ロスが自然災害発生リスクを高める

食品ロスと自然災害は一見関係ないように見えて、実は大きく関係しています。

食品ロスが増加すると、食品をゴミとして燃やさなければなりません。焼却する際に温室効果ガスが排出されるので環境破壊に繋がります。

さらに、本来食べられるものである可食部の廃棄は、はじめから食べない食品を生産していたことになり、生産地や水を無駄に使っていることを意味します。つまり、食品ロスが増えるほど、土地不足や水不足を招いているのです。

このように、食品ロスによる環境破壊が積み重なることで、大規模な気候変動を引き起こすきっかけに繋がっています。

サプライチェーンで起きている問題

サプライチェーンとは

ある商品や製品が消費者の手元に届くまでの一連の流れ(調達・製造・在庫管理・配送・販売・消費)をサプライチェーンと呼びます。サプライチェーンは、社内外のさまざまな関係者の活動によって構成されています。

サプライチェーンに関わる社会課題

自社事業にSDGsを取り入れる際、サプライチェーンの分析をすることで、あらゆる場面で自社が環境に与えている影響を把握できます。

例えば、ある製品は輸送や配送段階だけでなく、製造時から製品の廃棄までのさまざまな過程でCO2を排出しています。事業活動に関わるすべてのCO2排出量を合計したものを「サプライチェーン排出量」と呼びます。

また、サプライチェーンに関わる人権意識も高まっています。事業活動で生じる人権リスクを把握していなければ、経営リスクに繋がる可能性があるからです。

国連指導原則やOECDが関連する国際ガイドライン・各国の法令などが、サプライチェーンの人権配慮について定めています。これらを踏まえて、日本企業も人権配慮に適切に取り組むことが求められています。

事例1:Tシャツ生産で発生する二酸化炭素の量

サプライチェーンで発生する環境負荷を消費者へ共有するために、スウェーデンのメンズウェアブランドAsketはキャンペーン「The Impact Receipt」を始めました。

このキャンペーンでは、販売する衣服に特殊なレシートを付けています。レシートには商品の値段ではなく、製造から輸送など各工程で実際にかかる環境負荷(CO2インパクト・水・エネルギー)の内訳が書かれています。

例:Tシャツ 1.89kg(CO2インパクト1.89kg・水35.10㎥・エネルギー44.1mJ)

Asketによると、自社のTシャツ1枚の生産全体で発生するCO2は約1.89kgです。

レシートの合計部分に「真のコスト“TRUE COST”」を提示することで、消費者に責任ある消費行動や自身が与える影響について考えるきっかけを与えています。

事例2:無形サービスの生産・利用が生む環境負荷 

クラウドサービスとは、インターネット上にあるソフトウェアをネットワーク経由で使うサービスを指します。Google ChromeやSafari・Internet Explorerなど、ブラウザが使える環境さえあれば、いつどこにいても利用できます。クラウドサービスにはWebメールやSNSなども含まれます。

クラウドサービスは私たちの生活に欠かせない便利な存在ですが、実は環境に不可を与えています。

クラウド上のデータは、データセンターのサーバーに保存されています。データセンターには大量のサーバーやルーターが設置され、大容量の光ファイバーケーブルが接続されています。これらから排出される多量の排熱を冷却するために、大掛かりな空調設備が設置され、大量の電力を消費しています。

Googleは1回の検索で、約0.2gの二酸化炭素が排出されると概算しています。このエネルギー量は電球1個を17秒間点灯させるのに必要な量と同等です。

このように、普段何気なくしているメールの送受信やSNS・Youtubeの動画の視聴など、すべての行動が二酸化炭素の発生に繋がっています。

ごみ処理やサステナブルな消費 ・利用

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日本のプラスチックごみのリサイクル手法について

日本の廃プラスチックのリサイクル手法はサーマルリサイクル・マテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルの大きく3つに分けられます。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2019年度の日本のプラスチック有効利用率(リサイクル・燃料利用など)は85%で、そのうち60%がサーマルリサイクル(焼却)です。焼却時に発生する熱を回収し、発電や温室プールの熱源などに再利用しています。

国内ではプラスチックが以下の3つの状態にあるとリサイクルが難しいと判断され、焼却対象になっています。

  • 汚れがあるもの
  • 仕分けに時間がかかるもの
  • 劣化しているもの

サーマルリサイクルの問題点として、焼却の際にCO2が排出され気候変動の要因になることが挙げられます。そのため、国際的にはサーマルリサイクルをリサイクルの手法と認めていません。

気候変動に繋がるサーマルリサイクルを続けることは、SDGsの考えとは真逆であり、日本の焼却処理は世界と比べると遅れていると言えます。

3Rだけでないゴミを出さないアクション 

ゴミを出さないアクションとして3R(リデュース・リユース・リサイクル)が一般的に知られています。

  • リデュース(Reduce):製品製造段階での資源の量を減らすことや、廃棄物の量を少なくすることで耐久性の高い製品を提供すること。
  • リユース(Reuse):使用済み製品やその部品などを繰り返し使用すること。また、繰り返し使用できる製品の提供・修理・診断技術も含む。
  • リサイクル(Recycle):廃棄物を原材料やエネルギー源として有効利用すること。リサイクルを可能にする製品設計・製品改修も含む。

その3Rに加えて、リフューズ(Refuse:断ること)を加えた4Rや、リペア(Repair:直すこと)を加えた5Rの考えも出てきています。

  • リフューズ(Refuse):ごみになるものを断って受け取らないこと。
  • リペア(Repair):使えなくなった製品を修理し、再び使用できる状態にすること。

他にも、リフォーム(Reform:改良すること)やレンタル(Rental:借りること)・リシンク(Rethink:再考すること)などを加えて、7Rや10Rなどの用語も生まれています。

サステナブルな消費や利用に関わる用語の紹介

ごみ処理やサステナブルな消費・利用についてさらに知るには、以下の用語の意味も理解しておきましょう。

アップサイクル 

アップサイクルとは、本来捨てられるはずのものに創造性を加えて新しい価値を与え、別の商品に生まれ変わらせることです。「創造的な再利用(Creative Reuse)」とも呼ばれます。

リサイクルは一度原料に戻したものを資源として再利用しますが、アップサイクルは原料に戻さず、別のものに作り変えて価値を与える点で異なります。

アップサイクルはアパレルブランドで活用されることが増えていますが、ここ数年の間に食品業界や他業界などにも取り組みが広がっています。

例えば、店舗が処分に困っていたパンの耳やコーヒー豆をビールに生まれ変わらせる取り組みがあります。このビールは、もともとアップサイクルに取り組んでいた国内のビールメーカーと下町の小売店が、連携して完成させたものです。

このように、これまで繋がりのなかった企業や販売店の協力によって、新たなアップサイクル商品が生まれています。

シェアリング 

シェアリングエコノミーとは、個人や企業の持っているモノや形のないサービス・能力(スキル・知識)などの資産を、インターネットを介して他の個人も利用できるようにする経済活動です。ITの普及に伴い、空き家・会議室・駐車スペース・衣服・家事代行・育児代行などさまざまなものが含まれます。

有名なシェアリングサービスの1つが、フリマアプリのメルカリです。メルカリは世界中の個人を繋ぎ、テクノロジーを使ってモノの売り買いを自由にできるサービスを提供しています。このサービスによって、不要になった新品・中古の商品が廃棄されずに、商品に価値を感じる人の元に届き活用されるようになっています。

また、Uberが提供する車の相乗りサービスは、スマートフォンのGPS機能を活用し、移動したい利用者とドライバーをマッチングさせます。これにより相乗りが促進され、より少ない車で、より多くの人が移動できるようになります。

Uberは移動に伴う環境負荷をさらに低減するための「Green Futureプログラム」を実施予定で、2025年までにカナダ・ヨーロッパ・アメリカの数10万人のドライバーが、バッテリー式電気自動車を取得できるようにするものです。

エシカル消費 

エシカル消費とは、環境や人・社会・地域などに配慮した消費行動です。購買活動だけでなく、地域の活性化や雇用なども含みます。

エシカル(Ethical)とは倫理的・道徳的を意味し、SDGsの17目標のうち、特に目標12「つくる責任、つかう責任」に関連しています。

例えば、以下がエシカル消費として挙げられます。

  • 環境への配慮: FSC認証マークが付いた商品やCO2の排出量を抑えた商品を購入する・食品ロスを減らす
    ※FSC認証…適切に管理がされた森林から伐採された木を使っていることを認める認証制度
  • 人・社会への配慮:フェアトレード認証商品を購入する・障がい者支援に貢献できる商品を選ぶ
  • 地域への配慮:被災地や地元の応援に繋がるものを購入する・地産地消を心がける

このように消費者が環境や社会に配慮した商品を選ぶことで、企業がそのニーズに応えるようにエシカルな商品を充実させることを期待できます。さまざまな問題を自分ごと化して行動することで、企業にも社会にも良い影響を与えられます。

目標12に対して企業・団体が取り組めること

SDGsを自社に取り入れる方法として、サプライチェーン排出量を把握することがあげられます。サプライチェーン排出量とは、自社のCO2排出量だけでなく、原料の調達から製品の廃棄に至るすべての工程で関わる、あらゆる排出を合計したものです。

自社のサプライチェーン排出量を測ると、自社がSDGs貢献のために、優先して取り組むべき課題が特定できます。例えば、環境保護や社会貢献に繋がる商品・サービスの開発や、使用電力を再生可能エネルギーへ変換することなどです。

また、サプライチェーン排出量を明らかにすることで、サプライチェーン上の他業者の連携でCO2の削減に取り組んだり、社外へ情報開示したりすることで、環境対策に取り組む企業としてステークホルダー・投資家・消費者などからの信頼の向上が期待できます。

その他にも、以下の記事で会社がSDGs達成に向けてできることを各社員や経営層など立場別に紹介しています。SDGs達成には一人ひとりの行動や、大きなインパクトを与える全社での取り組みが不可欠です。それぞれの状況に合わせてできる取り組みを始めるために、ぜひお役立てください。

目標12に関連する用語や社会問題・取り組み

持続可能な消費と生産に関する10年計画(10YFP) 

「持続可能な消費と生産に関する10年計画(10YFP)」は各国の拠出金で設立された基金を通じて、低炭素型のライフスタイルと社会システムを確立することを目的に定められた枠組みです。2012年ブラジルで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)で採択されました。

10YFPはSDGs目標12のターゲット12.1にも掲げられており、先進国主導ですべての国が対策を講じることを目指しています。

ターゲット12.1
開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
引用元:SDGグローバル指標(SDG Indicators)|外務省

なお、10YFPは6つのプログラムで構成されており持続可能であることが前提です。6つのプログラムのうち「持続可能なライフスタイル及び教育」に対して、環境省はスウェーデン及びWWFと共同で主導しています。

  1. 持続可能な公共調達
  2. 消費者情報
  3. 持続可能な観光・エコツーリズム
  4. 持続可能なライフスタイル及び教育
  5. 持続可能な建築・建設
  6. 持続可能な食糧システム

天然資源の持続可能な利用

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天然資源(自然資源)とは、人工的に作られていない資源を指します。天然資源には水や鉱物などの無生物資源も含まれますが、生物資源は生物由来のもの(森林・野生鳥獣・魚など)を意味します。

私たちの暮らしは、農作物や魚介類などの食料・衣服・医薬品・燃料など、さまざまな生物資源を利用することで成り立っています。生物資源は基本的に再生可能ですが、過剰に使い続ければ枯渇する恐れがあり、SDGsの目標12 ターゲット12.2には、天然資源について触れています。

ターゲット12.2
2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
引用元:SDGグローバル指標(SDG Indicators)|外務省

実際に、石油やレアメタルなど有限な天然資源を巡って、国際的に紛争が起こっていたり、東アジアでは、ダムの建設を通じて水資源を巡った争いがいくつもの国の間で起こったりしています。

資源が過剰に利用される要因として、人口の増加や各国の経済発展などが挙げられます。ここでは水産資源・森林資源・鉱物資源に関連する問題と認証制度を紹介します。

水産資源の問題

水産資源は天然資源のなかでも、私たちの生活に直結する重要な資源です。水産資源の枯渇を含む、天然資源を巡る課題に対処することが国際的な会合で合意される、大西洋クロマグロの国際取引について議論されるなど、水産資源の持続的な利用について関心が高まっています。

日本の一人あたりの食用魚介類消費量は、2001年度の40.2kgが過去最高となり、世界の消費量は半世紀で2倍となっています。日本の消費量は2001年以降減少傾向にあり、2020年度の一人あたりの食用魚介類消費量は23.4kgとなりました。

FAOの「世界漁業・養殖業白書(2010)」によると、世界の海洋水産資源(2008年度)は、「満限利用状態」が一番多く53%で、「過剰利用または枯渇状態」が32%と増加しています。

「世界人口推計2019年版:要旨」によると、世界の人口は2050年に現在から約20億人増加し、約97億人になると予測されています。世界の水産資源の総需要量も人口の増加に伴って増える見込みですが、現在と同様の水産資源の利用が続く場合、需要量が支えられない恐れがあります。

このような状況から、養殖業が水産資源の需要に支えになることが期待されていますが、中長期的にみると以下の理由から養殖業の増産にも限界があると考えられています。

  1. 養殖に適した土地に限りがある
  2. 養殖場に収容できる魚の密度に限りがある
  3. 魚粉を中心とする餌の供給に限りがある

過剰な漁獲を防ぐために、適切な管理体制や国際法の構築が必要ですが、仕組みを確立する猶予がないほど、日々の漁獲が行われている状況があります。一方で、管理体制や法が構築されたとしても、ルールを守らない違法な漁獲が発生していることも課題の1つです。こうした違法な方法で獲られた水産物を分けるために、「MSC認証」が存在します。

「MSC認証」とは、水産資源・海洋環境に配慮して適切に管理された、持続可能な漁業に対する認証制度です。消費者・企業がMSC認証のある水産物を選ぶことで、獲ってよいとされる漁獲量や時期・魚の大きさなどルールを定めて取り組んでいる漁業者を支えることができます。ルールを守る漁業者が漁を続けられれば、持続的に水産物を食べることができます。

森林資源の問題

森林は時間をかけて成長する再生可能な資源で、適切な管理を続ければ永続的に使用できます。現在、地球上の陸地の3分の1が森林で覆われていますが、日本の国土の3分の1に相当する1,300万ヘクタールが毎年減少しています。主な原因は、薪などの燃料利用・農地面積の増加・森林火災・紙や木材の原料にするための伐採などです。

森林資源に関係する「FSC認証」は、適切に管理された森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する制度です。消費者はFSC認証のある商品を購入することで、世界の森林保全を間接的に支援できます。

鉱物資源の問題

鉱物資源とは、鉄やアルミ・銅・希少なレアメタルなど地下に埋蔵されている有益な鉱物を指します。埋蔵量・産出量の多い鉱物をベースメタル(鉄・アルミ・銅など)、産出量の少ない希少な鉱物をレアメタル(マグネシウム・チタンなど)と呼びます。

鉱物資源は、それぞれに特性があり産業に欠かせない素材です。いずれの鉱物資源も日本国内では調達ができず、ほぼすべてを輸入しています。

鉱物資源に関わる問題として、政治的にリスクのある中南米やアフリカなどから算出される鉱物が多く安定的な供給が確保できない点や、鉱山の開発コストが採掘方法や交通・電気・水などのインフラ状況・環境規制の状況により左右される点などが挙げられます。

鉱物資源の安定的な供給を確保するために、日本は以下5つの軸で政策を実施しています。

  1. 海外資源確保の推進
  2. 備蓄
  3. 省資源・代替材料の開発
  4. リサイクル
  5. 海洋資源開発

なかでも、「省資源・代替材料の開発」と「リサイクル」は日本の高い技術力が発揮できる得意分野とされており、少ない量で生産できる技術の開発や、廃棄される携帯電話やオーディオなどの製品を回収することで、希少なレアメタルの再利用を促しています。

化学物質・有害な廃棄物の放出 

プラスチックごみによって引き起こされる環境汚染が、世界的に懸念されています。例えば、廃棄時の焼却によって排出される有害物質のダイオキシンや、いずれ海の魚の量を上回ると言われている海洋プラスチックごみなどが挙げられます。

2019年にはバーゼル条約(正式名称:有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約)が修正され、その規制対象の枠組みにプラスチックごみが追加されました。

バーゼル条約は国際的な枠組みを定めて国を超えた移動や処分がされる有害な廃棄物によってもたらされる危険から、人の健康・環境を保護することを目的としています。

公共調達 

公共調達とは、政府が民間の企業から物やサービスを購入することです。例えば、公共事業での施工業者の発注や、避難所への支援物資が当てはまります。

購入の際には、持続的に利用できるものを選ぶことで購入頻度を減らすことができます。その結果、公共調達の資金が節約できて、持続的に公共調達が行えます。

先述の10YFPの6つのプラグラムには、「サステナブルな公共調達プログラム(SPP Programme)」が含まれており、公共調達の実施が勧められています。

OECD(経済協力開発機構)は適正に設計・管理された公共調達システムが環境保護・イノベーション・雇用創出・中小企業の発展などの政策目標に貢献するとしています。

一人ひとりができる目標12に関連した取り組み

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一人ひとりが目標12に関連して取り組めることを3つ紹介します。

認証マークのある商品を購入する

商品を新しく購入する際に、先程紹介したFSC認証やMSC認証など、適切な管理体制の元で調達されたことが明示された商品を選ぶことは、その取り組みをしている事業者や団体を間接的に応援できます。

すべての消費活動をエシカルにするには、商品を選ぶ時間やお金がかかるため難しいかもしれません。しかし、自分の興味・関心があるものから認証マークを取得している商品があるか探してみることで、SDGsに貢献できます。

公共交通機関やカーシェアリングを利用する

電車やバスなどの公共交通機関は一度に多くの人々を目的地へ運ぶことができるため、温室効果ガス排出量を抑えられます。

先述のUberのように、同じ方向に向かう車を共有するカーシェアリングは、一人ひとりが別々の車を使うよりも、より少ない移動回数で、より多くの人を目的地まで運ぶことができます。そのため、バスや電車と同様に温室効果ガスの排出量を減らすことができます。

再生可能エネルギーを供給する電力会社を選ぶ

これまで自宅で使っていた電力会社から、再生可能エネルギーを使用する電力会社に切り替えることも、SDGsに貢献できる取り組みの1つです。

再生可能エネルギーを供給する電力供給会社も増えているので、各社の金額プランや特徴から自分に合ったものを選べます。

開発途上国への持続可能な消費と生産の促進 

アジアを中心とする開発途上国では、今もエネルギーの供給が安定しないため、医療や教育の遅れが発生しています。不自由な暮らしを続けている地域に安定した電力が通れば、生活水準が上がり、新たな産業の創出にも繋がります。産業が発達すると新たな雇用が生まれ、貧困の解消に繋がると期待できます。

目標12のターゲット12aは「開発途上国に対し、より持続可能な生産消費形態を促進する科学的・技術的能力の強化を支援する」です。途上国でも人口の増加や産業の工業化によって、エネルギーの需要は高まっており、日本は途上国の再生可能エネルギーの生産・消費を支援しています。ここではその事例を紹介します。

JICAによると、インドネシアには約2万7,000メガワットの世界最大の地熱資源が眠っています。しかし、その利用率はわずか3%で、豊富な資源が有効利用されていません。

原因は、地熱資源を利用した発電には膨大な初期費用が必要であることや、実際に掘ってみないと資源の規模が正確に把握できないことなどが挙げられます。

インドネシア政府は、2025年までにエネルギー供給量の5%程度を地熱エネルギーによって賄う計画を掲げており、JICAは地熱開発計画の設計と発電所の建設を支援しています。

また、エジプトでの化石燃料への依存度を下げるため、日本は2003年にザファラーナ地区の風力発電所の新設を支援しました。2009年に風力発電所は完成し、同規模の火力発電所を稼働させた場合よりも年間約25万トンのCO2排出量削減ができるとしています。同国の電力の供給量の増加と、経済発展・環境保全にも貢献しています。

持続可能な観光業 

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新型コロナウイルス流行の前から、旅行者による環境破壊や地域住民の生活に与える負荷などがメディアで取り扱われています。コロナ禍によって自由に旅行ができなくなったため、観光業界は大打撃を受けています。

消費者のサステナビリティ意識の向上に伴い、観光業でも同様に意識が高まり、これまでと違うサステナブルな姿への変化が求められています。

国連世界観光機関(UNWTO)は、持続可能な観光業を「訪問客、業界、環境、および受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分考慮する観光」と定義しています。

日本政府観光局(JNTO)は持続可能な観光(サステナブル・ツーリズム)を以下の3つで提言しています。

  1. 地域の「環境」を守る・育む
  2. 地域の「文化」を守る・育む
  3. 地域の「経済」を守る・育む

また、国連世界観光機関は、持続可能な観光の開発のために、多方面からの参画が必要と提言しています。観光客の高い満足度を維持するために、観光が影響を及ぼす環境や地域への負荷を最小限に抑えられるような取り組みや、観光客の間で持続可能な観光業を広めることが必要です。

有害な補助金がもたらす問題 

補助金は、さまざまな分野で活動をする事業者や団体などに、資金を給付してサポートする制度です。受益者の助けになると思われる補助金のなかにも、有害な補助金が存在しています。

例えば、漁業における有害な補助金とは、許容量を超えた過剰な漁獲を促すような補助金を指し、船の燃料費の補助が当てはまります。燃料費を補助された漁船は、遠方に行って漁をすることができたり、重い網を引きずって漁獲できたりします。大型の漁船は特にCO2排出量が多いため、気候変動にも繋がります。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、世界の漁業補助金を約350億ドルと推測し、そのうち約200億ドルが有害な漁業補助金に費やされていると示しています。世界最大の補助金支給国は中国で、次いでEU、アメリカ、韓国、日本の順になっています。

OECDとIEAの2020年度データによると、主要諸国・地域全体の化石燃料の生産と、利用に対する政府補助は3,510億ドルにのぼり、国営の石油や電力の会社に対する大規模な支援も含まれています。

これにより、OECDとIEAは2021年、世界的なエネルギー価格の高騰や、コロナ渦による経済的影響への対策として、政府による化石燃料への支援を増やさないようにと表明しました。

代わりに、持続可能なエネルギーインフラへの投資・環境に配慮した雇用の創出を加速させるなどして、SDGs目標7番「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」にも貢献していく必要があります。

まとめ

今回の記事では目標12の内容解説や企業や個人ができる取り組み・関連する用語・事例などを紹介しました。個人では、具体的にどのようにSDGsに貢献できるかイメージしづらいかもしれません。

しかし、今回ご紹介したようにFSC認証やMSC認証など、持続可能な管理体制が認証されている商品を選んだり、企業がサプライチェーンを分析して取り組みを開始したりするなど、自身が所属するコミュニティ(家族・会社・学校など)でなにかできることがないか考えてみましょう。

この記事を読んで学んだ取り組みを、周りに伝えたり自分でさらに調べたり取り組んだりしてみてください。

SDGs media では他の目標についても解説しています。気になる目標があれば、画像をクリックして解説記事を読んでみてください。各目標の詳細やSDGs自体について、企業とSDGsについてなど興味を持った方は、ぜひSDGs media で関連情報をご覧くださいね。

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更新日:2022年10月21日

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