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SDGs目標10 人や国の不平等をなくそう を解説|世界と日本の課題とは

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SDGsがネットやテレビで紹介されると、SDGsに関心を持つ方が増えていきます。SDGsの17種類の目標それぞれの内容を知って、自身で貢献したり会社や学校で取り組みを検討したりと具体的な行動を取る機会もあるでしょう。

SDGsの目標10は「人や国の不平等をなくそう」。社会にはさまざまな不平等が存在しています。わかりやすいものもあれば、認識しづらいものもあり、解決は困難を極めます。不平等を是正するためには、まず不平等が存在することや生きづらい立場に置かれている人々がいる事実を知ることが大切です。

今回の記事では、SDGs目標10の内容解説と、関連する国内外の課題・キーワードを紹介します。

今回の記事は以下のような人にオススメです
  • SDGs目標10の内容を詳しく知りたい
  • 子どもにわかりやすく説明したい
  • 自社事業の取り組みと目標10の関係性を考えたい
  • 目標10に関連する用語が知りたい
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目標10「人や国の不平等をなくそう」の概要

目標10は国内や各国間に存在する不平等に関する内容が盛り込まれています。

掲げられたターゲットは10個。各国の所得成長率を持続させる、すべての人々の能力強化や社会的経済的及び政治的な包含を促進する、機会均等を確保し成果の不平等を是正するなど、不平等の是正と成長に向けた取り組みを進めることを目指しています。

ターゲットでは世界の金融市場/金融機関のモニタリングや地球規模の経済・金融制度の拡大など、1つの国だけではなく国際社会全体の問題として不平等を扱っていることがわかります。

計画的な移民政策の実施や移住労働者の送金コストの引き下げなど、移民に対するターゲットが定められていることも特徴です。

目標10のターゲット一覧

以下の表でSDGs目標10のターゲット一覧を紹介しています。各ターゲットを読むとどんなゴール・課題が目標10に含まれるのかイメージがわくでしょう。

企業・個人でSDGsの達成に貢献する取り組みを始めるには、このターゲットから考えていくことがオススメです。そのうえで、SDGs media では、アクションを考える参考になる無料の資料『SDGs達成に向けたビジネスアクションリスト』を提供しています。取り組みを考える際はぜひご活用ください。

10.12030 年までに、各国の所得下位40%の所得成長率について、国内平均を上回る数値を漸進的に達成し、持続させる。
10.22030 年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する。
10.3差別的な法律、政策及び慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正する。
10.4税制、賃金、社会保障政策をはじめとする政策を導入し、平等の拡大を漸進的に達成する。
10.5世界金融市場と金融機関に対する規制とモニタリングを改善し、こうした規制の実施を強化する。
10.6地球規模の国際経済・金融制度の意思決定における開発途上国の参加や発言力を拡大させることにより、より効果的で信用力があり、説明責任のある正当な制度を実現する。
10.7計画に基づき良く管理された移住政策の実施などを通じて、秩序のとれた、安全で規則的かつ責任ある移住や流動性を促進する。
10.a世界貿易機関(WTO)協定に従い、開発途上国、特に後発開発途上国に対する特別かつ異なる待遇の原則を実施する。
10.b各国の国家計画やプログラムに従って、後発開発途上国、アフリカ諸国、小島嶼開発途上国及び内陸開発途上国を始めとする、ニーズが最も大きい国々への、政府開発援助(ODA)及び海外直接投資を含む資金の流入を促進する。
10.c2030 年までに、移住労働者による送金コストを 3%未満に引き下げ、コストが 5%を越える送金経路を撤廃する。

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平等・公平・公正の違い

平等・公平・公正は似たような意味合いを持ちます。ここでは広辞苑に載っているそれぞれの言葉の意味について紹介し、イメージの違いや使用例について解説します。

平等とは「かたよりや差別がなく、すべてのものが一様で等しいこと」です。全員に同じものを、同じ量だけ行き渡らせることを意味します。使用例として、「平等な社会」「平等に扱う」などが挙げられます。

公平とは「かたよらず、えこひいきのないこと」です。「全員に同じものを同じ量だけ与えるのではなく、結果として同じ状況にする」ことを意味し、「公平な目」「公平に分配する」のように使用します。

公正には2つの意味が載っています。「公平で邪曲(じゃきょく:不正・不徳であること)のないこと」と「明白で正しいこと」です。ただ偏りが無いというだけではなく、偏りが無くかつ不正が行われていないことを指す際に使用します。使用例としては、「公正取引委員会」「公正な裁判」などが挙げられます。

3つの言葉には共通して「偏りがないこと」が前提となっています。それぞれの言葉が意味する微妙な違いを意識して、使い分けましょう。

お金と経済の不平等の状況

富の集中

一部の人口への富の集中が問題となっています。世界不平等レポート2022によると、世界上位1%の富裕層が所有する資産は世界全体の個人資産の37.8%です。一方、下位50%の人が所有する資産は全体の2%に過ぎません。

日本では上位10%が所有する資産は全体の57.8%を占めており、下位50%の人が所有する資産はたった5.8%です。

コロナ禍において、この富の集中はさらに加速しています。コロナウイルスの影響により一定の経済活動が制限されたことに対して、景気回復のため財政出動や金融緩和政策が行われました。これにより、もともと多くの資産を保有する富裕層に恩恵をもたらしました。

このことは資産を持たない貧困層が恩恵を受けなかったことを意味し、コロナ禍による経済活動の制限とその後の緩和が、格差拡大の要因となっています。

世界の経済格差の拡大

先述した富の集中に加えて、貧困層の増加も経済格差が拡大する要因の1つです。

世界銀行は、2020年は世界の極度の貧困層が、過去20年間で初めて増加するとの見通しを発表しました。この見通しはコロナウイルスの世界的な流行も考慮した上で発表されています。

国際通貨基金の発表によると、先進国では人口の40%近くがワクチン接種を完了しており、経済活動の正常化が進んでいます。しかし途上国ではその割合が11%で、ワクチン不足により経済活動が再開できていません。

格差拡大の要因として、その他に賃金の停滞・労働分配率の低下・金融緩和・急速な技術発展などが挙げられます。また、先進国では福祉国家の衰退が問題となっており、開発途上国では社会保障の不備など、さまざまな要因が絡み合って格差が拡大しています。

さらに格差が拡大しているのは、国家間だけではありません。コミュニティーや家庭の内部、また男性と女性・成人と子ども・マジョリティとマイノリティ(先住民族・難民・少数民族など)の間でも、依然として経済格差が存在しています。

日本での経済格差の現状

相対的貧困

相対的貧困とは、世帯所得が全世帯の中央値の半分未満である世帯を指します。厚労省の国民生活基礎調査(2019年)では、2018年の相対的貧困率は15.7%、子どもの貧困率は14.0%となっています。

また、OECDによると日本の相対的貧困率は世界第10位と明らかになっています。

高齢者世帯の貧困

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高齢者世帯の貧困も問題となっています。高齢者世帯とは、65歳以上のみか、これに18歳未満の未婚者が加わった世帯です。高齢者世帯の平均所得は334.9万円で、その他の世帯平均所得金額661万円の約5割となっています。

相対的貧困率は高齢期に上昇する傾向にあり、男性よりも女性の貧困率の方が総じて高いこともわかっています。高齢期になるほどさらにその差は拡大します。

また、厚生労働省の調査(2020)によると、生活保護受給者のうち55.6%を高齢者世帯が占めており、65歳以上の生活保護受給者数は増加傾向にあります。

貿易(フェアトレード)

フェアトレードとは、公平・公正な貿易のことです。開発途上国の原料や製品を適正な価格で適切に取引することにより、弱い立場にいる途上国の生産者や労働者の生活改善・自立を目指す貿易の仕組みを指します。消費者はフェアトレード製品を購入することで、貧困を無くしたいという意思の表示もできます。

日本のような先進国では、日用品や食料品が驚異的な安さで売られています。その安さを実現するために、途上国の労働者が正当な対価を得られなかったり、生産性を上げるために農薬を使って現地の環境を破壊していたりするなどの状況が発生しています。

送金

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海外に住む労働者が本国の家族へ送金を行います。送金は、低中所得国の貧困緩和・栄養状態の改善・教育への投資・児童労働者数の減少などの経済的な効果があります。特に個人間の送金の場合、個人の手に素早く効率的に金銭が渡るため、個人の経済活動が途上国の経済に直接大きな利益をもたらします。

コロナ禍以降に多くの国で経済活動が縮小したのを踏まえて、世界銀行は2020年世界の送金規模は約20%減減少すると予測しました。しかし、実際には低中所得への送金額の減少は限定的で、コロナ禍の2020年度送金額はわずか1.6%減、翌2021年度の送金額は7.3%と大幅に増加し、5,890億ドルに達すると予測されています。

世界銀行は2022年ロシアによるウクライナ侵攻が関係して送金額がさらに増え、6,300億ドルにまで達すると予測しています。

人種・マイノリティ・女性・移民難民などへの不平等の状況

ヘイトクライム

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人種間の不平等(差別)によるヘイトクライムが起こっています。

ヘイトクライムとは、人種・肌の色・年齢・宗教・国籍・性的指向・性別・性自認・障がいなど、ある特徴を持つ人や集団への特定の部分に対する偏見によって行われる犯罪です。

米連邦捜査局(FBI)は2020年に、2019年度のヘイトクライムが過去10年間で最多だったと発表しました。特にユダヤ教徒や中南米系・黒人・アジア人など、人種による差別がヘイトクライムの対象になる事例が目立っています。

フランスやドイツ・スペインなどの欧米諸国では、コロナ禍によるパンデミックで東アジア系や東南アジア系住民へのヘイトクライム・人種差別が増加しています。コロナウイルスが流行した当初から、欧米の政治家は中国と新型コロナウイルス流行との関係に繰り返し言及してきました。このような状況の中で、アジア人に対するヘイトクライムが加速化、過激化しているのです。

LGBTQ

LGBTQとは、以下の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称の1つです。

  • Lesbian(レズビアン):女性同性愛者
  • Gay(ゲイ):男性同性愛者
  • Bisexual(バイセクシュアル):両性愛者
  • Transgender(トランスジェンダー):性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人
  • Queer(クイア):同性愛者になる人などに対し、肯定的に使われる言葉
  • Questioning(クエスチョニング):性自認や性的指向を決めていない状態

日本でのLGBTQの割合は各調査期間・方法によりばらつきがありますが、約3%から10%と言われています。

その他にもLGBTQIA+という表現がされることもあります。LGBTQに加えられるIA+とは、IがIntersex(インターセックス:身体的性において男性と女性の両方の性別を有している)・AがAsexual(アセクシュアル・エイセクシュアル:どの性にも恋愛感情を抱かないセクシュアリティ)、そして「+」がLGBTQIAの他にもさまざまなセクシュアリティがあることを表しています。

LGBTQに代表される性的マイノリティが直面する困難は、教育・婚姻・就労・医療・公共サービスなど多岐にわたります。たとえば学校でのいじめ・就活での面接打ち切り・パートナーの入院時に病状を知らされない・公営住宅へ申し込みができないなどです。

このような問題の打開策の1つに、LGBT平等法が挙げられます。LGBT平等法とは性的指向や性自認による差別的取り扱いを禁止し、LGBT当事者も含めすべての人を平等に扱うための法律です。

世界ではLGBT平等法に該当する法律や、それに類似した法律が整備されている国が増加しています。たとえば、性的指向による雇用差別を禁止する国は約80カ国以上あります。しかし日本は、G7で唯一LGBTに関する差別禁止の法律を整備しておらず、法律上も、生活の上でも、LGBT当事者への平等が保証されていないと言えます。

また、日本では同性婚も法的に認められていません。2022年6月には、大阪地裁が同性婚を認めないのは憲法に違反しない、つまり合憲であると判決を下しました。同性カップルが結婚できないのは違憲であるという原告の訴えがしりぞけられ、日本の同性カップルや活動家に衝撃を与えました。

この判決は、2019年3月に同性婚を認めないのは憲法14条に違反するという判決を下した札幌地裁と異なるものであり、判決に否定的な声も上がっています。

障がい者

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障害者基本法では、障がい者を「身体障害・知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者」と定義しています。

障がい者は障がいを理由に学校への入学を拒否されたり、昇格させてもらえなかったりなど、福祉・教育・医療・労働などの場面で差別を受けています。それだけでなく、予約無しには電車に乗れなかったり、付き添いが無いと公共施設の利用ができなかったりなど交通・情報・サービス提供・結婚・出産など、日常のさまざまな状況に差別が潜んでいます。

ここで紹介した例は一部ですが、日常の行動から制限される障がい者の平等な機会を確保するために、障害者差別解消法という法律があります。この法律は以下の項目などを定めており、障がい者を特別扱いするわけでなく、障がいの有無に関わらず誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指しています。

  • 障がいを理由に差別や権利侵害をしてはいけない
  • 社会的障壁を取り除くための配慮をする
  • 国が差別や権利侵害を防止するための啓発を行うこと など

女性に関わる不平等・差別

女性は女性であることを理由に、不当な扱いや差別を受けることがあります。その例として、賃金格差やセクハラ・教育格差・女性議員の比率の少なさなどが挙げられます。たとえば、2018年の大学・大学院卒の男女間の生涯賃金の格差は約5,000万円もあります。

社会で男性が優遇されている原因として、社会通念や慣習・しきたり・男性の問題意識が薄い・制度やサービスが整備されていないなどが挙げられます。

また、男女間の格差を測る指数として、ジェンダーギャップ指数があります。これは、経済・政治・教育・健康の4分野のデータから作成される指数で、0が完全不平等、1が完全平等を示しています。2022年の日本のジェンダーギャップ指数の総合スコアは0.650で146カ国中116位でした。前回(156カ国中120位)と比べてほぼ横ばいで、依然として先進国・アジア諸国の中でも最低レベルの順位です。

女性差別に関わる法律として、女性差別撤廃条約があります。この条約は、女性に対するあらゆる差別を撤廃することを基本理念としており、政治的活動や社会的活動での女性差別を撤廃するため、条約締約国に対し適当な措置を求めています。

移民

移民とは、本来の居住地を離れて国境を越えるか国内で移動している、又は移動したあらゆる人を指します。この場合本人の法的な地位や移動の自発性・理由・滞在期間は問われません。

移民の人々が移住を試みる際には人身売買の被害に遭ったり、斡旋業者による非人道的な扱いを受けたりなど、命に関わる危険が付きまといます。また、在留資格が無ければ不法移民として弱い立場に置かれることも考えられます。

日本では移民は保護の対象というよりも、一時的な滞在を想定した労働力として考えられています。特に熟練した技能が無ければ家族と暮らすことも認められません。

ヨーロッパには2011年のシリア内戦以降、多くの移民が流入しています。危険なルートを通ることで命を落としたり、受け入れ国の国民の間で同情が弱まり「共感疲れ」とも呼べる風潮が広がったりしています。

アメリカでも、メキシコ国境を超えてアメリカに不法入国する人が絶えません。不法入国により身柄を拘束された人数は統計が開始されてから最大の165.9万人(2021年度)で、不法移民問題が深刻化しています。

難民

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難民とは、政治的な紛争や内戦・飢饉・人種差別・宗教・政治弾圧などの理由により、自国にいると迫害を受ける、もしくはその可能性があり他国へ逃れる人々を指します。2021年には難民が約2,710万人に達すると言われています。

移民との違いは、自発的に国外に移動しているわけではなく、離れなければならない状況に置かれている点です。

難民もさまざまな困難を抱えています。多くの難民は紛争や内戦によって財産を失い、貧困状態にあります。成人の就労機会も少なく、子どもが学校に行かずに働かされることも珍しくありません。また、子どもが栄養不良に陥ったり難民キャンプで感染症が流行したりするなど多くの問題が発生しています。

日本の難民制度の問題として、難民に関する包括的な政策が無いことが挙げられます。そのために、難民と認定されるのも厳しい状況です。

日本で難民認定を受けるには、裁判所で迫害や拘束・拷問を受けた理由・証拠を難民が立証しなければなりません。しかし、迫害された事実を証明するのはとても難しく、日本の難民認定率は他国に比べると著しく低くなっています。

先住民族と少数民族

世界に3億人いると言われている先住民族には、いくつかの定義があります。ただし、国際的に定められた先住民族の定義は無いとの指摘もあります。

2007年に採択された国連先住民族権利宣言では、先住民族は近代以降の植民地政策・同化政策により、自らの社会や土地・固有の言葉・文化などを奪われてきた人々であることがわかります。また、伝統的な土地や暮らしを次世代に引き継ぎ、社会の多数派ではない自分達の社会や文化を後世に伝えようとする人々であるとの定義もあります。

国連広報センターは、先住民族は世界のもっと不利な立場に置かれているグループの1つを構成すると示しています。

また、上述の国連先住民族権利宣言は44条あり、先住民族が保障されるべき以下のような権利を定められています。

  • 同化を強制されない権利
  • 土地や資源の返還や賠償を求める権利
  • 自治を求める権利
  • 文化的・宗教的な慣習を実践する権利 など

少数民族とは、居住国で種族的・宗教的・言語的に少数の人々を指します。彼らは少数民族間での文化を享有しており、また集団内での宗教の信仰や自分達の言語を使用する権利を否定されません。

少数民族は世界に約10億人いると言われ、特にアジアには多数の少数民族が生活しています。しかし発言権がない、公共サービスへアクセスできない、差別や追放の対象になりやすいなどの問題があります。

社会保障に存在する不平等の状況

医療・予防が受けられないことが引き起こす命の格差

厚生労働省によると、健康格差とは「地域や社会経済状況の違いによる集団での健康状態の差」と定義されています。格差は社会的背景(人種・居住地・職業・教育・所得など)によって生じ、医療アクセスや健康状態が異なることがわかっています。

たとえば、所得が低い、教育年数が少ないなどが背景にある場合、死亡率や要介護認定率が高くなっています。

このような健康格差の対策として、厚生労働省は「健康日本21(第二次)」を制定しました。この方針によって、21世紀におけるあらゆる世代の国民が共に支えながら生きがいを持ち、それぞれのライフステージに応じた健康な生活を送ること、また社会全体が持続可能な社会保障制度を維持することを目的としています。

社会保障とセーフティーネット

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社会保障とは、子どもから高齢者まですべての国民の安心や生活の安定を支えるセーフティネットです。社会保険・社会福祉・公的扶助・保健医療・公衆衛生から構成され、人々の生活を生涯に渡って支えます。具体的には、年金や健康保険・国民健康保険・児童手当・介護保険・生活保護などが該当します。

日本では急速な高齢化により、社会保障費を賄うための税金や借金の増加が続いています。その額は、1990年の約16兆円から2019年には約52兆円に増加し、29年間で約3.2倍になりました。少子化により高齢者を支える現役世代の減少も課題であり、現役世代1人あたりの負担が大きくなっています。また、日本では現役世代向けの社会保障支出の割合がヨーロッパ諸国と比べると低水準です。

これら状況を踏まえて、2016年日本では現役世代向けの社会保障政策として「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定されました。本政策は、現役世代が自分のキャリア形成や子どもへの教育投資などを実現できることや、女性や高齢者・障がい者など誰もが労働に参加できるような基盤の実現を目指しています。

不平等の解消で多くの課題が解決される

ここまで、社会のさまざまな場面に存在する不平等について紹介してきました。紹介してきたような不平等が、SDGs目標10だけでなく、他の目標の課題にも紐付いていることがわかったのではないでしょうか。

この記事で紹介した不平等は一部ですが、それらの解消が貧困や飢え・争いを無くすことに繋がり、SDGsの達成に貢献すると言えるでしょう。

アンコンシャス・バイアスを自覚しよう

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アンコンシャス・バイアスという言葉をご存知ですか? アンコンシャス・バイアスとは直訳すると「無意識の思い込み・偏見」です。

これまでの自身の経験や見聞きしたことに基づいて日常のあらゆる場面を自分なりに解釈するという、脳の機能によって引き起こされるものです。代表的なアンコンシャス・バイアスとして以下などが挙げられます。

  • ステレオタイプ:その人の属性を元に先入観や固定概念で決めつける
  • 正常性バイアス:問題があっても「私は大丈夫」と思い込む
  • 集団同調性バイアス:周りと同じように行動しようとする

具体的には血液型から相手の性格を決めつける、性別や世代・学歴などで相手を見るなどです。

アンコンシャス・バイアスは誰にでもあり、そのことが問題というわけではなりません。

ただし、アンコンシャス・バイアスに気付かないと、誰もが知らず知らずのうちに自分の思い込みを相手に押しつけたり、相手を決めつけたりしてしまう可能性があり、職場やそれ以外の人間関係にも影響します。多様性を認め合う社会の実現に向けて、アンコンシャス・バイアスがあるということに気づくことが重要です。

他にもある、目標10に関連する課題のキーワード

ODA

ODA(Official Development Assistance)とは政府開発援助のことで、オーディーエーと読みます。開発途上国の社会経済の発展を支援するために政府が提供する公的資金で、途上国に対し資金や技術を提供しています。

グローバル化が進む現代では国際社会との相互依存が深まっています。国際社会の平和と安全・繁栄を確保するには各国の協力が必要です。国民の生活を守り、繁栄を実現するために、ODAの重要性が高まっています。

海外直接投資(FDI)

海外直接投資(FDI)とは、海外での経営参加や技術提携のために行う投資を意味し、海外での事業活動のために企業を買収したり、生産設備などに投資したりすることが当てはまります。

海外直接投資には「対外直接投資」と「対内直接投資」の2つがあります。

日本企業が海外の企業に対して直接投資を行うことを対外直接投資、海外企業が日本の企業に対して直接投資を行うことを対内直接投資と言います。

これら2つの直接投資に対し、国外の株式や債券など金融資産に投資することを「海外間接投資」と呼びます。開発途上国では、海外直接投資の積極的な受け入れが行われています。受入国では、国内の経済再活性化やグローバル市場の競争力強化に、海外直接投資が不可欠だとみなしているからです。

まとめ

ここまで、目標10の内容や課題について紹介してきました。

この記事でも紹介したように、世界にはさまざまな不平等があらゆる形で存在します。世界には依然として差別や不平等に苦しむ人々がいること、さらに目標10だけでなく他のSDGs目標とも深く関わっていることがわかったのではないでしょうか。

こうした課題解決のために、私たちがいますぐ改善に直接貢献できるような行動を取ることは難しいかもしれません。ただし、このような課題が存在する現実を知らなければ、対策を講じることもできないのです。

この記事を読んで学んだ差別・不平等に関する取り組みを、周りに伝えたり自分でさらに調べたり取り組んだりしてみてください。

SDGs media では他の目標についても解説しています。気になる目標があれば、画像をクリックして解説記事を読んでみてください。各目標の詳細やSDGs自体について、企業とSDGsについてなど興味を持った方は、ぜひSDGs media で関連情報をご覧くださいね。

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ビジネスと人権

「ビジネスと人権」の基本知識・企業における人権尊重のあり方・人権方針や人権デュー・ディリジェンスの概要・企業における人権教育

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