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SDGs目標17 パートナーシップで目標を達成しよう を解説|世界の課題や日本の取り組みとは

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SDGsの認知度は年々高まっており、2022年電通の調査では認知率が8割を超えています。SDGsを学習するなかで、17目標それぞれの内容を知って取り組んだり、社会や学校で取り組みを検討したりと、具体的な行動を取る機会もあるでしょう。

SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、国と国、政府と政府などの関係性だけでなく、企業・自治体・市民などが協力し合うことで達成を目指しています。

今回の記事では目標17の内容解説や、国内外の課題・現状について事例を踏まえながら紹介します。

今回の記事は以下のような方におすすめです
  • SDGs目標17の内容を詳しく知りたい
  • 自社事業の取り組みと目標17の関係性を考えたい
  • 目標17の内容を子どもにわかりやすく教えたい

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目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」の概要

目標17は「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」をテーマに据えられています。SDGsの17目標にはターゲットが設定されており、合計169個あります。抽象的に表現されている各目標を理解するには、ターゲットで示される具体的な課題・方法を読み解く必要があります。

目標17のターゲットは19個で、以下7つの分野に関する話題が含まれています。

  • 資金
  • 技術
  • 能力構築
  • 貿易
  • 制度・政策
  • マルチステークホルダー・パートナーシップ
  • データ・モニタリング・説明責任

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目標17のターゲット一覧

以下の表でSDGs目標17のターゲット一覧を紹介しています。各ターゲットを読むとどんなゴール・課題が目標17に含まれるのかイメージがわくでしょう。

企業・個人でSDGsの達成に貢献する取り組みを始めるには、このターゲットから考えていくことがオススメです。そのうえで、SDGs media では、アクションを考える参考になる無料の資料『【17目標別】企業のSDGsアクションリスト|345種類の施策から自社の取り組みを探そう』を提供しています。取り組みを考える際はぜひご活用ください。

17.1課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
17.2先進国は、開発途上国に対するODA を GNI 比 0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI 比 0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメ ントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA 供与国が、少なくともGNI比0.20%の ODA を後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討するこ とを奨励する。
17.3複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
17.4必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
17.5後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
17.6科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする 既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、 相互に合意した条件において知識共有を進める。
17.7開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
17.82017 年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の 利用を強化する。
17.9すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
17.10ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めた WTO の下での普遍的でルールに基づ いた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
17.11開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に 2020 年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
17.12後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市 場アクセスを適時実施する。
17.13政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
17.14持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
17.15貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
17.16すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナ ーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシ ップを強化する。
17.17さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
17.18

2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。

17.192030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

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目標17に関する世界の課題

目標17 画像1

ここでは目標17に関連した世界の課題を紹介します。

政府開発援助(ODA)の減額

開発途上地域の開発を目的とした政府・政府関係機関による国際協力活動を開発協力と呼びます。その資金がODA(Official Development Assistance(政府開発援助))です。

このODAによって、政府・政府の実施機関は開発途上国の平和構築や人権保護や尊重の推進・人道支援など社会・経済の開発支援のため、資金(贈与・貸付など)や技術提供を行います。

ODAは2つの形態があり、開発途上国に対して直接援助をする「二国間援助」と国際機関を通じて支援する「多国間援助」があります。

途上国への援助には国際社会の協力が不可欠ですが、2018年ODAの総額は世界全体で1,490億ドルと、2017年から2.7%減少しています。これは、ヨーロッパ諸国で難民の受け入れなど国内負担が大きくなったことが関係しています。開発の遅れている国にとってODAは重要な資金源となっていますが、2018年には二国間援助が3%減、アフリカへの援助は4%減少しています。

なお、外務省が公表する2021年ODA実績は、アメリカ、ドイツについで日本は世界で3番目に多く、国民1人当たりのODA負担額(2020年)は16位でした。

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SDGs達成に向けた資金不足

そもそもSDGsの達成には先進国・途上国共に多額の資金が必要です。2014年国際連合貿易開発会議(UNCTAD)によると、途上国だけでも年間約3.9兆ドルが必要だと試算されています。

SDGsの前身のMDGsでは途上国の課題を主に対象としていますが、SDGsでは先進国が抱える課題にも焦点を当てています。環境省はSDGs達成にはすべての国で毎年約5兆ドルから7兆ドルの投資が必要で、2014年時点で年間約2.5兆ドルが不足していると試算しました。

他の機関でもSDGs達成に膨大な資金が必要だと言及しています。経済産業省の「通商白書2020」では、SDGsの達成に向けて政府の公的資金のみでは不十分で、民間資金の活用が重要だと提示されています。

なお、UNCTADの2020年報告書によると、SDGsの達成に向けた各分野の不足資金額は以下の表の通りです。

これまでもリスク・リターンの設計が難しいことから、気候変動や教育・医療分野への投資が大きく進んでいないことが明らかになっています。そのため、このような分野に対しては、政府などの公的部門が民間部門と共に投資していくことが求められています。

期待される資金調達:ESG投資

SDGs達成に向けた資金不足には、ESG投資が重要な役目を果たします。

ESG投資は企業の財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスの分野も考慮した投資手法です。日本の公的年金基金GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が言及するように、企業がSDGsに取り組むことは企業価値の向上に繋がり、ESG投資家の長期的なリターンが見込めるため、SDGsとESG投資は親和性が高いと言えます。

世界全体のESG投資額は2018年から2020年の間に15.1%増加し、35兆ドルを超えています。

さらに、一部地域を除き各国の運用資産全体に占めるESG投資割合も、上昇傾向にあります。

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パートナーシップ構築の強化に繋がる取り組み

目標17 画像6

ここまで目標17に関する世界の課題を紹介しました。次に、目標17が目指すパートナーシップ構築を強化させる取り組み例を紹介します。

オープンデータ

SDGsの達成には、さまざまな機関・団体が協力し合って取り組みを進めていかなければなりません。パートナーシップを強化する取り組みに「オープンデータ」があります。これは、政府や地方公共団体・国際機関・企業など、それぞれが持っているさまざまなデータや統計を共有し、誰でも見られるようにすることです。

オープンデータは以下の3つを目的としています。

  1. 国民参加・官民協働の推進を通じた諸課題の解決、経済活性化
  2. 行政の高度化・効率化
  3. 透明性・信頼の向上

日本では2016年に官民データ活用推進基本法が定められ、国及び地方公共団体がオープンデータに取り組むことが義務付けられました。2022年1月時点で取り組み率は約68%で全国1,788の自治体のうち1,220がオープンデータに取り組んでいます。

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ジャパンSDGsアワードの受賞企業の取り組み

ジャパンSDGsアワードは、SDGs達成に向けて優れた取り組みを行っている企業・団体などを表彰するSDGsコンテストです。日本に拠点のある企業・NPO/NGO・地方自治体・学術機関・各種団体などが対象にされています。2017年から2021年の間で受賞した企業・団体のうち約75%が、目標17を貢献目標として選んでいました。この比率は17種類の目標のなかで最も高いです。

目標17に関する取り組み内容は、国際団体と連携して難民へ食料提供を行ったり、現地と協力して医療モデルの構築支援を行ったりなど、多岐にわたります。このように、SDGsの取り組みが評価されている企業の多くが活動を通じて目標17に貢献しており、SDGsの達成において目標17が取り組みやすい、または重要であることが伺えます。

目標17に取り組みたい企業は、ジャパンSDGsアワードを受賞している企業の取り組みを参考にしてはいかがでしょうか。

ジャパンSDGsアワードについて詳しく知りたい方は、以下の記事で受賞企業や取組の傾向を紹介しています。ぜひをご覧ください。

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目標17の達成に向けて私たちができること

目標17の達成に向けて、公的機関や民間部門の協力が必要だとわかりましたが、個人でも目標17に貢献できます。その1つが、国際支援を行う団体への寄付です。寄付を募っているJICAでは、国からの交付金によってODAを実施していますが、寄付金もその財源になっています。

また、当社が提供する「SDGs達成に向けたビジネスアクションリスト」では、企業ができる345個の取り組みをまとめています。目標17のターゲットに対してできることも紹介しているので、詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。

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まとめ

これまで目標17の概要や関連する課題・取り組みなどを紹介してきました。今回の記事を読み、SDGs目標17について理解が深まったのではないでしょうか。

目標17は国と国・企業と企業だけでなく、さまざまな団体・機関によるパートナーシップ構築を目指しており、SDGsの達成に欠かせません。

この記事で読んで学んだ目標17に関する取り組みを、周りに伝えたり自分でさらに調べたり取り組んだりしてみてください。

SDGs media では他の目標についても解説しています。気になる目標があれば、画像をクリックして解説記事を読んでみてください。各目標の詳細やSDGs自体について、企業とSDGsについてなど興味を持った方は、ぜひSDGs media で関連情報をご覧くださいね。

▶SDGsとは?17の目標内容と日本の政府・企業の取り組みを徹底解説 を読む

▶企業がSDGsにいま取り組むべき理由を解説 を読む

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